アルバムの魅力+2022年マイベストアルバム10選


 こんにちは。シリアスファイターです。



 今回は、前回のベストソングに続き、今年のマイベストアルバム10枚をまとめてみました。


 すっかり時代はサブスクを中心とした、配信、プレイリスト等による聞き方が主流となっており、アルバム単位で曲が聞かれる機会は減りつつあるかと思います。


 そんな中でも、今年も良い「アルバム」・・・たくさんありました。素敵でした。



 アルバム単位で聞くことによって、


・曲単位で発見できなかった新たな楽曲の魅力を再発見
・全体を通して込められたミュージシャンの音や意図を思うままに解釈して楽しむ
・数曲分のシングルやその時のライブツアーも含めたそのミュージシャンの歴史に思いを馳せる




 などなど、もっともっと推しのバンド、ミュージシャン、音楽そのものに沼落ちすることができるのが私にとってのアルバムです。



 世の中ベストアルバムについて書かれた記事は山ほどありますが、ひとまず私は自分が思う上記のようなアルバムの醍醐味を存分に味わえたという観点から、今年聞きすぎた10枚に絞ってまとめてみます。


 順番は、順位とかではなく適当です。



 それでは。

①マカロニえんぴつ「ハッピーエンドへの期待は」


 えっっっ!ロックバンドってまだまだこんなに遊べる可能性があるんだっっっ!


 と、「っ」をどれだけ並べても足りないくらい、年明け早々マカロニえんぴつの株が爆上がりしたアルバムでした。


 正直、一曲一曲単体で聞いてた時は、あまりピンときていなかったマカロニえんぴつでしたが、初めてアルバム単位でまとめて聞いた時に、どこから湧いて出た!?というアイデアてんこ盛りの曲展開を、それでもポップに、ロックにまとめ上げることを、力技ではなく自然とやっていることに興奮しっぱなしでした…!


 曲単体でも最高強度のポップソングが並んでいるので、サブスクのプレイリストとしても十分機能しているような、今の時代にも適応したアルバムでありつつ、特にマカロニえんぴつをあまり聞いてなかった私のような人間が、一曲目から通して聞くことですっかりこのバンドのトリコになってしまうパワーに溢れています。

 僕が僕を愛せる強さを
 かなり愛してもいいか?
 くすぶるのだ 燃えカスになるまで
生きるをする

 すっかり売れまくっても、どこまでも自由に、自分勝手に遊んでくれるロックバンドが、来年もどう遊んでくれるのか楽しみです。

②ASIAN KUNG-FU GENERATION「プラネットフォークス」


 バラエティの豊かさで言えば前述のマカロニえんぴつに通じる部分がありますが、こちらは成熟したアジカンの解放的なムードが存分に味わえるアルバムでした。


 ハードロック!パワーポップ!と、近年はコンセプトがはっきりしたアルバムが続いていたアジカン。


 このアルバムは音楽のジャンルでは明確なコンセプトがあるわけではなく(もちろん「ロック」ではある)、今アジカンが奏でたい音楽が、その強靭なグルーヴの演奏と、多種多様なミュージシャンとのコラボレーション等により、自由自在に奏でられています…!

 痛みや行き先のないその思いも
 僕らは誰彼と踏みつけた であれば
 それぞれの言葉や記憶を遡って
 もう一度 やり直そう
 後ろめたさを抱えて 貧しさを乗り越えて
De Arriba


 時を越えて、様々な壁や隔たりを越えて、何度でも大丈夫だと歌い続けてくれるアジカンが、とことん自由にやっているロックンロール集は、聞き終わる頃には優しくて暖かい気持ちになれます。

③SUPER BEAVER「東京」


 (無論、いい意味で)今年最もストレートに「わたし」の心を突き刺してきたロックアルバム。


 ビーバーが一貫して貫いている、目の前の「あなた」1人に向けて鳴らされるロックソング集ですが、SUPER BEAVERのアルバム史上最も、「わたし」自身はもちろんのこと、今わたしの周りにいる大切な人のことを思って、生きたくてたまらなくなるようなアルバムでした。


