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【ライブ感想文】鈴木実貴子ズ「投げ銭ワンマンツアー「品評会」」@札幌LOG 2024.3.6(水)



 こんばんは。シリアスファイターです。



 今回は、鈴木実貴子ズのワンマンライブツアー、札幌公演のライブ感想文です。


 まだ最終公演が残っているツアーですが、メンバーの公式SNSで、セットリストも演奏風景の動画もその都度公開されているので、私も演奏曲等にはナチュラルに触れますが、今後参加される方で少しでも気になると言う方は、閲覧をお控えください。


 それでは。




 …というふうに、私はライブ感想文を書く時に前置きを挟むのですが、今回のツアーはタイトルにもあるとおり「品評会」。



 どうやら、未だ世に出していない新曲を中心に披露するライブで、間違ったりする可能性もあるためチケット代は投げ銭制(つまり入場自体は無料)という斬新な試み・・・であるにも関わらず!
 札幌まで来ていただけるという攻めの姿勢しか感じられなかったこの日。



 2022年、3年振りに参加したRISING SUNで、私にとってのトップバッターだったこの2人(当日は4人バンド編成)。
 飾らない人間の生き方そのものみたいな歌と演奏は、大きく、鋭く、私の心を真っ直ぐ突き刺して、消えない爪痕をがっつり残して、その年に出たアルバムも含めてすっかりファンになった…というよりその生き様をただ見届けたくて仕方なくなった2人。
 昨年もレコ発ツアーで札幌に来ていたことは承知していましたが、RISING SUNの直前期で都合が付かず無念。



 そこに現れたこのツアー。
 最初に告知ポスト(ツイート)が廻ってきた時はどうやら見逃してしまったらしく、知ってから慌てて予約メールを送信。




 かくして仕事終わり、久しぶりにこの2人の生き様を目で、心で目撃するため、ライブハウスに向かったのです。



 場所は初めましての札幌LOG。
 ビルの入口の自動ドアが故障していて、手動で開けるシステムだったところから既に未開の地すぎたライブハウスは、中に入ると椅子やテーブルが沢山あって、フルキャパでも30人程度の小さなハコ。


 薄暗い中で感じる匂いや、会場を暖めようと頑張っている小さいストーブや、趣だらけのドリンクカウンターなど、老舗のライブハウスが醸し出す独特な空気に、初めてなのに不思議と落ち着く感覚を覚えながらジュース片手に好きなところに座ると、小さなステージには既にマイクとアコギとドラムという最小限のセットが組まれています。


 入口では、今日演奏されると思われる新曲の歌詞が載っている紙が渡されました。


 両面印刷の裏面にはまさかの「クレームはここまで」という趣旨のコメントとともに、いさみさん(ドラム)のLINEアカウントIDという最強レベルの個人情報が…これは一体…!?笑


 衝撃を受けつつ、それでも比較的のんびりと開演を待っていると少しずつ埋まる客席は、気付けば満席。


 そんな中ふらっと2人がステージに現れると、徐おもむろにサウンドチェックが始まります。
 今日はこの編成だから耳栓はいらないかなと思い、持ってきませんでしたが…想像を超える音量…何より鈴木さんの声量が凄い…!


 少し耳鳴りを覚悟した気合いのサウンドチェックを浴びたところで、いさみさん(ドラム)がスタートの合図をすると客席が暗くなります。


鈴木さん
「今日はお足元の悪い中……いやだめだ。
 いきましょう!よろしくお願いします!!」


 「…!?」で包まれる会場+いさみさん笑を他所に、ライブは「ファッキンミュージック」からスタート。
(後のいさみさんの補足によると、「この日の最初のMCは任せとけ!」と鈴木さんに言われ、任せたらあんなことになってしまった…とのこと笑)


 それでも演奏が始まると、ドラムを中心に作り上げる大らかなリズムと、どこまでも太く伸びる声だけで、細胞から震え上がるような感覚になったのは、一昨年のRISING SUNと同様ですが、この密集したキャパシティで体感する今日のライブでは、その音や声が発する匂いや体温まで、ダイレクトに伝わるような感覚に圧倒されます。



