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【ネタバレあり ライブ感想文】Cody・Lee(李)「Major 2nd Album Release TOUR 「I want to be a flower」 」@苫小牧ELLCUBE 2024.10.13(土)
こんにちは。シリアスファイターです。
今回はCody・Lee(李)、ニューアルバムを引っ提げてのライブツアー、苫小牧公演のライブ感想文です。
いつものようにまだまだまだまだ継続中のツアーですが、以下の文章では演奏曲にも存分に言及していますので、今後ツアーに参加予定の方は閲覧を控えることをオススメします。
それでは。
このバンドとの出会いは「我愛你」という曲。
煌びやかな中華風の味付けが施されたダンスミュージックのグルーヴに、至って中性的で、目の前に居ずともすぐ側にいるような感覚を思わせるという意味で人間味に溢れた高橋さんの歌声に、よく分からないけどなんか聞いたことない!!という感覚を覚えるものの、そこまで深追いすることはなく。
しばらく経ち、たまたまYouTubeのオススメに現れた二度目の邂逅は「おどる ひかり」。
日々を生きる上で時々現れる「ひかり」の粒が散らばり続けるようなサウンドはとっても好み。でもさらに深追いすることはなく。
そこから少し経ち、気付けばメンバーは4人になっていて、ふと聞いた「生活」という曲。
これだ…この日々を生きる延長線上で確かに鳴っている感じ…これは相当好きな音楽だ…!
そこから直近の配信曲を少し深追いしてみると、あれよあれよと私の音楽のツボのどこかに確実に効いてくるポイントがある曲ばかり、しかも近々アルバムが出るらしい…どれどれ聞いてみよう。
やられました。私の生活の中に鳴っていてほしい音楽が増えてしまいました。
これは、今年中にライブを見るしかない。
リリースツアーの日程は札幌と苫小牧ですが、札幌の日は都合上不可、じゃあ潔く苫小牧で即決!!
という訳で車を運転し、苫小牧。
この日の会場であるELLCUBEは、何度も目の前を通り過ぎたり、映像や写真で見ることはあっても入るのは初めての場所で、キャパ250人ほどの小さいライブハウスですが、いざ入ってみるとキャパの印象よりは縦長で広く、どの位置で見ても見やすそうなライブハウスという印象。
私は前から3列目あたりで、刻々と開演の時を待ちます。
ほぼ定刻通りに場内のBGMが音量を上げるとともに会場が暗転。
「NOT WAR, MORE SEIKATSU」がSEとして流れる中、原さん(Dr.&Cho.)を筆頭にメンバーがステージに登場すると、客席からのSEに合わせたバンドクラップや歓声はより力強さを増していきます…!
SEが鳴り止むと同時に鳴り出す、ギターのハウリング。
高橋さん(Vo.&Gt.)によるバンド名の紹介と「よろしくお願いします。」の挨拶から、他のメンバーによる不揃いのワンツースリーコール…!
ニューアルバムの曲順通り、「涙を隠して(Boys Don’t Cry)」が始まると立ち上がる、風通しの良いバンドサウンド。
中盤の「空が持ち上がる」というフレーズは、バンドがその影響を公言しているフジファブリックの「虹」を想起しつつ、それとは別次元の浮遊感を得られるアンサンブルで、本当に気持ち良く宙に浮かぶ心地になった瞬間、
高橋さん
「苫小牧ー!!」
高橋さんの叫びを皮切りに、力毅さん(Gt.&Cho.)がお立ち台に上がり、更なる歓声を聞きたい…!とばかりに手を耳に当てると途端に上がる歓声!
そして、見事なギターソロ…!
このままニューアルバムモードのポップな世界観を推して盛り上げていくかと思いきや、続くはミドルテンポの「LOVE SONG」。
アッパーに盛り上げるでもなく、その切実さを刻みつけるギターリフがザクザクと心に入り込んでくる渋い立ち上がりで、音楽と言葉を、丁寧にじっくりと届けたいという気概を感じられる選曲。
この曲でもお立ち台に立ってギターソロに興じる力毅さんですが、本当に清々しい顔でギター弾く方で、音も立ち振る舞いも見ていてとても気持ちいい…!
じっくりとその音でフロアを暖めた後、無邪気にパッと解放されるような心地がするのは、「ほんの気持ちですが!」の可愛らしいギターリフですが、原曲以上にロックバンドを感じるのは、グルーヴを牽引する原さんの力強いビートがグンと前に出てきていたから…!