 10曲目「東京」の余韻が続く中、たっぷりと間を取った後に始まる11曲目「ロマン」のギターフレーズは、何度聞いてもまた一歩踏み出したくなります。

 愛されていて欲しい人がいる
 なんて贅沢な人生だ
東京
 一緒に頑張ろうはなんか違うとずっと思っている
 親愛なるあなたへ心を込めて 頑張れ
ロマン

 ちょっと不器用すぎるくらい、人と向き合って生きている人に送られる、これ以上ない人間讃歌集です。

④ナードマグネット「アイム・スティル・ヒア」


 ナードマグネットのパワーポップを!アルバムを!また聞けた!という喜びが過去一のアルバム過ぎました。


 文字通り紆余曲折ありすぎた、ここ数年のバンドの歩みをなぞるかのような曲順で、ラストの「アナザーラウンド」に辿り着いた時のカタルシスはたまりません…!

 合言葉を覚えておいて
 何度でもやり直そうね
 最高の人生にしようぜ
アナザーラウンド

 生きてる限り何度でもやり直せる人生を、聞くたびにまた始めようと思える唯一無二のパワーポップ集。


⑤ GLIM SPANKY「Into The Time Hole」      


 なぜか懐かしくて、それでいて新しいような、時間が止まった音楽の世界に手招きされるインスト曲から始まる、38分のブルースとロックの旅。


 時代の流行りなどには目もくれず、自分たちが好きな音楽を一貫して突き詰める姿勢は変わらず、でもアルバム全体には、決して聞く人を選ばない自由でポップな雰囲気にも溢れています。

 階段を登っていく 春の予感の中で
 初めて歩く道を行こう
 平凡な特別を抱きしめていたいよ
 ずっと壊されない様な
 形ないものを
形ないもの

 どんな音楽にも時を越えて変わらない良さがあることを、ブレずに伝え続ける2人の音楽に触れているうちに、不思議と音楽好きでいる自分を丸ごと肯定されているような気持ちになれるアルバム。

⑥鈴木実貴子ズ「最終兵器は自由」


 RISING SUNのおびただしい熱量を撒き散らすステージ以来、すっかり大ファンになってしまった2人組バンド、鈴木実貴子ズ。

 徹底して「現実」と「自分自身」のことだけを歌うハードコア精神で、情けなくなったり、無気力になったり、もはやロックすら聞きたくなくなるような時のことも、ありのまま歌われます。

 第一声から実直に突き刺さる歌声と、激しいバンドアレンジのサウンドは、文字通り「真面目に」人生を生きる人の心を抉ります。

 正体を明かせよ
 生きてしぬ それでいい
生きてしぬ

 なんの混じり気も、作為性もない、人生そのもののようなアルバム。

⑦ 崎山蒼志「Face To Time Case」


 Jpop然とした曲から、打ち込みのEDMで実験的な曲、ジャッキジャキのアコギが鳴り響くヘヴィな曲まで、ジェットコースターのように私を振り回しながら、しかし作っている本人は絶対楽しいことが如実に伝わってくる意欲作でした。


 ここ数年は、1人でなんでもこなせるミュージシャンの台頭が珍しいものでは無くなり、崎山さんも例に漏れずと思っていますが、このアルバムと、7月に見たライブも踏まえて、とにかく音楽への好奇心と探究心が凄まじい…。


 クールそうに見えて、目の奥がギラギラに輝いてますよ…崎山さん…。


 加えて、どんな曲を歌う時でも、中性的で人と会話してるかのような暖かさを感じる、私の好きなタイプのあの声…たまりませんね。

 揺らぎあるものの為に
 生きてきたんじゃないし
 でもこの振動は
 私を確かに呼んでる 嘘じゃない
嘘じゃない

 どこまでも音楽を探求し続ける崎山さんのこれからにも目が離せません。

⑧ 秋山黄色「ONE MORE SHABON」


 3rdアルバムにして、私の中での秋山黄色推しをいよいよ決定付けたアルバムでした。
(色々ありましたが、やっぱりこのアルバムは外せませんでした。)


