PMP プロジェクトマネージャー編
プロジェクトマネージャーの定義
プロジェクト目標を達成する事に責任をもち、チームをするために母体組織が任命する人物
◯ プロジェクトマネージャーの役割
プロジェクトマネージャーは、チームのリーダーシップに重要な役割を果たす。これは、どのプロジェクトにおいても共通事項ではあるが、プロジェクト毎にテーラリングされる。
そして、役割として求められるものには以下のものがある。
a) 立ち上げから終了まで一貫してプロジェクトに関与すること。
b) プロジェクトの立ち上げに先立って評価に携わり、戦略目標の推進、パフォーマンスの改善、顧客ニーズを満たすための提案について、機能部門及び、経営陣との連携
c) ビジネスアナリスト、ビジネス・ケースの作成、及び、ポートフォリオマネージメントの側面で、マネジメント支援を行うこと
d) プロジェクトから得られるビジネス上のベネフィットを実現することに関連する後続の活動に関与すること
◯ 機能部門マネージャー
機能部門や事業部門を管理監督することを重視する。
◯ 定常業務マネージャー
業務を効率的に進める責任を負う
◯ プロジェクトマネージャーの影響が及ぶ範囲
1)プロジェクトマネージャー独自の活動
プロジェクトマネージャーには、影響の及ぶ範囲において多くの役割がある。その役割は、能力を示すものであり、専門職の価値と貢献を示すものとなる。
a) 目標とステークホルダーの期待に応えるようにチームを導く
b) 利用可能な資源と競合する制約条件とのバランスを維持する
c) スポンサー、チーム・メンバー、その他のステークホルダー間の
コミュニケーションをとる
2)プロジェクトマネージャーのコミュニケーション
このコミュニケーションには、方向性の明示やプロジェクトの成功に向けたビジョンの提示が含まれる。
更にソフトスキル(人間関係のスキルや人をマネジメントする能力)を使っってコンセンサス(合意)を得るためのステークホルダー間の調整を行う。
a) 口頭、書面、非言語などを使った、きめ細かなコミュニケーション・スキルを開発する。
b) コミュニケーション計画とスケジュールを作成し、保持し、順守する。
c) 予測可能で一貫性のあるコミュニケーションをとること
d) ステークホルダーのコミュニケーション・ニーズを理解する
e) 簡潔で明瞭、完全、シンプル、かつ関連性があり、テーラリングされた
コミュニケーションとする。
f) 重要な良い知らせと悪い知らせを含む
g) フィードバックチャネルを組み込む
h) プロジェクトの要員がネットワークを広げることを含む関係構築スキル
ここで言う、ネットワークには以下のものが含まれます。
a) 組織の階層のような公式なネットワーク
b) プロジェクトマネージャーが構築し、維持し、育成する非公式なネットワーク(重要)
3)組織への影響
組織内では複数のプロジェクトが並行して実施されている。
プロジェクトマネージャーは、担当プロジェクト以外のプロジェクトとのコミュニケーションを積極的に実施し、人的資源、技術的資源、財源、成果物へのニーズを満たす事が必要となり、以下の点で他のプロジェクトへ影響を与える事がある。コミュニケーションを積極的に実施し、人的資源、技術的資源、財源、成果物へのニーズを満たす事が必要となり、以下の点で他のプロジェクトへ影響与える事がある。
・同一資源への需要
・資金調達への優先順位
・成果物の受け渡し
・プロジェクトと組織の間の目的及び、目標の整合性
4)組織全体のプロジェクトマネジメント・コンピテンシー(能力・資格・適正)の強化
プロジェクトマネージャーは、以下に記載するコンピテンシー強化に取り組む必要がある。
<コンピテンシー>
高い業績・成果につながる行動特性
・暗黙知や形式知の移管や統合の施策に関与する。
・プロジェクトマネジメントの価値を示す
