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私の好きな曲の話をします ① 鶴 「夜を越えて」


 こんにちは。シリアスファイターです。


 今回は、いつもと違う趣旨の記事を書こうと筆をとっています。




 きっかけは…最近ちょっと疲れ気味だったからです笑




「それは年明け早々からライブに行きまくり、音源に触れまくっているお前の自業自得。」と言われれば、それも一理ありますが、そこに生活のあれこれが重なり、少しバランスを取るのが難しくなっていました。





 この数ヶ月の間で、何かが劇的に変わったということはありませんが、心のどこかに抱えていた「何か」が知らず知らずの内に積もり積もって、場面によっては日々の気持ちのコントロールが効かなくなっていました。
 ゲームのコントローラーに例えると、よく使うBボタンとかAボタンだけが、動作不良で反応したり、しなくなったりしているという感じでしょうか。
 まだコントローラーとしては使えるけど、場合によっては反応しなくなってちょっとイラついたり不安になってしまったり。




 そういう時、私にとって一番効果があるのは、「何もせずにじっと静かな空間でボーッとする」ことなのですが、中々それが許される状況にも身を置けず。





 そうであれば、助けを求める先の一つとして、結局音楽があります。




 好きな曲や好きなミュージシャンは本当に山の数ほどいて、今もなお、ライブや音源をきっかけに増え続けています。
 おそらく、私の感性が生き続ける限り、その果ては見えないでしょう。




 そんな中でも、長い間思い入れを持って、今もなお大切に日頃から聞き続けている曲というのは意外と少ない(というかそんなにたくさんの曲を聞いている時間がない)です。
 ふと心が躓いた時、元気が出ない時、とりあえず何でもいいから音楽に触れたくなった時、etc…直近で参加するライブのことや、最近出た新曲の余韻が抜けないなどの気持ちの機微にはお構いなしに、意識的に、時に無意識に聞いてしまう音楽。
 新しいものは心のキャパシティの問題で受け止められない時も、そうやって私の中に根付いた曲ならある程度は気兼ねなく聞けるし、そういう曲からであれば、元気になれるヒントをもらえるかもしれない。




 というわけでこのnoteは、そんな知らず知らずのうちに、自分の血となり、肉となり、骨となった音楽について、改めて言語化してみようという取組です。




 前置き長すぎですね。そろそろ始めます。



 今回は一発目なので、私のnoteでも度々出てくる思い入れの深いバンドの曲にしてみようと思いましたが、直感に従っても選びきれなかったのでそれは3分で諦めました笑
 ということで一発目なのに、3年間、私のnoteで一度も触れたことがない(はず)ミュージシャンの曲から始めてみます。
 3人組ロックバンド 鶴の「夜を越えて」という曲です。




 好きな曲はあるもののそこまで深追いして聞いていたわけでない鶴でしたが、2012年発表のこの曲は、「アフロ田中」という映画のタイアップだったこともあり、何かのきっかけで自然と耳に入ることに。


 ラジオだったかな…?
 正直に言うと、初めて聞いた時はそこまで印象に残る曲ではなくて…。
 それもそのはず、この曲は恐ろしいほどに構成とメロディがシンプル。
 歌謡曲のようなメロと暖かいリズムの融合は鶴の得意分野で、その持ち味が十分に活かされていると言えるものの、何だかピンとくる曲ではなく。




 でも、大学に進学した辺りで、YouTubeで改めて聞いたこの曲は、恐ろしいほどに私の琴線に触れてきたのです…Why!?




 結論から言うと、この曲の好きなところは、曲中に特別なことが何ひとつ起こらないこと(さっき「印象に残らない」とか言ってたくせに…!)。




 まず、曲展開。




 サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Cメロ→サビ(終了)




 同じメロと演奏をひたすら繰り返し、2Aでの各楽器同士の掛け合いだけ、一拍ずつアンサンブルが増えていくという面白展開ですが、それも別に奇を衒ってやっている印象は皆無。




 そして歌詞。



 涙で明日が見えなくなる事があったっていいだろう
 何にもない すべてが悲しくなる夜があったっていいだろう
 愛はどこかな

夜を越えて




 終始分かりやすい言葉で綴られるのは、目に見えなくて分かりづらい愛の形を探して奔走し続ける主人公の姿です。




 メロも演奏もシンプルな分、まっさらな状態で心に入り込んでくる主人公のひたむきさ。




 どこにあるか分からない愛を探して、立ち止まることは許されないほど、走り出して止まらない衝動に、一切の小細工は不要ですし、言葉より気持ちが先行している時って、おそらく言葉や態度に、普段の自分と違う飾り付け?をしている暇はないのではないでしょうか。




 だからこそ、このシンプルなアンサンブルがしっくりきて、なんなら間奏のギターソロではすっかり気持ちが溢れ出してしまっているという始末。




 また、シンプルシンプルと言い続けていますが、バンドサウンドの音色も大好き。
 フレーズ自体はシンプルですが、音色は綺麗になりすぎずに、どしゃめしゃとした感情そのままみたいな音が終始鳴り響くので、気持ちが先行しすぎて散らかってしまった感情が行き場を失っていても、その音に身を委ねれば、自然と感情を乗せることができます。



 ここまでシンプルだと、少しギターの音色で遊んでみようとか、展開を増やしてDメロを付けちゃおうとか、ブラスや鍵盤を取り入れてみようとか、考えてもおかしくないような気がしますが(それが悪いという話ではありません。)、それらを一切省いた演奏と歌のみで勝負する正攻法のロックバンドとその潔さに興奮してしまいます(サビでうっすらシンセ?の響きが入っているような気がしますが、本当に最小限)し、この曲ではそれが間違いなく最適解になっているのです。


 そして最後のフレーズ。

 何にも無い 
 今ならあなたの為に何色にでも染まれるよ
 愛があるから
 愛があるから
 愛はあるのだ

夜を越えて


 愛があると自信満々で突き進んでいた主人公の恋路は、どうなるのか…。



 結局「愛」は具体が見えないから、どれだけ「ある!」と信じていても、ポロリとすり抜けさようならしてしまうことはあるし、心が折れる時だってある。
 愛を信じたかった主人公は、確信はないけれど何があっても、たとえ目に見えなくても絶対に愛「は」あるのだと確信して、今日も数え切れない夜の一つを越えていきます。




 それを後押しするようなアウトロのアンサンブルは、とてつもなく広がるけど、とてつもなく聞き手の中にパーソナルにグッと心に届いて、足が前に踏み出すのです。




 今回は以上です。



 こんな感じで気が向いたら、リリースやライブの時期に関係なく、自分が心底惚れ込んでいる音楽について書いてみたいと思います。




 これもまた、自分の正体を言語化して伝えたり、コミュニケーションを取るための訓練…というと重すぎるかもしれませんが、気長に自分の好きとたまに向き合って見たいと思います。




 後、私のnoteは総じて長くなりがちなので、このシリーズは2000字以内くらいを目標にまとめて書くことを目標にしています。
 初回で前置きが長かったので、今日は3,000字くらいになっちゃいました。
 テへッ。



 思いの丈そのままのライブ感想文と違って、自分の思いの丈をグッと凝縮して伝えてみようという試みです。
 もし目に止まって、たまたま知ってる曲だったり、興味がある曲であれば、お付き合いいただければと思います。




 今回は以上です。


 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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