客席で上がる拳も増えてくる中、原曲同様にフェードアウトしていく演奏。
そのまま再び同じフレーズをフェードインしてスパッと締まるのが原曲ですが、フェードインしてくるのはその力強いドラムが印象的な原さんによる、強烈なスネア連打のドラムロール…!
まさかすぎる「初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!」に突入すると、さっきまで淡々としたボーカルワークを見せていた高橋さんも歌い出しから歌い散らかし、曲の後半ではニシマさん(Ba.&Cho.)もベースを弾きながら客席に突っ込んで行ったりと、突然のクライマックスかと思うほどの衝動に溢れ、びっくりしたように揺れるライブハウスと私の心…!
高橋さん
「ありがとうございます。
(ニシマさんの方を向きながら)苫小牧は、いい感じに俺らとフィーリング合うよな?
まだ(ライブハウスの近くにある)ローソンしか行ってないけど笑」
お互いの出身地に似た地方都市のフィーリングを感じるというお二人は、それなりに調子が良さそうなご様子。
この後、次の曲のサビに向けて、この日のサポートを務める、中野さん(Key.)と東風さん(Cho.)によるハンドクラップ講座が開催されます。
高橋さん
「ポイントはなんですか?」
中野さん
「パパン!の後にくる、パッパ!のリズムですね。」
東風さん
「…元気よく!」
お二人によるアドバイスも功を奏し、続く「ストロベリーエンジェル ~Don’t Say Goodbye~」では、楽しげなクラップが会場中に響き渡ります…!
間奏部でギターの音が前面に飛び出すセッションは、そんなギターの音とは裏腹に(?)、高橋さんはサポートのお二人と向き合って客席には背を向ける形になり、ニシマさんは先ほど同様に客席の前に突っ込み、力毅さんは堂々と前を向いて演奏を続けと、バラバラなまま一体感のある痛快な展開…!
曲が終わると、ディスコ風のリミックスが施された「異星人と熱帯夜」が流れる中、次の曲の準備を始めるメンバー。
準備を整え鳴り響くのは「真夏のジャイガンティック」ですが、これが特に良かった…!
キーボードとギターを主軸にして運ばれる爽やかな風の音色が心地良くて、ビートの軽やかさもピカイチ。
なんて爽やかにライブ映えする曲なんでしょう…!!
ハンドマイクに切り替えた高橋さんも、この日初めてお立ち台にひょいっと登り始めたと思いきや、特に何をするでもなく淡々と元に戻ったりと、その自由な立ち振る舞いと肩の力が抜けた歌唱で、曲のイメージに寄り添い続けます。
そのまま、「君と行ければめっちゃ嬉しい」の客席からのレスポンスが見事に決まっていた「DANCE 風呂 a!」 から2曲ほど、ゆったりとした雰囲気で音に乗れる曲が続きます(この次の曲が思い出せず…割愛しますが、とにかく心地良く揺れたフィーリングだけは残っています。)。
高橋さん
「苫小牧は…ソールドしませんでしたね。」
どうやらこの苫小牧公演は、バンドのマネージャーの方の出身が北海道のこの辺りであることから組み込まれているとのこと。
前回のツアーでも同じように組み込まれ、その時もソールドアウトとは行かず、動員に苦戦した様子ですが、今日はその時よりも30人近く多い人が入っている!とのことで、すかさずニシマさんからアシストが入ります。
それでも、「人が少ないとこの方が燃える。」という高橋さん🔥
前回の苫小牧でもやった曲で、ここに置いていくような趣旨のMCから披露されるのは、イントロのアンサンブルが鳴り始めた瞬間、真っ暗な夜に確かな月明かりが差し込む感覚が大好きな「ひとりのよるに」…いや!嬉しっ!
毎回でも聞きたい…!
普段の生活の中で聞く時は圧倒的に一人の瞬間が多くとも、夜のライブハウスで鳴らされるこの曲が持たらすのは、圧倒的に「ひとりだけどひとりじゃない」感覚で、目の前のお客さんに、丁寧に音と言葉を届けるバンドの姿勢を、何度だって再確認させてくれるものでした。
そんな音が染み渡った後、ひとりで抱えきれない感情を吐き出せるのもまたライブハウス。
真っ赤な照明に切り替わるとともに、ニシマさんのベースイントロに歓声が上がったのは「悶々」で、中華風のイントロのリフに沸き立つフロア…!
