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スティーヴン・スピルバーグ監督『インディ・ジョーンズ』シリーズ

 ハリソン・フォードの当たり役となった“インディ・ジョーンズ”シリーズ。2023年6月30日から全世界同時公開されるジェームズ・マンゴールド監督のシリーズ最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を前に、スティーヴン・スピルバーグ監督が手掛けたシリーズ4作を改めて観直したので、facebookに上げた感想を改めて並べてnote用に加筆修正を加えた。ちなみに、第1作~第3作までは吹替版で、第4作は字幕版で観た。 
 まずは、『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』。フォード主演のシリーズ第1作。往年の冒険活劇映画を再現し、ユーモアあり、恋あり、アクションありと、シリーズの中でも一番バランスが良いと思う。スピルバーグ監督の演出も冴え、最初から最後まで手に汗握って飽きさせない。今回はかつてWOWOWプラスで放送された1985年放送の日本テレビ『金曜ロードショー』吹き替え版で観賞。フォード=村井國夫さん、カレン・アレン=戸田恵子さんで、村井さんのフォードは本当にハマり役で、このキャスティングをした担当者の目は間違っていなかったと改めて思う。このバージョンが地上波で放送されるのは価値があると思う。かつて、日本テレビの『水曜ロードショー』が『金曜ロードショー』になり、初の放送作品で、テレビ初放送のときに地震が起こり、テレビ画面が地震情報のテロップだらけだったことを鮮明に覚えている。
 次に『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。フォード主演のシリーズ第2作。今回は往年の活劇映画の中でも、巻き込まれ型ヒーローアクションの趣。テンポのいい畳掛ける展開、トロッコでのチェイスなどのアクション、今やオスカー俳優となった子役時代のキー・ホイ・クァンの好アシストぶりなど、前作同様に楽しませるが、グロテスクな場面次第で好き嫌いも分かれるだろう。前作同様、WOWOWプラスで放送された1987年10月放送の日本テレビ『金曜ロードショー』吹き替え版で観賞。フォード=村井國夫さん、ケイト・キャプショー=藤田淑子さん、クァン=田中真弓さんという顔ぶれ。村井さんのフォードはますます安定感抜群で、藤田さん、田中さんも好演で安心して楽しめる。この映画、上京してからの今はなき新宿プラザ劇場での70ミリブローアップ初体験で、ギリギリに入ったので、前から2番目の席になってしまい、あまりの画面の大きさにビックリしたことを記憶している。
 さらに、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』。フォード主演のシリーズ第3作。今回は第1作の冒険活劇に父と息子の絆のドラマが加わり、物語的に広がりができたのが好ポイント。名優ショーン・コネリーの存在感と老練な演技が映画の格調をも高める効果を生み、シリーズ中でも屈指の好編になった。『RRR』では悪役で出演したアリソン・ドゥーティの若き日の姿も見られる。WOWOWプラスで放送され、テレビでは2回目の放送となった1994年4月1日放送の日本テレビ『金曜ロードショー』吹替版で観賞。フォード=村井國夫さん、コネリー=若山弦蔵さんというキャストで、このふたりが聴かせる丁々発止の声の演技、内田稔さん、小林勝彦さんなど、時代劇の悪役などで知られる名優の声の演技も改めて見事だと思った。こんな吹替版だからこそ、何度でも観たくなる。劇場公開時は今はなき新宿プラザ劇場での先々行上映で観た。当時は今みたいに指定席じゃなかったので、早くから並んで席を取って。最終電車に間に合うように全速力で走ったものだった。
 最後に、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』@UーNEXT。フォード主演のシリーズ第4作。今回はインディ版『X-ファイル』という趣。過去のキャスト(カレン・アレン)を出してきたりと、前3作への目配せがあるのは楽しいが、既視感というか、正直、新鮮味が感じられなかったのが残念。ケイト・ブランシェットは怪演(ロシア語訛りの英語でまくし立てる)するが、前作から19年という時間経過は余りに大きすぎる。ちなみに、この作品を観たのは今はなき有楽町の日本劇場での完成披露試写会だったと記憶している。ちなみに、吹替版はフォード=内田直哉さん、アレン=土井美加さん、シャイア・ラブーフ=細谷佳正さん、ブランシェット=本田貴子さんで、唯一、村井國夫さんの吹替が制作されたなかった。だが、6月30日の日本テレビ『金曜ロードショー』では、村井さんで新録されるとのこと。これは吹替ファンにとっては大きなニュースとなった。
 こうして4作を語ってきたわけだが、個人的には1>3>2>4という順番になった。やはり第1作が一番面白いし、3も良作、2はテンポは良いグロい描写によって好みは分かれるだろうし、4はやはり遅すぎた続編というべき出来(今観直すとそれほど悪くはないが……)。先ごろ、村井國夫さんが最新作『~と運命のダイヤル』でフォードの吹き替えを担当することが正式に発表され、吹き替えファンにとっては願ってもないニュースとなった。最新作にしてシリーズ最終作となるこの作品が期待通りもしくはそれ以上の出来であることを祈るのみだ。

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