【ライブ感想文】ヤバイTシャツ屋さん「“Tank-top Flower for Friends” ONE-MAN HALL TOUR 2023」@カナモトホール 2023.3.20(月)
こんにちは。シリアスファイターです。
今回はヤバイTシャツ屋さん(以下、ヤバT)、ニューアルバムを引っ提げた全国ホールツアー、札幌公演のライブ感想文です。
反撃の狼煙をあげる、直球のパンクロックと、ユーモアたっぷりのタンクトップが咲き乱れたアルバムを引っ提げてのツアーですが、まさかのライブハウスでなく全てホール公演!
貴重すぎる!
しかもそんなツアーでも、チケット販売に毎回苦心している札幌公演をしっかり組み込んでくれるとは…。
感謝の気持ちが溢れすぎて、感謝が重すぎて頭が上がらない私。
声出しができるようになったライブに個人的には少しづつ慣れつつある中で、この日のヤバTはカナモトホールで、どんな花を咲かせてくれるのか…。
とっても春らしい陽気だったこの日の札幌で、陽気で楽しいロックバンドのライブを浴びるため、仕事終わりにカナモトホールへ駆け出しました。
開演前、春らしさのハードルを軽々飛び越え、常に先を行き続けるかのように、ケツメイシやORANGE RANGEなどの夏ソングが次々と殴打される会場内は、とても穏やかな雰囲気です笑
ライブが始まれば、ホールだろうと灼熱になるのは分かりきっていますが、私が知るロックバンドのライブの中でも、比較的和やかで柔らかい空気が流れているヤバTのライブの待ち時間はとってもお気に入り。
定刻を10分ほど廻ったところで、そんな和やかな雰囲気そのままに、いつも通りのSEとともにメンバー3人が登場。
もりもとさんは登場から、顧客の声が聞きたいとばかりに手を煽り、待ち侘びた私含めた顧客がそれに応えます!
「今日は声出してもいい!
マスク外してもいい!
しててもいい!
自由に楽しんでー!」
と・は・い・え!
ようやく声出しできるヤバTのライブを待ち侘びていた道民顧客の気持ちに150%応えた1曲目は、タイトルコールから歓声があがった「喜志駅周辺なんもない(増税ver.)」…!
お待ちかねの間奏部のコールアンドレスポンスでは、嬉しさのあまり?、札幌市民に媚びを売りまくるこやまさんと、その様をすかさずツッコむもりもとさんという、コントのような展開に思い切り「声を出して」笑えることに、北海道から遠く離れた喜志駅周辺あるあるを「大きな声で歌えること」に、いっぱいの喜びが溢れ出します…たっのしいいぃ!!
まだまだ出し足りない!と、怒涛のWi-Fiコールが炸裂する「無線LANばり便利」。
早くもステージの端から端まで駆け寄って笑顔でベースを弾き狂うありぼぼさん!
今日はホールライブで椅子があるということもあり、落ちサビ前の着席はお手のもの笑
一斉に会場中のジャンプが咲き乱れ、文字通り県境を越えてやってきたヤバTのパンクロックが私の耳に、心に直接届いて、私の声も3年越しでヤバTに届けることができた、再会と再開に相応しすぎる曲になっていました…!
こやまさんの鋭すぎて好きすぎるギターフレーズから、獰猛な「くそ現代っ子ごみかす20代」。
「一緒に歌ってくれ!」
文字通り会場中のフレーが木霊していた「hurray」。
どちらも新しいアルバムの曲で、声出し解禁後にライブで聞くのは初めての人も多かったと思いますが、何の躊躇いもなく声も腕も上がり続けていたのは、
たとえ不自由な状況下でも、分かりやすく口ずさめるキャッチーなメロディを持つ曲を作り続けて、とんでもない量のライブをこなしているヤバTを信じ続けている、私のような道民顧客がたくさんいたからに違いありません。
そうして怒涛のように駆け抜けた前半戦5曲を締めくくるのは、早くも登場「あつまれ!パーティーピーポー」!
