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[いつだって「大丈夫だ」って鳴らしてくれる私のロックヒーロー]ASIAN KUNG-FU GENERATION「プラネットフォークス」
[5.31 De ArribaのMVリンクを追加]
こんにちは。シリアスファイターです。
ついにやってきました。2022年3月30日。
サカナクションやKANA-BOON、フレデリックのニューアルバムも当~~~然のように素晴らしく、空前絶後のおおおお、超絶怒涛のおおおお、仕上がりでしたが、
何よりもアジカン、約3年ぶりのニューアルバムの発売日。
小学生時代にロックという音楽ジャンルに目覚め、その後も成長期をたくさんの曲たちに支えられて生きてきた、間違いなく自分の人生に最も影響を与えた原点のロックバンドのニューアルバム。
(そのうち時間あったらnoteにまとめたいいいい…。)
書いて当然、いや、むしろ、大変恐縮ですが書かせていただきます、という職場でも見せたことのない腰の低さでいざ1曲ずつ、主観たっぷりの感想をまとめましたので、よろしくお願いいたします。
1.You To You(feat. ROTH BART BARON)
なんてこった!
めちゃくちゃ風通しがいい、ロック色強めの曲から始まるとは・・・!
アルバム発売ちょっと前に先行配信された曲で、一応リード曲扱いになるのでしょうか。
前作の「ホームタウン」で炸裂した、パワーポップ全開の解放的な空気は健在という印象で、作曲においてアジカンのロック魂を引っ張ってきた一人であるベースの山田さんへの信頼感を、改めて底上げしちゃうとてつもない仕上がりです。
昨年のツアーに参加して、直に触れても分かったように、バンドの状態がどれだけオープンか、心底よくわかりますよ!こりゃ!
めくるめく音楽の旅を予感させる、これ以上ないオープニング。
2.解放区
アルバムに入るなら、この曲が最後かなぁ・・・という安直な予想を軽々と飛び越える2曲目。
一曲目から更なる解放感を持って、聞いている私の景色を、4分間で数えきれないほど何色もの色に塗り替えてくれます。
初聞きの時は、中盤のポエトリーリーディングパートに少し驚きましたが、曲の雰囲気にピタリとはまった言葉たちは、この曲の自由な雰囲気をより一層引き立てます。
ラストの大サビで外の世界に解き放たれる感覚は、何度聞いても心地良いです。
早くライブで「解放ーーー!」って歌える日が来ることを願って・・・!
「解放ーーー!」の後の余韻について、シングル収録時より伸ばしている(?)ことで、余韻まで解放感ばっちり。
3.Dororo
これ、「解放区」と同じシングルだったんだなって思い出すと、相当情緒不安定だな(バンドが、じゃなくて、聞いている側の話です。)と今になって実感しました。
前2曲から一転、ドロドロのマイナー調のアジカン先輩の降臨です。
タイトル通りのアニメ主題歌曲ということで、アニメの世界観に恐ろしくばっちりはまっていましたね。
こういうマイナー調の曲は今のバンドの雰囲気とか、後藤さんの心境として積極的に書くタイプの曲ではなくなったような気がしますが、それでもタイアップで求められる音像にきっちり仕上げつつ、闇の奥の光を信じるという、アジカンとして歌い継いできたこととの折り合いもバッチリ付けるという、これ以上ない曲。
4.エンパシー
同じアニメ主題歌でも、こっちは今のバンドのマインドに近いんじゃないかと思うと同時に、私はヒロアカファンなので、映画館でこの曲を聞いて、そっと背中を押してくれるエモーショナルなメロディと歌詞に、普通に泣きました。
前作にも「ボーイズアンドガールズ」という、若年層の背中をそっと押すエールとしての大名曲がありましたが、より疾走感を持って静かに背中を押す名曲をまたもや生み出してしまったんですよね。
この曲の制作は、数年サポートメンバーとして尽力していただいている下村さんとの共同プロデュースによるところが大きいと後藤さんもおっしゃっていました。
下村さんとの出会い、抜群の信頼感と安心感のあるライブサポートしていただいた時間や、その風景を思い出すと、より「人が人を思いやること」の強さに感極まります。
5.ダイアローグ
既発曲は続くよどこまでも。
(悪い意味じゃないよ!)