・組織内のプロジェクトマネジメントの受け入れを増強する。
・PMOが組織に存在する場合、その有効性を高める
5)業界への影響
プロジェクトマネージャーは、業界の動向に通じている必要がある。
それは、業界の動向がプロジェクトにどういった影響を及びす可能性があるのかを判断する必要があるためであり、その領域は以下の通りである。
・プロダクト及び、技術開発
・新規及び、変化する市場ニッチ(市場のすきま)
・標準:プロジェクトマネジメント、品質マネジメント、情報セキュリティマネジメント
・技術支援ツール
・直近のプロジェクトに影響する経済勢力
・プロジェクトマネジメント分野への影響
・プロセス改善と持続可能性戦略
6)専門的分野への影響
プロジェクトマネージャーには、継続的な知識の移管と統合は非常に重要となる。
a) 地域内、国内で、そしてグローバルに知識と専門知識に関して他者へ貢献すること:実務コミュニティー、国際組織など
b) トレーニング、継続教育、能力育成の機会に参加すること:プロジェクトマネジメントの専門機関、大学、PMI、システムズ・エンジニアリング、コンフィギュレーション・マネージメント、情報技術、航空宇宙
複数の分野に跨る場合は
a) マネジメント手法の価値に関して、専門家として他の専門家を指導かつ教育すること
b) 適時性、品質、革新性、及び、資源マネジメントに関して、プロジェクトマネジメントの利点を組織に伝える事により、非公式の大使として機能する。
◯ プロジェクトマネージャーのコンピテンシー(能力・適正)
PMI タレント・トライアングル(PMI Talent Triangle)が提唱され、プジェクトマネージャーの必須スキルとして特に重要な事項としている。
・プロジェクトマネジメントの技術
・リーダーシップ
・戦略マネジメント及び、ビジネスのマネジメント
1)プロジェクトマネジメントの技術的スキル
プログラム又は、プロジェクトで望ましい成果を得るためにプロジェクトマネジメント知識を効果的に適用するスキルをいう。
・プロジェクトの重要成功要員
・スケジュール
・選択された財務報告書
・課題ログ(従来型やアジャイル型のツールを利用してテーラリングする)
・線蜜な計画に時間をかけ、念入りに優先順位を付ける
・スケジュール、コスト、資源、リスクを含むプロジェクト要素をマネジメントする
2)戦略的マネジメント及び、ビジネス・マネジメントのスキル
組織全体をハイレベルな視点で把握し、戦略的提携と技術的革新を支援する意思決定及び、行動を効果的に交渉し、かつ展開する能力をいう
a) ビジネス知識(ドメイン知識)の要求・プロジェクトのビジネス上の需要な側面を他者に説明する。
・プロジェクトのスポンサー、チーム、及び、当該分野専門家と協力
・プロジェクトの適切な実行戦略を講じる
・プロジェクトの事業価値が最大化されるように戦略を展開する
b) 組織の側面を他者に説明できる。
・戦略
・ミッション
・目的とサービス
・定常業務:場所、タイプ、技術など
・顧客や市場の状態など
・競争状況
c) 組織とプロジェクトとの整合性を確保する
・戦略
・ミッション
・目的と目標
・優先順位
・戦術
・プロダクトとサービス
d) プロジェクトと組織との相互関係を理解し、ビジネスと戦略的要素がプロジェクトに及ぼす影響を判断する。
・リスクと課題
・財務上の影響
・費用便益分析
・事業価値
・ベネフィット実現の見込みと戦略
・スコープ、予算、スケジュール、品質
3)リーダーシップ
リーダーシップとは、チームを統率し、動機付けしながら導く能力
a) 交渉力、回復力、コミュニケーション力、問題解決力、クリティカルシンキング、及び、人間関係のスキルなど
b) プロジェクトマネージャーの役割の大部分は対人的なもの
・人の行動と意欲を探る
