第27回 生徒理解
建前
指導のねらい
生徒理解の心構えとそのための方法を知る。特に、各種調査のねらいや方法について学ぶとともに、生徒の理解や指導のための効果的な調査結果の活用法について理解する。
指導内容
・生徒理解の心構えと方法
・各種調査のねらいと方法
・調査実施の時期と準備
・調査結果の処理と活用
本音
Goくん
本校のアンケートは,前半は学校生活に関する項目が並び,書きやすい内容になっている。後半のいじめに関する項目には,「答えられない」という項目があり,少しでも気になることがある生徒を拾いたいという意識がある。教員としては,その僅かな記入も見逃してはならない。
SA となった場合に,まずすべきことはアンケート回答前に生徒を落ち着かせ,静かな状態を作ること。次に,アンケートを内側に折り,回収することである。この2つは,生徒の「安心・安全」の配慮であり,教員が徹底して行う必要がある。回答中も生徒が周囲の様子を伺いながら書いている,消しゴムで消すといった動きはチェックしなければならない。内容を個人で判断するのではなく,チームとして,スピード感をもって対応すべきである。これにより生徒に対しても安心・安全な学校であると伝わるのではないだろうか。
講義の中で,「一人の人間として接する」とあった。そのためには生徒をよく観察し,決めつけずに接することで日々の変化を感じ,信頼も生まれる。授業,それ以外の場面でも必要なのは「見る目」だと再確認できた。
Sinちゃん
本校で実施している「君たちの学校生活に関するアンケート」には様々な工夫が凝らされている。アンケートのタイトル,答えやすい質問から始まること,答えの選択肢の広さ,アンケートを谷折りさせ中身が見えないように回収する等がある。生徒の困りごと,悩みなどを拾い上げることができるので,アンケート記入の際には落ち着かせて,静かに取り組ませることが重要である。場合によっては,書き終えた人に手を動かす振りをさせて,書くことに抵抗がないような工夫をすることもあり得る。
アンケートには生徒からのヘルプメッセージも含まれている可能性があることから,中身をじっくり見て,消した跡も観察し,素早い対応をしなければならない。来年度,SA を担当した際には,アンケートのねらいを意識し,生徒理解の大きな材料として,アンケートを活用していきたい。
私から
担任をするようになるとわかりますが、生徒に対する各種調査は、年間を通してかなりの数になります。調査主体も、県等の外部からのものや校内の分掌主体のものなど様々です。調査実施者の立場としては、その調査のねらいを理解し、どのようなスタンスで実施するか、その方法を検討することが大切です。端的に言えば、省庁や県からの調査は概要把握的なものが多く、県の一部と校内分掌主体のそれは実態把握的な内容が増えるでしょう。なお、すべての調査について丁寧に取り組ませるべきなのかもしれませんが、私の場合、自分の学級経営スタンスと照らして、“やっつけ”で記入してもかまわないものと“全力”で記入するよう強く導くものとを切り分けるようにしています。ちなみにこの場合の学級経営スタンスを端的に表現すれば、「世の中と乖離させない」となるでしょうか。当然ですが、真面目な生徒が“やっつけ”のアンケートに真面目に取り組むのを否定するような形態にならないように工夫していることも付記しておきますね。
翻って調査主体者の立場で考えるならば、当該調査のねらいを定め、生徒がどのように回答するか多角的多面的に考察し、最大公約数的な視点を持って、調査項目のみならずデザインまで含めて全体を構成しなければなりません。その上で、設定したねらいが達成できるかどうか検証してほしい。参考までに、今回主題にした「いじめアンケート」は、県内すべての高校の調査用紙を参考に、ウェブで拾える他県のものとも比較しながら作成しています。なお、年度ごとに自他の意見を取り入れ、改善を図ろうとしているつもりです。
現状、君たちが調査主体者であり調査実施者である場面は授業評価でしょう。授業でアンケートを実施する際は、ねらいを設定すること、それが達成されるか検証することを意識してみてください。
ちなみに、今、私が残念に思っているのは、「みんなの学校生活に関するアンケート」の意図がSAの先生方に伝わっていない場合があるということです。別添でSA宛の文書を作成していますがそれでも難しいことがあって、それが表現能力に起因する私の現在の課題です。調査主体者の責任の部分ではありますが、君たちには諸調査実施の際に、周囲のクラスの先生と炉辺談話的にねらいを話題にしてもらえると助かります。また、それが職員室が機能している状態と言えるのではないでしょうか。