PSPを買って落として壊すまでの思い出
中学生のころといえばモンハンが最盛期の頃だった。
もっぱらDSでポケモンをしていた自分にとってモンハンはちょっと大人のゲームだった。
だが、クラスメイトたちがモンハンの話で盛り上がる中それに参加できないのが嫌で、
いつも休み時間の話題に入れない僕は欲しいな〜欲しいな〜と思い続けていた。
でも僕の家はゲーム反対派でお小遣いもなかったため、
ゲームを買うにはお年玉と誕生日にくれるお金を合わせて年に大体1万円くらいでやりくりするしか無かった。
そうなると、PSPは当時15000円くらいだったから、買うとしても1年半くらい我慢しないと買えないし、ソフトも買わないと意味ないしなあ、、
と思い諦めかけていた。
そんな時、ある日偶然の出会いがあった。
当時の僕は親が買い物している間に中古ショップをハシゴするのがお決まりだったのだけど、
その間にPSPが中古で売られているのを見つけた。
今でもハッキリ覚えているが、価格は6300円。
僕はこれなら1年貯めたお金があれば本体だけでなくソフトも合わせて買えるぞ、と興奮した。
なぜそんなに安かったのかというと、
僕が見つけたものはPSP-1000型という初期型のもので、
友人たちが持っているPSP-3000のような小型でスタイリッシュな見た目のものとは違い、重量も重くてゴツゴツしている無骨な機種だった。
ただ、とにかくモンハンをやって友達の輪に加わりたかった僕は、この中古の型落ちPSPを買うことにした。
この無骨なフォルムは重いけど意外と手に馴染み、僕はこのPSPに愛着を持ってプレイしていくことになる。
ただ、この重さが結果として仇となることは当時全く考えてはいなかったのだが、それはまた後述する。
一緒に買うソフトは、先輩の家でプレイさせてもらって楽しかった「戦国BASARA」シリーズの「Chronicle heroes」というソフトにした。
…今思えばなんでモンハンを買わなかったんだろうとは思うが、
おそらく安い本体を買ってお金が浮いた分、安めのソフトを試しに買ってみたのだろう。
当時、「戦国BASARA」は日曜夕方からアニメをしていて、ストーリーはよく分からないけど見た目が派手で面白いからよく見ていた。
実際にゲームを買ってみたのだが、一つ勘違いがあってガッカリすることになる。
このゲームは無双シリーズのようにたくさんの敵を吹き飛ばす爽快アクションというものではなく、タイマンで技を繰り出し合う格ゲーのような形式をとっていた。
てっきり無双ができるのだと勘違いしていた僕はガッカリしたが、DSにはなかった美麗なディスプレイやムービー、キャラクターボイスなどは新時代のゲーム機だという感覚がした。
その後も、いくつか安売りされていたゲームを買ってプレイするようになる。
1500円で売られていた「ラストランカー」というゲームは、パッケージがカッコよかったから買ってみた。
一応クリアはしたし、まあまあ面白かった気はするが、バトルの感じがイメージしてたものとは少し違ったような気がする。
武器は「籠手」を使うと意外と渋い動きをできた気がする、、
まあ、キャラクターがカッコよくて、当時中学生の自分には魅力的に映ったことを覚えている。
「キングダムハーツ」シリーズから、「バーズバイスリープ」というゲームも買ってプレイしていた。これは確か中古で2500円くらいだったと思う。
オープニングが宇多田ヒカルの「光」に合わせて美麗なムービーが流れることに衝撃を受けたし、
スタイリッシュで軽快なアクションの楽しさ、
そして切なくて重めのストーリーなど、大人のゲームだあ…と思った気がする。
「メタルギアソリッド」シリーズから、「ピースウォーカー」もプレイした。これはたしか友達から借りた気がする。
DSとは違ってPSPはメモリーカードにデータを記録するから友達との貸し借りが簡単だったような気がする(うろ覚えだけど)
