[ライブレポ]2022年19本目 崎山蒼志×小林私「人間旅行 2022」@札幌ペニーレーン24 2022.7.1(金)
こんにちは。シリアスファイターです。
今回は崎山蒼志さんの対バンツアー、札幌公演のライブレポです。
継続中のツアーで、セットリストに触れた記述となっていますが、今回は公演毎にセットリストが変わると公式からも発表がありましたので、演奏曲にも普通に触れていきます。
それでは。
前置き
崎山さんと言えば、尖りに尖りまくった音色のアコギをジャキジャキに鳴らしながら淡々と歌う様で、突如音楽シーンに登場。
昨今では様々な方とのコラボにも積極的で、JPOP然としたサウンドから、オルタナティブで切れ味鋭い曲から、内面がゴリゴリに出た打ち込みの曲まで、どんどん曲のクオリティと幅を広げ、その勢いのまま今年の2月に出したアルバムが、バラエティに飛びすぎて素晴らしかったシンガーです!
ということを、かなり前の私のnoteでも激プッシュしたところですが、
なんせ、アルバムを引っ提げた後のライブに北海道がない…!Why....!?
と頭を抱えていたところに、ふと湧いて出た対バンツアー…!
そして対バンはなんと、3月にこちらも素晴らしいアルバムが出たばかりの小林私さんじゃないですか…!?
こんな私得な対バンがかつてこの世にあっただろうか…!?
ということで、確実にこれからの音楽シーンをグイグイに担っていくに違いない、2人のシンガーの、世にも珍しい対バンライブに足を運んだのであります。
本編
1.小林私
「今日は「映画〇〇キャン△」の公開記念記念イベントにお越しいただきありがとうございます笑」
と、誰ひとり予想だにしない冗談で、爆笑をかっさらうところから始まった小林私さんのライブ笑
しかし演奏が始まると一転、いきなりの新曲でブルージーでセクシーなしゃがれた声と、ミュートやカッティングが心地良いギターの音色で、会場の空気がグッッと熱くなるのを感じます…!
続けざまの「HEALTHY」でも、赤い照明に照らされながら、健康的なのに全く健康的じゃないことの妙を、焼き付けるように歌い紡いでいきます。
途中演奏を間違えてしまっても、「間違えました〜」と言ってすかさず続行する様は、まるで部屋で友達がアコギを弾いて歌う様を、ぼんやり眺めているような距離感です。
小林さんのライブは、いつもアコギ一本弾き語りのスタイルで行われるのですが、曲が始まった瞬間、会場の雰囲気がガラッと変わる瞬間がたまらなくて、そういうところは後に続く崎山さんと同じようなものを感じます…!
ただ、正反対なのはMC部分で、小林さんはとにかく明るい、まるで漫談のライブに来たのかと思うくらいしゃべるしゃべる笑
しかも、前やってた曲の雰囲気などお構いなしなので、余計に面白いところがまたクセになります。
この日も覚えてる限りだと、
・楽屋で崎山さんにリバーシでボロ負けした。
・北海道にまつわる面白い話を100持っているが、その中でも特につまらない話を笑
前に北海道に来たのは大学の時。
すすきののドミトリーで一緒の部屋に泊まった外国人に、びちょびちょの天ぷらを渡されたことが一番の思い出笑
きっと今日の物販でもびちょびちょの天ぷらが売っていると思う笑
・(このライブハウス周辺は)ローソンしかない!
北海道らしいところは北海道獣医師会館くらい笑
ちなみに今日は日帰りで帰ります、嘘です笑。
・先日足の指を怪我して、突然、飲み忘れた抗生物質を飲みはじめる。(2曲目終わり)
・先日3割引きのひき肉を買って、賞味期限が今日、帰るのは明日、崎山さんのせい笑
・終わった後、飲みに行こうぜ〜、お金はどうするって〜?崎山はんが出してくれる〜、もう二度と対バンしてくれない笑
など、どんだけ喋るんだ…笑と思わず引いてしまいそうになるMCを挟みながら、弾き語りで披露される曲たちは本当に暑くて、美しい。
特にグッときたのは中盤。
「今日はこれしか練習していない」
と言って披露されたのは、崎山さんの「国」のカバー。
少しカントリー調のアレンジで開放的な前半から、後半部はアコギをかき鳴らすアグレッシブな展開に、崎山さんへの最高のリスペクトを感じるアレンジは見事でしたし、そこから間髪入れずに雪崩れ込んだ「冬、頬の綻び、浮遊する祈り」がとんでもなく美しかったです。
ギターと声と喋りと歌と、自分という存在のみでユーモアたっぷりに、音楽を通して最大限の自己表現をする小林私さんが鮮烈に焼き付いて離れない、北海道初ライブを目撃できて感激の50分でした。
2.崎山蒼志
小林さんの余韻にぼけーっと浸っていると10分ほどで転換を終えて崎山さんの出番。
静かにふらっと登場し、サッとアコギを構えて鳴らし出したのは小林さんの「冬、頬の綻び、浮遊する祈り」のカバー…!
最初の一節だけとはいえ、先ほど1番心に突き刺さっていたのでこのカバー返しにいきなり心臓を撃ち抜かれました…、そして…アコギの音色が爽やかだ…。
とそこからは先ほどの小林さん同様、数曲やってMCを挟む構成。
小林さんと対照的?に、肩の力が抜けたとても真面目で真摯な崎山さんの、「お鮭(時不知鮭)」にまつわる北海道の思い出笑を中心に、MC中はほんわかした空気が会場を包みます。
この気の置けない友達が近くにいるような、でも馴れ合いでベタベタするわけでもない距離感は、とても自由で心地良いです。
崎山さんも小林さんも、不思議とそういう魅力の持ち主であるというあたり、何だかシンパシーのようなものを感じてしまいます。
さて一方の演奏ですが、ようやく生で聞けた崎山さんのギターの破壊力たるや…!
あくまでも淡々としゃべり、歌う様とは対照的に、激情的に、心を揺さぶり続ける切れ味鋭すぎるストロークは、バンドサウンドに全く引けを取らない熱量で私の心を揺さぶります…!
特に圧巻だったのは中盤。
「北海道の北の方をイメージして書いた曲」
と言って披露された「North」→「Samidare」の流れで、
いかにも人間らしい平熱のまま歌われる情景や感情が、「なぜこれを弾きながら平然と歌えるのか全く理解できない」高速かつテクニカル、だが熱い魂の込められたギターとともに会場に投下される様は、
凄すぎて逆に笑っちゃいそうになるくらい、痛快な表現としか言いようがありませんでした…!
最後に披露された新曲は、全て打ち込みのダンスナンバー。
ハンドマイク片手に裏声を響かせるこの曲で、まだまだ音楽で実験して遊び足りない崎山さんのこれからに、より胸を熱くしました。
(以下の写真は曲前に崎山さんから、撮影+SNS掲載可とのMCを受け、撮ったものです↓)
己の身一つでどこまでも自己表現を模索する2人の勇姿を、この北海道の地で見られたことに有り難みを感じ続ける2時間でした。
最後、ライブが終わって私が帰る時に、ふと客席に現れていた小林私さんのすぐ横で、ライブハウスの階段を上がっていったのは、何だか心臓が止まるかと思いましたが、良き思い出です笑
今回はここまでです。
ここまで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。