 序盤は、既発曲やあまりライブでやっていなかったという曲を中心に演奏。


 唯一私も知ってる曲だった「正々堂々、死亡」では、今にもガラガラになりそうな声で、目をカッと見開いて叫び歌う鈴木さんの姿に、上手くいかなくても、カッコつかなくても、自分は自分でしかないという事実を、人生を、ありのまま突き付けられているような気持ちに駆られます。




 そんな中、RISING SUNの時は最後の曲で涙をこぼすほど感極まっている様子のいさみさんでしたが、この日は最初から楽しくて仕方ないという様子。
 最初の曲中から、目を大きく開いて、思わず口角が上がってしまう場面が何度も見られました。




 鈴木さんも曲中こそ、全魂、全エネルギーを込めた歌を歌いながら、ストロークであれ、アルペジオであれ、ザラついたアコースティックギターをありったけの力で弾く(はじく)演奏に集中していますが、演奏が終わる度に「ありがとー!」と満面の笑み。



 新曲が半数を占めるライブかつ、本人のMC曰く、「今日は知り合いのバンドマンがほとんどかと思ったら、友だちは2人しかいなかった笑」という状況だったこともあり、何度も「緊張する…」、「いい緊張感だ…!」とつぶやきながら、ピリッとした空気が漂う場面もありましたが、それすらも大いに楽しんでいる様子が印象的でした。




 後半の新曲群で個人的に印象的だったのは、「ヘイヘイユー」「私、天使だっけな」。




 アコギ+歌+ドラムという基本編成で、音楽のジャンルでいうとハードコアに分類される無骨なストロングスタイルが基礎としてある中、アルペジオやドラムフレーズでハネるリズムを取り入れたり、少しポップより(決してポップになりきらないところがいい!)なメロディが曲に乗ることで、既発曲に比べて、聞いていて居心地の良さを感じる2曲でした。



 基本的に直球ストレートしかない鈴木実貴子ズの曲は、時として長く受け止めるには私の容量が足りなくなることもある中、2人が持つ人間味はそのままに、こういった曲が生まれてくるところに、まだまだ2人の音楽にワクワクさせられてしまいます…!



 MCはいつもどおり、いさみさん中心でしたが、新曲の紹介は鈴木さんから。


 まとまらない思考を整理するように、時にグッと考えて、一点を見つめながらありのままの言葉で、つらつらと思いの丈を話してくれた鈴木さん。


 大事なMCが終わり、そのまま曲に入ると思いきやコーラを飲み出したり、後の物販紹介で、残り3枚になったXXLのTシャツをいさみさんが紹介した際、



鈴木さん
「そんなの売れるわけがない。」


いさみさん
「とにかく物販は持てるだけ持っていけって言ったのこっち(鈴木さん)ですからね!」


鈴木さん
「1枚でも売れたら嬉しいと思って笑」



 というやりとりがあったりと、その場その場で思うがままの行動や言動を見せる鈴木さんとバンドを組むいさみさんは、制御できず大変そうでしたが笑、どう足掻いてもありのままでしかいられないのであろう鈴木さんの姿には、その紡ぐ言葉も、演奏に入った瞬間の気迫も、嘘がないことは明らかでした。



 1時間で12曲の演奏は、セルフアンコールも含めあっという間に終了。




「一生懸命作ったから、写真撮っていってね。」と鈴木さんが言っていたので、パシャリと1枚。
 心ばかりの銭を投げ入れ、会場を後にしました。


「僕は知ってる曲をライブで聴きたい人間だから、今日みたいな日はハズレだと思う。」と冒頭でいさみさんは言っていましたが、なんのその!
 ハードコア魂炸裂のものから、軽快なポップさを感じられる曲まで、まだまだ2人の音楽が続いていく過程を間近で堪能できる、贅沢な時間でした。


 久しぶりに感じる微かな耳鳴りがとても心地良くて、ひんやりとした冷たい帰り道の足取りは、心なしか軽やかでした。


セットリスト(いさみさんのXから拝借しました)
1.ファッキンミュージック
2.あか
3.壊してしまいたい
4.ベイベー
5.明日こそ
6.正々堂々、死亡
7.4月の風(新・仮)
8.ヘイヘイユー(新・仮)
9.所詮36度人間(新・仮)
10.暁(新・仮)
11.ばいばい

アンコール
1.私、天使だっけな(新・仮)



 今回は以上です。



 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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