[ネタバレあり ライブレポ]2022年29本目 SiM×ヤバイTシャツ屋さん 「TOUR 2022 "BEWARE"」@Zepp Sapporo 2022.10.28(金)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はSiM、新EPを引っ提げた全国ツアーの札幌公演のライブレポです。
個人的には、9月のJOIN ALIVEで見られなかった2バンドを見るため、神に(正確にはSiMとヤバTの皆様に)用意していただいた機会を戦い抜くという裏テーマもあったりしたこの日。
最近のSiMといえば、進撃の巨人のテーマソングがあまりにもハマりすぎていたり、それも含めて発売されたEPは4曲とも、ライブハウスで聞いたら内臓掻き乱されることがよく分かるほど、重低音の効いたグルーヴが相変わらずバチクソにかっこよかったわけです。
ヤバTはヤバTで相変わらず全国各地でライブをやりまくり、その鉄壁のグルーヴを研ぎ澄ましまくって最高に楽しい時間を生み出しまくっていたわけです。
両者とも、生粋のロックバンドであるものの、ライブで醸し出す雰囲気は一見すると正反対にも思えます。
SiMはダークに、ヤバTは明るく楽しくって感じでしょうか…まあ…曲にも寄りますが…。
そんな2バンドの対バン…混ざり合ったらどうなっちゃうんですかね…!?
ということで、今日のライブハウスZepp Sapporoは、かなりカオスでストイックな盛り上がりを見せること山の如しだろうということで、これ以上ないプレミアムフライデーを求めて、Zepp Sapporoの門を潜り抜けた記録です。
開演直前、注意事項のアナウンスが聞こえてきたと思いきや、その声は本日の主催者、SiMのMAHさん…!
今日のライブがモッシュ・ダイブ禁止であること、大声禁止であること、SiMとヤバTの対バンだから、そういうルールの中でも十分楽しめること!が改めて主催者の口から告げられます。
主催者自身の言葉という、こんなに説得力ある前節は他にありませんし、観客も満場の拍手で応えます。
かくして、ルールを守って正しくライブハウスを取り戻していく2バンドの、いつも通りのライブが幕を開けました。
①ヤバイTシャツ屋さん
「ヤバイTシャツ屋さんが始まるよー!!」
いつものゆるいSEから、楽しそうに登場したヤバT御一行。
こやまさんから告げられた一曲目は「ヤバみ」…!
待ってました!
曲の歌詞を知っている身からすると、歌詞を見て聞くことを、楽曲を深く楽しむ上で重要視するSiMとの対バンで聞くこの曲はより意義深いし、この曲に込められた怒りにも似た気持ちがよりダイレクトに伝わってきます…!
いきなりSiMリスペクトか!と勝手に興奮している中、「ハッピーウェディング前ソング」
では会場中の手拍子を誘いまくり、
「みなさんのWi-Fiの調子は、電波の調子はいかがですか?」
と始まった「無線LANばり便利」は、ラスサビ前の短い数小節の間に観客を唐突にしゃがませて、次のサビで飛ばす!という、頭を空っぽにして楽しめる、ヤバTならではのライブです…!
「天使が来ましたよ〜。」
と悪魔であるSiMに対抗して自己紹介するこやまさん笑。
「SiMって怖いやん…。
でも…優しいんや…。
こんなクソダサ後輩にも優しくしてくれる。
ああ、優しいよ優しいよ…。」
と、なぜか途中に稲川淳二さんを挟みながら、根はとっても優しい悪魔へのリスペクトを、ユーモアたっぷり語ってくれます。
初めて買ったのはショッキングピンクのサキュバスTシャツというルーツを持つありぼぼさんからの話も受け、
「SiMの曲やりたいけど、難しいよな…強いて言うならこの曲がやりたかったなあ…」
と唐突にこやまさんが弾き始めたのはあの、導火線に火をつけるようなギターフレーズ。
そこから「Amy」をなんとフルコーラスでカバーするという粋なサプライズ!
このヘヴィーな一体感をバッチリ再現するヤバTの演奏力の高さというか、ロックバンドとしての熱量の高さがすごいすごい。
曲終わりにまだ、
「…と言う曲がやってみたかったなあ。」
と言ってとぼけるところまで含めて、ヤバTらしさ全開のカバーに続き、こちらは自身の持ち曲の中でもトップクラスにヘヴィな「Tank-top in your heart」…!
この曲、ライブで聞きたかったんですが、中々出会えず寂しい思いをしていたので個人的に嬉しすぎてそりゃあヘドバンしましたよね!
ヤバTが掲げるパンクロックの象徴、タンクトップの曲でも随一重たいこの曲を「Amy」に続けてぶつけるあたり、どこかでSiMと闘いに来てるな…という熱い思いを感じずにはいられませんでした。
熱い…?、暑い…、ジョインで聞けなかった全ての私の細胞の皆さま、お待たせしました「ちらばれ!サマーピーポー」の時間です。
現時点での新曲であり、収録されているシングル、「ひまわりコンテスト」の宣伝をイントロで挟む商売魂炸裂のこやまさんから始まった曲は、ジョインで聞けたら確かにしっかり暑かった北海道にドンピシャだったな!と思いつつ、今日のライブハウスも既に暑い暑い!