もうこの時点で、ホール会場とはいえすっかり熱気はライブハウスそのもので、仕事着姿で会場に駆け付けた私も、脇を中心にすっかり汗だくで踊り狂っていました…汗
こやまさん「ツアーセミセミファイナルです!ありがとうございまーす!」
もりもとさん「それわざわざ言うことちゃうやろ笑」
ありぼぼさん「札幌、めっちゃチケット売れ残ってるとか言ってたのにめっちゃ元気やん!」
序盤は(特に)こやまさんがいつにもましてクールな雰囲気をずっと纏っていた気がしましたが、5曲終えてすっかり楽しそうな様子!
いつもながら、コントのような雰囲気のMCで朗らかな時間が流れます。
とはいえチケットが余ってるのは事実で、この日のホールの3階席部分は前2列のみ埋まっている状態…ですが、こやまさんの呼びかけに対する3階席からの歓声は凄まじく大きい…!
「本当は(3階席部分を)隠すこともできたけど、ギリギリまで売りました。
だからこそ、あそこにいる人に今日ライブを見てもらうことができています!」
上手くいかない部分も包み隠さず、1人でも多くの顧客に届けようとする姿勢に、思わず歓声と拍手があがります。
そこから、少し哀愁すら感じられるギターフレーズを奏でるこやまさん。
「アルバムツアーやけど、ワンマンなんでレアな曲もやっていきます。
今日はレア曲多めです。」
そんな言葉に歓喜する会場の期待にふさわしい選曲は、哀愁なんて吹き飛ばす「はやく返してDVD」…って意外すぎる!!
いや、嬉しいけど!
頭を振り乱しながら、メンバー同士向かい合って披露される激しいセッションは、バンドとしての演奏力と熱量の高さという、ヤバTの土台にある魅力を存分に味わえる至福の時間です…!
「今夜はチルい夜にしようぜ。」
こやまさんもしばたさんも、ハンドマイクで歌う姿が絶妙に様になりつつ、もりもとさんは腕を組んだり手を振ったり、かわいい姿が様になるという対比笑、で魅せた「dabscription」。
そんな前フリが大いに効いて、後半のパンクロックパートの荒々しさは、BGMにするなんてもってのほかで、原曲以上に切実さを感じられました。
そこから再び元気いっぱいキャッチーゾーン!
「げんきもりもり!モーリーファンタジー」では、もりもとさんが嬉し恥ずかし苦い顔を見せながら、寸分の狂いもない高速のドラミングと間奏での歌唱パートをバッチリと決めてくれます!
そこから再びレア曲、「どすえ〜おこしやす京都〜」。
なんでこの会場にいる人は、この奇妙な技名の数々を、満開の笑顔とともに大きな声で歌ってるんだ、しかも仮にも京都のきょk...なんて言ってくる人に、危うくどすえタックルをお見舞いする勢いで突き上がる拳と、合唱が響き渡るカナモトホール。
もちろん、そんなタックル常習犯はいないと信じていますが、こういう一見、意味の分からないように思えることで大はしゃぎできている今って、最高に平和で尊いと改めて思いながら、私も拳を突き上げていました。
そのままこのパートを締め括るのは「ハッピーウェディング前ソング」…!
声の大きさから手拍子の大きさまで、この日の最高記録をグイグイと更新していく様は圧巻…!