ライブハウスが再び熱を帯び始めたところで、切込隊長のような鋭いギターリフから、カンフー映画で流れてきそうな太鼓と踊れるビートが躍動するのは「DANCE扁桃体」で、まさしくこのバンドならでは音像でしかあり得ない高揚感がフロアに充満していきます…たまりません…!
高橋さん
「…キングオブコント見ました?」
唐突すぎる高橋さんのMCでしたが、この日の客席には、録画してこれから見る方も一定数いたことからこの話はあっさり無しに笑
高橋さん
「MCは毎回、何喋るか決めてないんですよ。
もっとかっこいいMCしたいとは思うんだけど…」
力毅さん
「響(高橋さん)の思う、「かっこいいMC」って何?」
高橋さん
「まず、「お前ら!」でしょ?笑
後、「ライブハウスで会おう!」みたいな決め台詞?
でも、そういう感じでもないんですよ。
たまには、ライブハウス以外のところで、ばったり会っちゃってもいいと思うし。
…チューニングしていい?」
緩い雰囲気のMCはニシマさんへバトンタッチ笑
北海道の滞在中、セイコーマート限定のトマト酎ハイにどハマりしたというニシマさんは、今日もマネージャーさんにお願いして買ってきてもらったとのこと。
この後ふと、原さんのステージ衣装の話題に。
このツアーではメンバー全員黒いスーツでビシッと揃えていたものの、この日の原さんは黒いTシャツ。
どうやら札幌のホテルに衣装を忘れてきてしまったそうで、その衣装がどうなったか高橋さんに問いただされますが、なぜか歯切れの悪い回答で濁す原さん(真相はアンコールで明らかに。)笑
高橋さん
「…曲やりますか。」
こうしてライブを再開する切なげなイントロは「春」でしたが、歌い出し早々、自分のパートではないのに自然と歌い出してしまう高橋さんは、0.1秒でそのことに気付き慌てて演奏を中断します笑
高橋さん
「普段そんなことないのに、歌っちゃったわ。笑」
原さん
「いい曲だったのにぃ!笑
よし!じゃあTAKE2!いきますか!!」
ステージも客席も優しい笑いが収まらない中、バンドの元気印である原さんのナイスアドリブを踏まえて、しっとりと紡がれ直された「春」の、演奏の集中力と儚げで綺麗な音像に息を呑みます。
高橋さん
「言えないことも多いけど、この曲の中では素直に言える気がします。」
打ち込みのキラキラしたビートに、疾走するバンドサウンドが重なる「さよuなら」になると、高橋さんのボーカルは曲の進行に連れて、音楽に対するひたむきさと、確かな熱を帯びた力強いものに変わっていって、見ているこちらも自然と心に力がこもります…!
君のその声だけを 抱え来世も生き延びたいのです
遠くに行っても 灯りが消えてしまっても そうね
迷わず会えたら また抱き締めて良いのかな
高橋さんにスポットライトが当たる中、サビのフレーズを真っ直ぐで飾り気のない弾き語りから始めた「イエロー」。
もうライブも終盤かと思われる中、あくまでもひたむきに音楽を届ける様だけが浮き彫りになって、それが淡々と染み渡るだけの、何の混じり気もない音楽と人だけの時間。
力毅さんによるロック然としたアウトロのギターソロまで、たっぷりと浸らせていただきました。
高橋さん
「今日はありがとうございました。
ライブとか来れなくなってもいいんで、これからも生活に寄り添えるような音楽を作っていきたいと思います。」
心電図の心音のような同期が響く中、最後に鳴らされるのは、MCどおりの「生活」。
言葉と音が走馬灯のように駆け巡る最後のサビ。
淡々と日常の風景を落とし込んで、愛情を注ぐような高橋さんの歌と、一心にギターを掻きむしり続ける力毅さんの姿が頭から離れません。
熱くなったり、そうじゃなかったり、生活の全てがそこにあって、それにまつわる情景や想いを満遍なく注ぎ込んでくれるような音の余韻に包まれながら、ステージを後にしたメンバー。
その後のアンコール。
まずドラムの原さんが、フリップ芸を得意とするピン芸人のように、スケッチブックが置かれた譜面台とともに登場。
Tシャツを着替えたようですが、白地に黒く大きく書かれた文字は「I ♡ 苫小牧」笑
とんでもなく大きい苫小牧愛を携えて行うのは恒例の物販紹介で、この日は先述のMCでも触れられていた、この辺りがご出身であるマネージャーさんと2人体制で実施。