ということで、サビの清涼感と解放感がライブで聞くと原曲の何億倍もの力を発揮して最高に気持ちよかったですね…!
ぜひ、今後のライブも定番化してほしい…!
「SiMはラウンドワンとぬいぐるみとかでコラボ、ヤバTはモーリファンタジーとコラボ!
どっちが強いか対決!」
とここからSiMと被っている?コンテンツ対決コーナーへ突入。
「げんきもりもり!モーリーファンタジー」の間奏部、高速ビートを寸分違わず叩きながら、軽快な歌唱(というかガイドさん?)を決めるもりもとさんは、いつ見ても微笑ましい…!
「SiMはアニメ進撃の巨人の世界的にヒットしてる主題歌やってるやん!NHKでやってる!
ヤバTもNHKのアニメの主題歌やってる!
かいけつゾロリって知ってる?
(観客の手が上がる)
100%(知ってる)やん!勝ったやん!」
と始まる前から勝利宣言が飛び出した「ZORORI ROCK!!!」は、改めて聞くととっても可愛らしくキャッチーなメロディの曲で、前述のモーリーファンタジー同様に、聞いているだけで自然と笑顔になってしまう、ヤバTならではの魅力に溢れたロックナンバーなんだと改めて実感します。
「後2曲!
比較的有名な曲やって帰ります!」
気付けば終盤のヤバTは、SiMのファンへのサービス精神も旺盛で「あつまれ!パーティーピーポー」を繰り出します!
曲中に「SiMのファン優しい〜!」と感慨深そうにこやまさんは言っていましたが、この数十分の間に、ヤバTが全力で伝えたSiMへの愛が、直球でヘヴィ、時にキャッチーな独自のパンクロックが、SiMだけのファンだった観客を1人でも多く突き動かしてるんだと私は信じて見ていました…!
「SiMが出てくる前に、この会場をかわいくしましょう!」
ラストは「かわE」で文字通りキュートでハッピーな大団円!
「この後も一緒にSiMのライブ楽しみましょー!」
かわEもかっこEも通り越しすぎて、Zでも足りないくらいお茶目で潔い45分はあっという間でした。
②SiM
20分ほどの転換を経て、会場のBGMが突如ぶった斬られた瞬間に暗転。
明滅する照明に照らされるステージにサイレンが鳴り響く中、ステージ後方にバンドロゴの大きな横断幕がゆっくりと姿を現します。
SINさんが自らの衣服で顔を隠しながら、先ほどヤバTも触れていたラウンドワンコラボのぬいぐるみを持って、パペットマペット風に登場した時は流石にかわE越してかわFやんけと思い笑いましたが笑、囁くようなMAHさんの曲紹介から、1曲目の「MAKE ME DEAD!」が始まると、一転して真っ暗な夜、危なくて怪しいレゲエパンクショーの幕開けです。
個人的にSiMのライブを見るのは4回目ですが、MAHさんのボーカルの調子がズバ抜けて絶好調に聞こえて(それか過去3回は私の耳が腐り果ててた)、メロディの歌唱パートもデスボイスも1人でこなし、かつこんなにも観客を高揚させるんですか!?と、始まりから胸が高鳴ります!
そのまま「PUNK ROCK iZ COMING」で、これぞSiMのレゲエパンクじゃあ!と畳みかけます。
対バンのヤバTも、パンクバンドとしての確固たる信念や姿勢を持ったライブをした後だからこそ、パンクとは姿勢であるとするこの曲はより強く説得力を持って響きます。
「Light it up」で、会場の床抜けろ!と言わんばかの勢いで観客をジャンプさせまくったSiMさんの更なる一手は、
「かいけつゾロリ?そんなの踏み潰してやる!」
というMAHさんらしい挑発的な趣旨のMCから始まった「The Rumbling」…!
いや、ライブハウスの壁を完全に突き破る、50m級の巨大すぎる音圧…!
札幌ドームくらいの規模で聞きたいわ!
このくらいの規模で聞けてめっちゃ嬉しいけど!
間奏のコーラスパートでは、進撃の巨人ではお馴染みの心臓をささげよポーズをキメるMAHさん。
作品へのリスペクトに溢れつつも、自ら叩き上げてきたスケールの大きな演奏をこれでもかとお見舞いされて、開いた口が塞がりませんでした…!
「oh na na naaaaaaaa!」
MAHさんの絶叫から定番曲の「Blah Blah Blah」へ。
サビのシンガロングはできずとも、拳で応える観客に、(この曲に限らずですが)MAHさんは何度も客席にグーサインを送っていました…!
ここまで5曲ノンストップで続いて流石に休k...と思いきや、
「もう一曲いける!?」
とのMAHさんの呼びかけ。
一瞬の静寂から一言。
「本家。」
からの「Amy」!
攻撃の手を緩めるどころか、先ほどのヤバTへのお返しと言わんばかりの選曲に、心の炎を真っ赤に燃やして、明るい明日への希望を願って手を掲げさせていただきました…!