「エンパシー」のその先、というストーリーとしても聞ける曲順ですね(リリースは「エンパシー」の方が後でしたが。)
「難しいのは いつだって承知の上」
「ささやかでも 今は弱い光でも
響く速度で声を聞かせて 届け どこまでも」
走りだした背中を押しつつ、音楽を用いた更なる「対話」によって、シングルよりももう一つ上の次元の世界に踏み出せそうな高揚感に溢れています。
6.De Arriba
アルバムからの新曲として、初聞きの曲はこれが初めてですね。
一転して少しダークな歌詞ですが、曲自体は静かなバンドサウンドで始まり、曲が進行するにつれ少しずつ熱を帯び、もう喜多さんのギターなんて終盤はギュワンギュワンに暴れまくっています。
曲の盛り上がりに伴う高揚感は、個人的に「新世紀のラブソング」を彷彿とさせるもので、あの曲をもう少し肉体的なバンドサウンド成分多めにした感じ・・・という印象でしょうか?
たくさん傷つけ、踏みにじってきたような思いを、そのままにせず、気づいた時点から「もう一度やり直そう」という宣誓として受け取りました。
ただやり直すのではなく、
「後ろめたさを抱えて
貧しさを乗り越えて」
どんな人間だって、ダメだって気付いた時にやり直すしかないですよね。自分だってそう。
そういう人間を見たときに、
① 更に叩きますか?
② ささやかに背中を押しますか?
③ 特に何もしませんか?
他にも選択肢はあると思いますが、どれが「かっこいい」生き方かっていうと、私は二番目を選びますけど、あなたはどうですか?
アルバム発売から約2ヶ月経ち、MVが後公開されましたが、閉鎖された空気感から、徐々に光が後から刺してくるような構成になっていますね。
7.フラワーズ
「エンパシー」のシングルカップリング曲ですね。
柔らかい音像のバンドサウンドと後藤さんの裏声の丸みを帯びた響きに、ゆっくりと目を閉じながら、ベランダで午後の日差しを浴びながら椅子に腰かけて聞いていたい曲No.1。
バンドサウンドを壊すことなく、曲にそっと彩りを添えるストリングスのアレンジが、個人的にツボです。
8.星の夜、ひかりの街(feat. Rachel & OMSB)
RachelさんとOMSBさんがクレジットされてる時点で、HIP-HOP調の、後藤さんのソロよりの曲かしら?なんて思っていたら、曲はめっちゃ肉体的なアジカンのバンドサウンド。
部屋の隅でくすぶっているような、星のない空のような暗闇に、ラップ調で紡がれる言葉がそっと「ひかり」を灯してくれます。
こういうロックとヒップホップが融合した曲って、無茶苦茶に激しい曲しか知らなかった(たまたま思い出せないだけかも)ですが、
夜にふと寂しさや不安が募りやすい、私みたいな人間には、このくらいの距離で寄り添ってくれる曲が、めちゃくちゃ重宝します。
9.触れたい 確かめたい(feat. 塩塚モエカ)
車のCMで聞いたことある方もいるかもしれない既発曲(ダイハツでしたっけ?)。
羊文学の塩塚さんをフューチャリングしてのツインボーカル曲で、「静かに、力強く」ってキャッチコピーを勝手につけて、似合うなあって1人で納得していた曲。
塩塚さんの声って繊細なんですけど、凛として芯のある感じもあって、不思議な聞こえ方のする印象です。
これっていう捉えどころがない。
ロックバンドの曲って、「結局気持ちと捉え方次第でしょ!」って曲は割とあると思います。
私もそういう曲によく勇気づけられたりしてきましたが、
はっきりと物理的な部分に焦点をあてて、人との繋がりへの想いを歌っている曲ってあまりない印象です。
それゆえに、何か「人恋しいという思い」をより一層掻き立てられます。
10.雨音
ここからラストまで、アルバム初聞きの新曲祭りです。
…ってイントロから驚き桃の木山椒の木。
突然の昭和ムード歌謡を彷彿とさせる、リバーブかかりまくりの伊地知さんのドラムと、メロディをグイグイ引っ張るシンセサイザーは何ですか・・・!?
