第4話 「リーダー」はどのようにして現れるの?
今回もお読みいただきありがとうございます。第4話目として、「リーダー」はどのようなプロセスで選ばれるかについて書かせていただきます。
「リーダー」はどのようにして現れるのでしょうか。大きく次の3つの選ばれ方があります。①「自然発生的なリーダー」、②「選挙で選ばれたリーダー」、③「任命されたリーダー」です。以下、このことについて説明させていただきます。
例えば、子どもの頃を思い出してみましょう。学校の休憩時間に校庭で何をしようかとなったときに、誰かがサッカーしようと言い出し、サッカーが回りの子どもたちにとって魅力的であり、賛同して、サッカーをし始め、後からきた子どもたちもその輪に加わるというような場面があったかと思います。この場合、サッカーをしようと言った言い出しっぺが「リーダー」になります。このようなリーダーのことを、①「自然発生的なリーダー」と言います。利害関係や各種しがらみとは関係なく発生するのが特徴です。この「自然発生的なリーダー」は、一般社会の中でも確認することができます。
次に、成人すると選挙権が得られますが、選挙の際にはその権利を行使して国会議員や市長、県・市議会議員等を投票によって選出することも経験したことがあるかと思います。このようにして選ばれたリーダーのことを②「選挙で選ばれたリーダー」と言います。
さらに、学校を卒業して、会社に就職して特定の部所に配属となったときに、係長、課長、部長などの役職の指導の下で働くことになると思いますが、この係長、課長、部長などの役職は、会社から任命されたものです。このようなリーダーのことを、③「任命されたリーダー」と言います。
総務省の労働力調査(2020年平均)によれば、就業者は6,676万人で就業者に占める雇用者の割合は89.5%だそうです。就業者の約9割が会社等に雇用されている雇用者ということです。なので、以下、雇用者にとって最も身近な存在である③の「任命されたリーダー」について少しばかり述べていくこととします。
会社で、「任命されたリーダー」は、組織運営上の必要性から、指揮命令権、予算などの配分権、部下の評価権や人事権を会社から正式に与えられている点に特徴があります。「任命されたリーダー」は、マネジメントによって、つまり、社内のルールや制度を部下社員に適用することによって、組織集団をコントロールしていきます。任命された段階でマネジメントという武器を会社から正式に付与され、フォロワーである部下社員が、喜んでついていくかどうかは別として、部下社員を動かして組織目標達成に貢献していきます。そして、このことが、「任命されたリーダー」が大きな勘違いをし、混乱を招く元凶にもなります。
会社の部長を考えてみましょう。“よ~し、今日は飲みに行くぞ。”といって、社内の部下がついてきているとき、また会社の取引先の業者の方から、“○○部長にはどこまでもついていきます。”などと耳障りのいい言葉とともに、一緒についてきてくれた場合、その部長がリーダーシップを発揮したからでしょうか?
純粋に、その部長がすごいリーダーで、フォロワーが本当に喜んでついていっているのかもしれませんが、残念ながらたいていの場合は、そうではなく、社内の部下であれば、ついて行かなければ、人事評価や昇進などに影響するとの不純な動機から、社外の人ならば部長個人にではなく、その背後にある会社の予算や契約締結のためについて行っている場合が多いのです。喜んでついて行っているわけではないのです。つまり、実際には、マネジメントで部下が動いているのですが、本人はリーダーシップを発揮していると勘違いしているのです。
このマネジメントとリーダーシップの差異に気づかないと混乱が生じる元凶となります。
例えば、2021年4月から、「高年齢雇用安定法」が改正され、労働者を60歳まで雇用していた事業主には、当該労働者の65歳までの雇用確保の義務に加えて、65歳から70歳までの就業確保措置を講じることが努力義務となりました。少子化とあいまって、今後ますます高年齢者の雇用が増えてくることが予想されます。定年退職して役職もなくなり、元部下であってもその指揮命令に従わなければならないのに、元の役職の時の権力を振りかざして元部下にあれこれと指示をして、社内を混乱の渦に巻き込むことも少なくはありません。目を覚ましてほしいものです。
1人でも部下を持ったら、マネジメントにより部下が動いているのか、リーダーシップにより部下が動いているのかしっかりと区別、認識をして、マネジメントとリーダーシップとを混同せず、うまく使い分けることが大切です。