365回目の初恋、そして天国で結ばれた二人-ある特養での小さな出来事
いつもありがとうございます。
ヘルパーとして特養でのボランティア時に聞いた話しを少し付け加えています。サラリーマン時代に時々ですが週末ボランティアを行っていました。車で30分くらいの特別養護老人ホームでの小さな出来事です。
私が訪問したある時『今日は若いお兄さんが皆でゲーム大会をしてくれるから庭に集まりましょう』園内放送が流れ車椅子で動ける30名ほどが中庭に集まりました。皆さんお久しぶりです。お元気でしたか?田中さん、山田さん、最近調子はいかがですか?質問するとみなボソボソと。
今日は天気が良いのでみんなで大きな声でゲームをしましょう!しかもお兄さん(私)なけなしの給料から皆さんに景品を買ってきましたよ!2〜3人のお婆ちゃんが拍手をしてくれた。じゃあ行きますよ!と大きな声で『じゃんけんぽん』『あいこでしょ』全員に景品が行き渡るように飴を配った、景品をもらった皆は喜んでいました。
私が車椅子を押したおばちゃんの部屋に帰る途中に2階で寝たきりの元木おじいちゃんが心配だから連れて行って欲しいと言われ、職員に確認して連れて行った。すると寝たきりの元木おじいちゃんは、手を振ってありがとうと言ってくれた。
職員と休憩しお茶を飲みながら二人の話をしてくれた。先に入所した私が車椅子を押したお婆ちゃん、少し遅れて入所した2階で寝たきりのおじいちゃんとは当時直ぐに仲良くなって毎日食事を一緒にしていた。ただ前日の記憶はほとんど忘れてしまう二人なのに、毎朝同じ場所で朝食を食べるようになって、その会話が『あら昔どこかで会ったことあるかしら』から始まるのよ。職員は教えてくれた。
半年くらい続いて二階の元木おじいちゃんは体調を崩したの。さっき連れて行ったらお互いに手だけ振って何も話しは有りませんでしたよ!午後のボランティアは洗濯だったので職員と話す暇もなくその日を終えた。
それからおよそ半年後、その特養で夏祭りがあるから遊びに来てと連絡があったので遊びに行き、少し手伝った。するとあのお婆ちゃんが車椅子で近づいてきた。私の顔を見るなり泣き出してしまった。聞くと『二階に行連れて行って』と言っているので、職員に聞いた。
二階で寝たきりの元木おじいちゃんは1ヶ月前に体調を崩して亡くなったと、そうですか。
あのお婆ちゃんは、職員を見つけると二階に行きたいと言って、時間のある時に連れて行っていたの、するとね挨拶は『初めまして』なんだけど、毎回お婆ちゃんが手紙を渡していたのよ、元木おじいちゃんが亡くなってから引き出しを片付けたら沢山の手紙が出てきたのよ。職員が教えくれた。手紙にはね『天国で結婚して』しか書いて無いけど誰かが教えてそのまま書いているだけだと思うけど、本人たちは全部分かっているのかしら!
しかもね、その手紙を数えたら365枚もあったのよ、信じられないよね。信じられないのは半年ぶりに来たあなたを見てあのお婆ちゃんは『二階に連れていって』って言ったでしょ!記憶は殆どないのにあなたの事を覚えている事もすごいと思う。
あれから10年以上が過ぎていますが、今頃は車いすのお婆ちゃんは先に亡くなった元木おじいちゃんと天国で結ばれて幸せに過ごしていると思います。(名前は全て仮名です)
日本には600万人の認知症の方がいると言われています。よろしければご覧ください!
いつも最後までありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?