もうかれこれ10枚目のアルバムですよ・・・。これまた新しい一面。
1曲目以来の、Cメロで現れる喜多さんの色っぽいボーカルにもほれぼれとしつつ、ライブで聞いた時には、きっと酷い雨の後に、七色の虹が光るような光景が見えるでしょう。
サビでミラーボールとか回ってると楽しいかも!って一瞬思いましたが、ちょっと明るすぎる気がしたので、やっぱり無しで。
(じゃあ書くなよ私。)
11.Gimme Hope
後藤さんのソロ曲の雰囲気に一番近い印象です。
アコギ主体の心地よいメロディが鳴り響くAメロから、バンドサウンドに一転するサビへ繋がる流れは、6曲目に近い、「新世紀のラブソング」に近い、謎の高揚感があるのですが、6曲目は少し獰猛な高揚感だったのに対して、こっちは「決意」の高揚感という印象です。
誰もいなくなっても、何もなくなっても、そこにあった数々の想いを歌い継いで、語り継いでいく。
そのことこそが今を未来に繋いでいく希望そのもので、確かな情熱と決意を持って、今こそ鳴っていてほしいロックバンドの曲。
12.C’mon
一転してカラッとした雰囲気のロックチューン。
「カモンカモンカモンイエー」の繰り返されるフレーズは、ライブでもノリに乗れること間違いなしなのに、歌詞はこのアルバム屈指の皮肉溢れてるときたもんだ!さすがアジカン!侮れねえ!!
間奏の喜多さんのギターのエフェクト、ワウワウしまくり、はっちゃけまくりでとても楽しそう笑
歌詞が皮肉たっぷりゆえに、開き直ったような印象すらあります笑
どんなクソみたいな世界でも、今ならまだ生まれ変われるかも。
13.再見
様々なアプローチのアレンジが施された曲が続いたので、至極全うなギターロックが突然現れて、「あ、アジカンらしさっ。」って久しぶりの再会(?)を果たしました。
前アルバムの「さようならソルジャー」などにも通ずる、余計なものなど一つもない、4人だけのグルーヴの力強さはたまりません。
近年は色々な音楽的要素を取り入れて、どんどん発展しているアジカンの音楽も、やはりこの4人が培ってきた強固なグルーヴあってのものなんだと、改めて思わせてくれる曲。
肉体的なロックバンドが好みだって人は、この曲だけでも聞きましょう(切実)。
14.Be Alright
序盤で、「最後は「解放区」だろ・・・」とか、うだうだ言ってた自分のケツを高らかに蹴り上げたくなりました。
てか誰か蹴り上げて。
最後はこの曲しかありえませんでした。
ロックンロールを通じて何度でも、大丈夫だ、オールライトだと歌ってきたバンドが、そのものズバリのタイトルで、サビでも何度も重層的なコーラスで「Be Alright」って歌ってるんですよ・・・!
もう散々、ライブの最後といえばこの曲だよね・・・!を何度も更新してきたアジカン先輩は、またそのハードルを軽々と飛び越えていきました。
根本に確かなロックンロールを携えて、バンド以外のたくさんの人と、音の力を持って、確かに一筋の希望を鳴らす14曲のロックの旅。
昔はよくアジカン聞いてたのに、いつの間にか聞かなくなっていたそこのあなた。
「リライト」とか「ソラニン」しか知らないそこのあなた。
そして何となく1人で心細い日々を過ごしているそのあなた。
音楽は、世界を変えることはできなくても、聞いたあなたの心の、そのほんの片隅に、確かな灯りを灯してくれることは間違いないマスターピースです。
機会があれば、是非聞いてみてください・・・!
今回はここまでです。
曲数が多いこと、アジカンへの愛、愛、愛などもあり、いつになく長い感想になりました。
最後まで読んでいただいたそこのあなたへ、本当にありがとうございました。