 例え白夜の心に明日はなくとも、時にはそんな現実から逃げたり、そんな現実について大きな声で吐き出してみたり、一瞬でも救われたと思える逃げ場ともなり得るのが音楽であり、そのことを否が応でも認識させられる1枚でした。


 不器用な心を持った人間を見つめる秋山さんの視点(歌詞)はとても優しいし、ピアノを主軸に置きながらも至って真っ当に、身体がはち切れる寸前の勢いでギターを鳴らしながら歌うその姿は、ロックンローラーそのものです。

 出口のない痛みに向き合い
 藻搔いてしまう君が誇らしい
 ズルの仕方を一緒に覚えよう
シャッターチャンス


 私は待ってます、あなたの音楽。


⑨amazarashi「七号線ロストボーイズ」


 このアルバムは引っ提げられたライブツアーの思い出も込みでよく聞きました。


 amazarashiとしての秋田ひろむさんのエピソード0ような、地元青森での原体験や想いが随所に織り込まれながらも、それを踏まえて今ある現在を突き進むバンドの、これまでで最も力強い足取りが克明に記録されたロックアルバム。


 ライブではそんな言葉たちをより深く伝える為のスクリーン演出から初まり、一曲一曲をはち切れんばかりの熱量で歌い、凄まじい集中力で演奏し切る生き様をこれでもかと見せるステージに息を呑みました。

 この先は空白だ もう恐れない
 自由とはなんて寂しいんだろう
 ただ車窓の景色の速度だけ早くなる
 僕と歌だけを運んで
空白の車窓から

 決してポップになったとか、開放的になった訳ではない(そんなこともないのか?)けど、ここまで歩いてきたバンドの歩みを信じて、また一歩踏み出していくamazarashiの旅路と自分の人生に幸があることを願います。

⑩ELLEGARDEN「The End of Yesterday」


 この記事を書いてる時点でほとんど聞き込めていないので、ここに入れるか少しためらいましたが、結局入れずにはいられませんでした。


 40分近い再生時間の間、「16年ぶり」とか、「あの頃のエルレ」とか気に留めるほどもないほど、「今」を全力でサバイブするELLEGARDENが頭からケツまで鳴り響いている極上のアルバム。


 唯一変わらないと思ったのは、1人で疲れたり元気がなかったりする時に聞くと、スッとビタミンのように染み込んで元気をくれる、グッドメロディしかないロックバンドであるところ!


 ミドルテンポの曲でも、BPMの早い曲でも、成熟したバンドの演奏とグルーヴが、メロディが、身体に、心に、深く根を張って生きる力になる感覚があって、過去のエルレのアルバムとあえて比較するなら、この点において間違いなく過去一のアルバムだと思います。


 これが最後かもしれないという覚悟の言葉とともに、昨日の終わりを何度でも迎えに行き、行けるところまで今を突き進むロックバンドのこれからを思うと、早くも来年が待ちきれません…!


 今回は以上です。

 別に今後聞く音楽の参考にもならないと思いますが、少しでも愛情と熱量が伝わっていれば幸いです。


 来年は、4月以降の動向が未定のため、今年のように(個人的には)とんでもないペースでライブに行くことはないと思いますが笑、
 それでも少なくとも3月までは行けるライブには積極的に足を運びつつ、聞ける曲は引き続き聞きまくって、気が向いたら筆を取ろうと思います。


 1人でも、そこのあなたに読んでいただけてるのであれば嬉しいです。


 というわけで、最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

 来年も、音楽好きなあなたが少しでも心穏やかに過ごせますように。


 先日挙げたマイベストソングはこちらから↓

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