これはスニーキングアクションという特殊なスタイルをとったゲームだった。
そのため操作がなかなか難しく、スネークという主人公が敵に見つかった後に敵に囲まれると焦って操作をミスってしまいすぐ死んでしまっていた。
今思えば中学生にとってアクションでぶっ飛ばす!というゲーム性ではなく、緊張感のある中じっくり進める、、というゲームはなかなか難しかった気がする。
今だったらもっと味わって楽しめる気がするのでメタルギアはもう一度やってみたいなと思う。
一つ強く覚えているのが、
モンハンを出しているカプコンから出ているゲームだから出来たことだが、モンハンに登場するリオレウスというモンスターを倒すクエストがあったことだ。
別ゲーのキャラが出てくることにテンションが上がり、ファンの心をくすぐる仕掛けに興奮した覚えがある。
そして中1の秋頃だっただろうか、既に発売から数年経ちベストプライス版で売られていた「モンハン3rd」を中古ショップで購入した。
これが僕にとって初めてのモンハンだった。
まずプレイし始めて思ったのが操作がめちゃくちゃ難しいということだった。
武器によってコンボのやり方も違うし、
Lボタンでアイテムポーチを呼び出し◯ボタンでアイテムを選んで□ボタンで使う、とか
スライドパットで移動しつつカメラも自分で操作して×ボタンで回避もする、とか、、、
ずっとポケモンをしていてアクションゲームをやってきた回数が少なかった僕にとって、モンハンは相当難しいゲームだった。
モンハン3rdは前作の2ndGに比べるとかなり簡単なゲームだとされていたが、
何が鉄板の進め方かも分からない初心者にとってはなかなかハードルが高い。
スマホで手軽にネットで調べられる時代ではなく、
武器の強化に必要な素材がどうやったら手に入るのか、防具のスキルポイントの仕組みすらよくわからず、手探りで進めていた。
それでもなぜこんな難しいゲームを諦めず続けられたのかと言えば、やはり冒頭に書いたように友達の話に加わりたかったから、ということに尽きる。
当時僕の周囲では集まったらとりあえずモンハンをしていたり、雑談の話題もとりあえずモンハンだったから、
コミュニケーションツールの一つとしてモンハンは必須だった。
(今の中高生はそれがSNSとかYouTubeとかSwitch、PS5のゲームだったりするんだろうか)
だが何度も壁にぶつかり続けた。
まず立ちはだかったのは「クルペッコ」という鳥のようなモンスターだった。
こいつは見た目は弱そうだが、胸を膨らませると硬くなり刃が通らなかったり、
動きが俊敏でなかなか攻撃が当たらなかったり厄介なモンスターだった。
そして何より、「火打石」の攻撃が脅威だった。
こいつが火打石をカッカッと鳴らした後、2、3回ほど連続で飛び込んできて火打石の爆発を食らわせてくる攻撃がある。
これがどうしても避けられず、喰らってしまうと防御力が低くて一発でやられてしまう、恐怖の技だった。
今でも、自分の体力ゲージが半分しかない状態で、クルペッコが火打石を打ち鳴らし始めた時の絶望感を鮮明に思い出せる。
クルペッコをなんとか突破した僕に立ちはだかった次の壁は「ボルボロス」というモンスターだった。
友達がボルボロスで防具を作っていて、それが防御力も高いしかっこいいと思い、このモンスターを周回しようと決めた。
ただ、僕は双剣しか使えなかったこともあり、ボルボロスの硬い体になかなか刃が通らなかったり、そもそもリーチが足りなくて攻撃が当たらない、ということで苦戦を強いられた。
その上、ボルボロスが怒り状態の時の突進は物凄いスピードかつホーミング性能もあり、40分ぐらい頑張って戦ったのに突進一発で終わってしまうこともあった。
それでもなんとかボルボロスを狩って装備を作り、
その後もギギネブラ、ベリオロスといったモンスターに苦戦を重ねていくのだが、、、
今思えば、苦しいながらもモンスターと1人戦い続けるのは本当に楽しかった。