このままライブ終わるんじゃないかというレベルの盛り上がりだなと思っていたら、曲終わりの怒涛のセッションで本当にライブを終わらせにかかるメンバー笑
「まだ終わりませーん。」
そりゃそうだよな笑笑と思いつつ、ここまでの10曲で既に中々のカロリーです。
「北海道のローカルCMソングとかある?」
こやまさんから会場への呼びかけに応じて、真っ先に歌われたのは、登別市のクマ牧場のCMソング笑
(YouTubeなどで、「クマ牧場 CM」などで検索すると公式ではないけど動画がたくさん出てきます。)
「めっちゃおもろいやん笑」と、ラップ調のメロディが気に入ったらしいこやまさん。
その場でもりもとさんが即興でドラムを叩き始め、会場中でクマ牧場のメロディを奏でる謎のセッションタイムに突入笑
最高のグルーヴでした笑
そのまま新アルバムの曲やるから歌ってーという呼びかけに応じて、おそらくこれかなと思うメロディを顧客が歌い出しますが、こやまさんとしばたさんはまだクマ牧場から抜け出せていません笑
それに合わせてクマ牧場を顧客も歌い始めたら、
「そこはアルバムの曲やるって言うてるんやから、なんか適当にアルバムの曲歌い出したらええやん。」
と、理不尽な怒りを顧客にぶつけるありぼぼさん笑
声が出せるようになった今ならではのグルーヴが会場に出来上がったところで、こやまさんのアコギの音色が爽やかな「もし僕が石油王やったら」で、ちょっぴりほっと一息しつつ、ここからは再び新アルバムの曲を中心に。
水色の淡い照明に照らされながら、ストイックでかっこいい演奏がよく映えていた「俺の友達が俺の友達と俺抜きで遊ぶ」。
ステージ上のスクリーンに投影される歌詞も相まって、終始シリアスな雰囲気を感じさせる名演でした。
一転して「ダックスフンドにシンパシー」では、会場中にワンワン吠えるちっちゃい子犬(顧客)が大量発生する愉快な事態に笑
そこに唐突に挟み込まれる「癒着☆NIGHT」は、こやまさんがずーっと言い続けていた「新曲」ではなくなったものの、アンセムだらけのヤバTの、最強アンセムの一つとして、堂々と鳴っていました。
この振り幅広すぎブロックを締め括ったのは「Blooming the Tank-top」。
今日一のデスボイスの切れ味を見せるこやまさんの凄まじさ、パンクの激しさ、キャッチーさなど、全てごった煮なのにストレートで良い曲という、このブロックを総括するのにピッタリすぎてかつ、ライブでの演奏のキレは新曲と呼ぶには恐れ多い完成度でした。
ここで会場へのアンケートということで、各年代の顧客が手を挙げていくのですが、10代から60代まで幅広い顧客が集まったこの日。
それでも20〜30代が多かったらしく、
「俺ら10代20代に人気あるって紹介されることあるけど、実際は20代30代中心や!」
もっと10代からの人気を獲得したい!というヤバTの面々。
そんな中、初めてヤバTのライブに来る人も多かったという結果から、ちゃんとコロナ禍でも顧客を獲得できてた!と自信をのぞかせるこやまさん。
(「獲得」、「マルチ商法」など、言い方が良くないとメンバーからツッコミを受けていましたが笑)
そうして幅広い年代に愛されるヤバTが、10歳未満の子も喜ぶ一曲ということで繰り出すのはもちろん「ZORORI ROCK!!!」。
子どもから大人まで、キャッチーなメロを口ずさみながら、自由に身体を揺らします。
この日唯一のミドルテンポのバラード枠?として披露されたのは「肩 have a good day -2018ver.-」。
落ちのAメロ部では、こやまさんがステージの前に出てきて渾身のアカペラ歌唱をしようとするも途中、涙(?笑)がこみ上げて歌えなくなってしまいます!
頑張れええ!
かっこいいいい!
会場中から顧客たちの歓声が上がる中、メンバーと胸に掲げた握り拳を合わせながら、なんとか最後まで歌い切ったこやまさん…!
笑っていいのか、真面目なのか、たまに分からなくなるけど、曲自体は自然と胸に迫るものを感じるのはなぜだろう?
そういう心の広さを、大切にすることに決めました。どういう?
さあ、ここから怒涛の終盤戦で、流石に楽しすぎて命を落とすかと錯覚した怒涛の畳みかけの先陣を切ったのは、待ってました!「Beats Per Minute 220」!
青と赤という、間違いなくレッドブルを意識したであろう照明演出とともに、岡崎さんのパートも、こやまさんとしばたさんで分担して歌い繋げる様に、否応なしに気持ちが昂ります。
そこから必殺の「ヤバみ」と来たものですから、楽しさも、理解されない怒りも、全てここで吐き出さざるを得ませんでした…!
「北海道でMV撮った曲、やっていいですかー!?」
とくればもちろん「ちらばれ!サマーピーポー」。
先日解禁されたTV歌唱でもこぞって披露されたこの曲は、爆音とともに天井をぶち抜いてくるサビでの解放感をライブで、生で味わうことで、計り知れないほど「楽しさ」のカタルシスを味わうことができました…!