・リーダーシップは、組織におけるプロジェクト成功に不可欠
c) リーダーの資質とスキル・明確なビジョンをもっていること
プロジェクトのプロダクト、目的、目標の説明に役立つ理想を抱く事ができ、その理想を他の人に分かり易く説明できる。
・楽観的でポジティブであること
・協調的であること
・関係やコンフリクトをマネジメントすること
- 信念を構築する。
- 懸念を一掃する。
- コンセンサスを追求する。
- 競合し相反する目的のバランスを取る
- 説得、交渉、妥協、及び、対立解消のスキルを適用する
- 個人的及び、専門家としての人脈を構築し育成する
- 人間関係はプロジェクトと同様に重要である、という長期的な視点をもつ
- 政治的洞察力を継続的に育成し適用する
・コミュニケーション方法
- コミュニケーションに十分な時間を費やす
- 期待をマネジメントする
- フィードバックを快く受け入れる
- 建設的なフィードバックを与える
- 問いかけ、傾聴する
・他者を尊重し(他者の自立性保持を支援する)、礼儀正しく、
親しみやすく、親切で、正直で、忠実で、かつ論理的であること
・誠実で高潔、文化に敏感で勇気があり、問題を解決でき、かつ決心が
固い事
・認めるべき他者の功績は認める事
・結果指向かつ行動指向の生涯学習者であること
・重要事項に重点的に取り組む事
- 必要に応じて見直しと調整を加え、継続的に作業の優先順位をつける
- 自分自身とプロジェクトに沿った優先順位付けの方法を見出して活用する。
- ハイレベルの戦略的優先事項を差別化する
- プロジェクトの収容な制約条件を継続的に監視する
- 戦術的優先事項を柔軟に対応する。
- 不可欠な情報を取得するために膨大な寮の情報を取捨選択できる
・プロジェクトへの全体的かつ体系的視点を持ち、内部的要因と外部的要因を同等に考慮することを同等に考慮することクリティカルシンキングを適用し、自身を変更の起爆剤とすること・クリティカルシンキングを適用し、自身を変更の起爆剤とすること
・効果的なチームを構築し、サービス指向でユーモアがあり、チーム・メンバーと効果的に情報を交換できる
d) リーダーシップ及び、マネジメントとは、最終的に物事を成し遂げる事が
出来る
・政治的に対応する能力
- 政治とは、影響、交渉、自律性、及び権威に関わるもの
- 組織がどう機能するかよく理解する。
- プロジェクト及び、組織の情勢を吟味してデータを収集し、プロジェクト、関係者、組織、及び環境を考慮して、全体的にレビューする。
- 結果的にプロジェクトマネージャーは、最も適切な行動を計画し実施するために必要な情報と知識を生み出す
・権威の行使
- 積極的かつ意図的に権威を行使する
- 他人の感情に敏感であり、他人を尊重する責任を伴う
・権威の形態
様々な場面で使用する形態がある
- 職位による
-- 組織又は、チーム内で与えられた公式な職位
- 情報による
-- 収集や配信のコントロール
- 後ろ盾による
-- 個人に対して他者が抱く敬意や賞賛、得られた信頼性
- 状況による
-- 特定の危機など固有の状況を起因する
- 個人的又は、カリスマ的
-- 魅力、惹きつける力
- 関係性による
-- ネットワーキング、人脈、提携への参加
- 専門的な
-- スキル、保有情報、経験、トレーニング、教育、資格認定
- 報酬による
-- 賞賛、金銭、その他望むものを与える能力
- 罰を与える、又は強制
-- 懲罰や否定的な結果を行使する能力
- 取り入れる
-- 好意や協力を引き出すためのお世辞やその他共通な要素の活用
- 圧力による
-- 望ましい行動に従わせる目的で選択や移動の自由を制限する
- 罪悪感による
-- 責任や義務感の強制
- 説得する
-- 人を望ましい一連の行動へと動かすための論拠を提供する能力
- 回避する
-- 参加を拒否する