当時はモンハンが発売されて数年経ち、後から買った自分としては周りに手伝ってもらうのも何かプライドが邪魔をしていて、
頑張って上手くなって追いつかなくては!と思っていたのだが、
そうやって1人で試行錯誤しながら難しいクエストを乗り越えていく、というのは何物にも変え難い楽しさだった。
そうして晴れてモンハンデビューを果たした僕は、友達ともモンハンで遊びつつ、家でもソロプレイで遊び続けるのめり込み方を見せた。
ハマりすぎて寝る間も惜しんでモンハンしてしまい、
部屋の電気を消して寝たふりをしてゲームしていると、勘づいた親が部屋に入ってきて、
咄嗟に隠したが結局バレて怒られてしまったこともある。
そうなってくると、ゲーム反対派の親にゲームしているのを見られるだけでも心象が悪くなり、ますます隠れてゲームをするようになってくる。
そしてこれが結果的に悲劇の引き金になってしまうのだった。
当時、僕の部屋はそもそも存在せず、
寝る時以外は襖が開けられているリビングのような部屋で、プライバシーが守られない状態だった。
そこで僕は親にゲームをしているのが見られないように、
部屋の奥にあった大きなテーブルの上に寝そべり、カーテン的な感じでタオルケットを干して視界を遮ることで、一見僕がどこにいるのか分からないような状態にしてゲームをしていた。
そのステルスゲームスタイルを始めてたった数日で悲劇は起こった。
僕はモンハン3rdにおけるラスボス級モンスターである「ウカムルバス」というモンスターをソロで戦っていた。
モンハンを始めたての頃はクルペッコに泣かされていた当時からすると物凄い進化である。
氷に閉ざされた大地での狩りは白熱し、
もう少しで1人でこの強敵を狩れるのではないかという期待と緊張から手汗でPSPはベトベトになっていた。
そしてモンハンというゲームの操作上、左手でアナログスティックを動かしつつカメラ操作をするという持ち方は、本体を支えるには不安定と言わざるをえなかった。
そして悲劇は突如訪れた。
手汗でヌルヌルになったPSPを何かの拍子に手を滑らせてしまい、
PSPは高い机の上から硬いフローリングの床に落下した。
初期型PSPの重く鈍い音がゴトン、と響き渡った。
僕はうわあああああ!という声をあげてPSPを拾い上げた。
幸い壊れた様子は無く、データも飛ばず、
狩りはまだ続けられそうだった。
一安心した僕は狩りを再開し、□ボタンを押して一旦回復しようとする。
すると、
「パキッ」
とあまりにリアルな音が部屋に響いた。
僕は氷のステージで戦っていたから、
今の氷の音、異様にリアルだったなあなんで思った次の瞬間、
画面右端からじわじわじわじわぁ〜と、黒い何かが液晶を侵食し始めた。
戸惑う僕の目の前でそれはあっという間に画面の2/3を埋め尽くしていった。
やはり落とした時に、初期型PSPの自重に耐えきれず、液晶が割れてしまっていたのだ。
僕はもはやプレイ続行は不可能となってしまった黒い画面を見て、
親に隠れてこんなテーブルの上でゲームしなければこんなことにはならなかったのに、と深く後悔した。
これはPSPを買ってたった一年、中2の秋に起こった出来事だった。
そう思うと、意外と1年くらいしかPSPでゲームしていなかったことに驚く。
かなりのめり込んでゲームをしていたから、もっと長くやっていたように思っていた。
ただ、当時は他の娯楽もなく、限られたお金で悩み抜いた末にゲームを買っていたからこそ、思い出は濃く残っているのだろうと思う。
中学生当時憧れでカッコよかったPSP。
GB→GBA→DS→3DS→Switchと順当に任天堂とともに歩んできた自分にとって唯一無二のSONYのゲーム機だったが、
今でもやはりカッコいいゲーム機だと思うし、楽しかった思い出が大きい。
いつか初期型とPSP-3000を手元に用意できたら、もう一度当時やったゲームをやってみたいなと思う。