「このツアー、1公演目は声出し禁止でした。
2公演目でちょっと出せるようになって、3公演目からマスク有りでOK、そしてついに今日マスクも外せるようになりました!
取り戻したというか、また新しい形でライブを楽しめるようになってきました。
でもやっぱりヤバTはライブハウスでみたいよなあ!」
取り戻してきたライブ現場の空気を、今度はライブハウスで味わいたいと祈りを込めて演奏された「Give me the Tank-top」には、ライブハウスから声を失われた時に感じられた悲壮感はありませんでした。
変わらず紡いできた、「必要不可欠」なパンクロックへの、タンクトップへの想いは今、また新たな形で咲き誇って、たとえ不格好でも、これから先も真っ直ぐ進んでいくんだと自然に思えて、ヤバTについてきて本当に良かったという気持ちが込み上げてきました。
「みんな3年間、よく我慢したなああ!」
そんなことを言われてからの本編ラストは、初めて声を出して盛り上がれる「NO MONEY DANCE」でしたから、脳汁ドバドバでとんでもないカタルシスでした…!
心からのピース✌️とともに、「yeah!!!!!」と初めて叫んだこの日を、墓場まで持って行きます。
「ヤバいT!」「シャツ屋さん!」と誰が役割を決めるでもなく、会場の顧客から交互に繰り出されるアンコールの呼びかけに応じてくれたヤバT。
率先して登場したもりもとさんを煽る、もりもとコールが唐突に始まるとともに、もりもとさんは、笑っていいとものタモリさんのような愉快な拍手締めを決めようとしますが、途中に謎の休符(ありぼぼさん命名)笑を入れたことで、一発目は上手く決まらず笑
その様子を、貼り付けたような笑顔で見守るこやまさんと無表情で見守るありぼぼさんという対比に笑わされる中、二発目でビシッとキメると、手にはドラムスティックではなくハンドマイクが。
こやまさんは用意されたキーボードの前に座り、緊張した面持ちで練習を繰り返します。
「どうしてもみんなに聞いてほしい曲があって。
ヤバイTシャツ屋さん結成10周年なんですけど、集大成の曲ができました。」
ということはもちろん、新アルバムで群を抜いて異色な「インターネットだいすきマン」。
もりもとさんはサビとCメロの歌唱以外出番がないため、1番では手を前に組んで手持ち無沙汰にしつつ、2番以降は足と頭を動かし控えめに踊る様が何ともかわいらしい。
緊張しつつも軽快なリズムでピアノを弾くこやさんもかわいらしい中、「泣かんようにせんと」と曲前は言っていたにも関わらず、それまで笑顔全開のパフォーマンスを見せてたのに、全ての感情を押し殺して正確無比な音程で歌うありぼぼさんとの対比が凄まじく、どんな気持ちで受け止めればいいのかとても難しい時間でした笑笑
曲が終わると、まるでそんなことなかったかのように、いそいそと楽器を準備し、
「まだあるぞレア曲!」
とのこやまさんの振りから、本当に久々に聞いた「ネコ飼いたい」!
怒涛のパンクモードから、一転して壮大な落ちサビでは、こやまさんの呼びかけから会場中の照明が消され、顧客のスマホライトが光り輝く感動的な演出!
そんな中で歌われるのはただ一つの切なる願い、「ネコ飼いたい」🐱
改めて、これがライブの非日常感だよな…としみじみ感じていました。
最後の最後は「かわE」で大団円!
MVのダンスを完コピして踊る人、手拍子する人、一緒に歌う人、様々な人が自分のやり方で自由に楽しむ姿に溢れたまま、2時間近くあったライブは終了。
「絶対、口コミだけで紅白歌合戦出ますんで!
北海道でも、ヤバT紅白出そうみたいな雰囲気づくりお願いします!」
自らのライブ現場の在り方を取り戻して、また新たな形で先に進み続けているヤバTのことですから、信じてついていけば全く夢じゃないですよね、紅白。
またそのパンクロックを、これからも聞かせてください、歌わせてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。