e) リーダーシップとマネジメントの比較(超重要)
・マネジメントとは、期待される既知の行動を通じて他者をある地点から別の地点へ到達するよう導くこと
・リーダーシップとは、他者をある地点から別の地点へと導くために議論や討議を通じて他者とともに物事を進めること
下記は、マネージメントの行動に対して比較したリーダーシップの行動を比較したものである。
・地位の力を使って指揮する → 関連する力を発揮したガイダンス、影響、協業
・維持 → 開発
・管理 → 革新
・仕組みや構造に注力する → 人との関係性に注力する
・コントロールに頼る → 信頼を鼓舞する
・直近の目標に注力する → 長期ビジョンに注力する
・いつ・どのように、と尋ねる → 何を・なぜ、と尋ねる
・ボトムラインに注力する → 水平展開に注力する
・現状を受け入れる → 現状に挑戦する
・正しく行う → 正しい事を行う
・運用上の課題や問題解決に注力する → ビジョン、整合、動機付け、インスピレーションに注力する
f) リーダーシップのスタイル
スタイルは要因によって、時共に変化する
主な要因:リーダーの特性、チーム・メンバー、組織の特性、環境特性
また、一般的なスタイルとしては以下のようなスタイルがある。
・自由放任型(傍観主義)
→ チームに意思決定及び、独自の目的設定をさせる
・業務達成型(例外によるマネジメント)
→ 報奨の決定において、目標、フィードバック、および達成事項に重点をおく
・サーバント・リーダー(リーダーシップは二次的)
→ 他の要因を第一に据えて仕える
→ 他の要因の成長や学習、自己開発、自律性、及び、幸福に重点を置く
→ 人間関係、地域社会及び連携に集中的に取り組む
・革新型
→ 理想化された特質と振る舞い、インスピレーションを伴う動機付け、個人への配慮を通じて部下の奮起を促す
・カリスマ的
→ 鼓舞することができる、エネルギッシュ、情熱的、自信がある
・相互型
→ 業務達成型、変革型、カリスマ的の組み合わせ
g) パーソナリティ
考え方、感じ方、行動の特徴的なパターンにおける個人による違い
・真摯な
→ 他者をそのまま受け入れる、他者を思いやる姿勢を示す
・礼儀正しい
→ 適切な振る舞いやエチケットを適用する能力
・創造的
→ 抽象的に考える、ものを違った角度から見る、革新するなどの能力
・文化的
→ 価値観、規範、信念を含め、他の文化に対する感度の尺度
・感情的
→ 感情及び感情の背景となる情報を把握し、マネジメントする能力
人間関係のスキル尺度
・知性的
→ 複数の能力にわたる知能の尺度
・マネジメント的マネジメント的
→ マネジメントの実務と潜在能力の尺度
・政治的
→ 政治情報と成果実現の尺度
・サービス指向
→ 他者に貢献する意欲の表れ
・体系的
→ システムを理解し、構築を意欲する
◯ 統合の実施
1)統合におけるプロジェクト・マネージャーの役割
戦略目標を理解し、目標と結果がポートフォリオやプログラム及び、事業領域にスポンサーと共に取り組み、戦略の統合に寄与することと、
プロジェクトレベルで、プロセス、知識及び、要因の統合を行い、チームが協力しあって真に重要な事項に取り組むように導く事
尚、統合の観点には以下のものがあります。
a) プロセスレベルでの統合
→ 複数のプロセスを統合する
b) 認知(コグニティブ)レベルでの統合
→ 全ての知識エリアを熟達し、経験洞察、リーダーシップ、テクニカル・スキル、及びビジネス・マネジメント・スキルをプロジェクトに適用して統合する。
c) コンテキスト・レベルでの統合
→ 統合をマネジメントする際に、プロジェクト環境と変化する環境の側面を認識している必要がある。
2)統合と複雑さ
プロジェクト内の複雑さは、組織のシステムの動作、人間の行動、組織、又は、その環境における作業の不確実性の結果である。