今回の苫小牧公演もソールドアウトしなかったということで、マネージャーさんの額にはペナルティ(?)として油性マジックで苫小牧市の地図上の形が描かれています笑
原さん
「油性マジックというところがこのバンドの優しさを感じますね笑
「水性じゃないんかい」というツッコミもありますけど笑」
こうして自称このバンドの「陽キャ」担当である2人による和やか物販紹介を挟んだ後、手元のフリップを用いて「こんな物販は嫌だ」というテーマで繰り広げられる本物のピン芸に、突如お笑いライブと化すアンコール笑
「自分で考えろ。」
「今年出られなかったフェスの一覧Tシャツ」
「高橋さんがマルチタスクで疲弊している時に、他のメンバーが何も言えなくて気まずくなった時の空気を閉じ込めた瓶」
など、様々な回答で笑いを運んだり、斜め上を行きすぎて本人曰く全くウケなかったりした時間を経て、もう無理と言わんばかりにようやく他のメンバーをステージに呼び込む原さん笑
ちなみに先ほど、原さんが札幌に忘れたと言っていたステージ衣装はどうやら「I ♡ 苫小牧」Tシャツも同様で、今着ているものは、急遽もう1着手に入れたため、今、北海道に2着あるとのこと笑
当初はライブ冒頭から、このTシャツで出て行こうと考えていたようですが、それは高橋さんによって阻止された模様笑
高橋さん
「すごく好きだったバンドがいて。
曲はかっこいいのに、ドラムの人がTシャツに色々貼ったりする人で、それだけがダサいなってずっと思ってて笑」
これも含めて話したいがゆえに、お茶を濁していた原さん…流石のエンターティナーでした…!
高橋さん
「ツアータイトルになった曲を。」
かくして音楽ライブとしてのアンコールは、「下高井戸に春が降る」から。
この日唯一アコギを構えた高橋さんが紡ぐ優しい旋律に乗せて、淡々と、しんしんと、メロディがライブハウスに降り積もります。
高橋さん
「頑張らなくていいです。
バイトとか、休みたかったら俺が代わりに連絡しておきます笑
みんな、俺より長く生きてください。
俺より先に死んだら…俺が(過激すぎるゆえに、ここから先は想像にお任せします)。」
高橋さん
「ツアーもそろそろ折り返しです。
ここからまた、頑張るぞー(拳をゆるく突き上げながら)。」
(客席からも同じ様な動作とともに緩く「おー。」)
原さん
「そんなの初めて見たわ笑」
力毅さん
「こんな響が見れて貴重だった笑」
頑張らずとも、自然と前だけは向けそうな緩いポジティブさに包まれる会場の雰囲気…とても好きでした…!
そんな雰囲気をイントロのフレーズ一発で、歓声を伴う夜の歓楽街へと変貌させたのは「我愛你」…!
フレーズが決まるたびに素早く切り替わる照明やミラーボールが回る会場で、あちこちの異国を、この音楽と旅しながら踊れることの幸せを噛み締めました…!
高橋さん
「もっと思い出深い夜にしたいです…!
みなさんはどうですか?」
高橋さんの歌い出しと共に、立ち上がってTシャツを豪快に脱ぎ捨てた原さんのお腹には、何と先ほどマネージャーさんの額に描かれていたのと同じ、苫小牧市を形どった油性マジックの絵が…!笑
上裸になって豪快にシンバルを連打する原さんの勢いそのままに、最後は「When I was cityboy」のパンクロックで、全てをかけて思い出深い夜を生み出すロックバンド…!
中盤では、突如ハンドマイクになって客席にダイブしながら叫び歌う高橋さん。
ステージ上で両足をジタバタさせて、叫びながらギターを弾きちぎる力毅さん。
ブンブンうなるベースラインはそのままに、客席前方に何度も突っ込んでいくニシマさん。
今を生きるロックバンドとしての矜恃を叩き付けた後、高橋さんに原さんのお腹の落書きをいじられながらも笑、最後はみんなで記念写真を撮ってフィニッシュ。
頑張りすぎず、無理しすぎずとも響く良質なメロディと演奏がひたすら心地良くもあり、時折見せるロックバンド然とした暑苦しさも含めて、生活の浮き沈みに寄り添ってくれるバンドのブレない姿…しかと心に焼き付けました…!
次の苫小牧公演こそは…ソールドアウトですね!!
※一部不明曲があるため、セットリストは省略。
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。