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『トップガン』に関する個人的な話

 数度の延期を経て、いよいよ5月27日(金)から日米同時公開される『トップガン マーヴェリック』。1986年に公開され、トム・クルーズが注目されるきっかけとなった『トップガン』の36年ぶりの続編で、監督は『オブリビオン』でクルーズと組んだジョセフ・コシンスキーで、クルーズがふたたびマーヴェリック役を演じているということでも話題になっている。
 1986年の『トップガン』はその年の12月に正月映画として公開され、筆者は今はなき新宿プラザ劇場で70㎜ブローアップ版で観た。その後、何かの映画がこけたことで、テイラー・ハックフォード監督の『愛と青春の旅だち』と2本立てで観てからスクリーンで観る機会がなかった。10500円というブロックバスター価格で発売されたVHSビデオを買い、テレビ放送、レーザーディスク、DVDと、何度か観ている。そして、新宿プラザ劇場閉館時の最後の作品として35㎜フィルムで上映されたときに観て、2018年の“午前十時の映画祭9”の、立川シネマシティでの極上音響上映でも観た。
 テレビ初放送はフジテレビの『ゴールデン洋画劇場』で、トム・クルーズ=渡辺裕之、ケリー・マクギリス=吉田理保子、その後は日本テレビ『金曜ロードショー』で、クルーズ=高橋広樹、マクギリス=日野由利加、テレビ東京『木曜洋画劇場』で、クルーズ=森川智之、マクギリス=安藤麻吹(後に追録した完全版も作られた)というキャストで吹き替え版が作られた。ちなみに、ソフト版はクルーズ=塚本高史(これは正直、いただけない)、マクギリス=湯屋敦子というキャスティングだった。
 物語はクルーズ演じる天才的な直観力と技量を持つパイロット、ピート・“マーヴェリック”・ミッチェルが、ミラマー海軍航空基地にあるエリート航空戦訓練学校に入り、マクギリス演じる民間人専門技術教官チャーリーと恋をし、ヴァル・キルマー演じるアイスマンやライバルたちと訓練を積み重ね、相棒の死という挫折を乗り越えて成長していくというもの。プロデューサーがドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーで、監督がトニー・スコット。当時、MTVが全盛で、それを意識しているかのように映像と音楽が巧みに組み合わさって物語が展開し、飛行機同士のドッグファイトがスコット監督ならではのスタイリッシュさで迫力満点に繰り広げられる。その音楽はハロルド・フォルターメイヤー&スティーヴ・スティーブンスの「Top Gun Anthem」を始め、ケニー・ロギンスの「Danger Zone」、「Playing with the Boys」、チープ・トリックの「Mighty Wings」、ベルリンの「Take My Breath Away」、懐かしいところでは、ライチャス・ブラザースの「You Lost That Lovin Feeling」などで、これらの曲を収録したサントラは大ヒットし、当時、CDでよく聴いていたものだ。そのほか、テレビシリーズ『ER/緊急救命室』でメインのキャラクターのグリーン先生を演じるアンソニー・エドワーズ、俳優だけではなく監督としても活躍するティム・ロビンス、ラブコメの女王と言われたメグ・ライアンなど、後に活躍する俳優たちが脇役で出演しているのも見逃せないポイントとなっている。
 この『トップガン』をリアルタイムで観ているか観ていないか、スクリーンで体験したことがあるかないか、すでに観ているか観ていないかで感じるところは違ってくるだろう。筆者のようなリアルタイムで体験した世代には続編が作られること自体が奇跡で、あのマーヴェリックがその後どうなっているのか、どんな物語が繰り広げられるかが興味深い。そのためにも、久々に『トップガン』を引っ張り出して、続編を観る前に観ておこうかと考えている。個人的には本当に楽しみで仕方がない。

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