とここで本当に休憩、というかMCタイムへ。
早々に靴紐を結び直しながら、その姿をカメラマンに写真で撮られながらしゃべるMAHさんに、自然と会場が笑いに包まれます笑
「ヤバTの「Amy」のカバー、こういうのサプライズでやるかと思ったら、リハで3回くらいやってて笑、これで本番逆にやらないとかあんのかなとか思ったけど。
サプライズ下手だけど、仲良くなりたいってところがかわいい笑」
MAHさん
「ヤバTはぶどうかん(葡萄観光農園)でアコースティックやったんでしょ?俺らもやる?
りんご農園とかで?」
SHOW-HATEさん
「毒リンゴでもこいつら(お客さんを指して)買うよ、アホだから笑」
など、ヤバTとお客さんへの愛情をストレートに、時に冗談も交えつつ話す皆さんの姿が何よりもかわいいわ笑、と普段のSiMのライブでもここまではないんじゃないかというゆるい空気に。
「次の曲やるか笑」
ゆるい空気の中、新しく出たEPから、SiMにしか書けない1曲を、ということで盗人への嫌味たっぷり曲「TREASURES」。
そのままSINさんの渋いベースラインが会場中に木霊する中始まった「FXXXFXXXFXXX」とEPからの曲を連打。
どちらも声が出せるようになったら、もっと楽しいだろうなあ!と個人的に思いつつ、特に後者でたくさんの中指が上がる様は、見ていてとてもスカッとしました(私も実は…)。
そんな攻撃性をそのままに、MAHさんが手にバットを構えたのであれば、「BASEBALL BAT」のお時間です。
真っ黒いバットを高々と掲げるMAHさんは、この日この場所で1番のロックスターとして絵になりすぎです。
…とこのレポを書いていてふと思いましたが、この日私は仕事終わり、スーツ姿でこのライブ見ていたため、「K・I・L・L・Y・O・U!」に合わせて、高々と手を掲げていた私って、側から見ても相当、攻撃力が高かったような気がします。
ルールの中で、己の内なる何かを発散できる、これが自由なライブハウスの姿でしょ!
ここで再びMCタイム。
このツアーで恒例となっているらしい、お客さんにMCテーマ決めてもらい、それについてメンバーが話すというコーナーで、声は出せなくても少しでもお客さんとコミュニケーションを取ろうとする心意気を感じます!
トークテーマを振られ、真っ先に手を挙げた前から3列めにいた女性(妊娠間もない方?)から、「自分のお子さんの1番可愛い瞬間は?」という、とっても可愛らしいトークテーマが笑
「一応悪魔っていう設定なんだけど笑」
と言いつつも、優しいSiM先輩。
各メンバーの回答は私が覚えている範囲だと、
SHOW-HATEさん
「最近言葉を覚え始めて、5分くらいかかって何とか言葉で説明しようとしているところ」
SINさん
「(自分が)物陰とかに隠れて「ワッ!」てやった時のリアクション」
GODRiさん
「奥さんジュースだめ!って言われたのに、俺がこっそりジュースを買ってあげたら、笑顔で嫁のとこに走っていって、ジュース買ってもらった報告をしてしまった笑」
MAHさん
「とにかく顔がかわいい笑
顔可愛いけど、ぶつぶつできた時はびっくりした!」
というまさかまさかの、SiMのライブ史上1番微笑ましくゆるい空気が1日に2回も更新されるという事態に笑
(この他、SHOW-HATEさんのお子さんが初めて歌ったSiMの歌が「If I die〜♪」だったエピソードはお腹の底から笑いました笑笑)
トークテーマの影響もあると思いますが、いつも以上に優しい一面が多く見られるのは、ヤバTが作り出したかわE空間の賜物でしょうか?笑
とここで切り替えて、先ほどトークテーマを振ってくれたお客さんの話も交えつつ、
「今日はモッシュ・ダイブかないというルールだから、妊婦さんでも安心してこの位置にいると思う。
ルールをしっかりと提示して、それを守っていくことでみんなが楽しめるライブにしていきましょう。」
と改めて、今日のこの場は既存のルール中で、最大限楽しめるようにしていきたいという決意を語ったMAHさん。
「今回のツアー前に出したEPと一緒に、過去のアルバムをライブ再現したBlu-rayも出ました。
今日も「PUNK ROCK〜」とかやったけど、過去の曲も改めて良い曲多いなと思いました。
今からやる曲も心して聞いてください。」
との趣旨のMCから「Life is Beautiful」。
最低限の、まるで夜の月明かりのような照明に照らされながら歌うMAHさんの切実さに、じっと心を傾けます。
曲終わり、一切の拍手もなく訪れた静寂は、バンドの名に恥じない今日一の美しさでした。
そんな闇夜を切り裂くようなSHOW-HATEさんのギターフレーズから、「Dance In The Dark」で再び暗黒のダンス天国へ。
決して美しいと呼べる人生でなくても、この暗闇でたった一瞬でも、ありのままの自分を曝け出して、爆発させられるのであれば、少しはまともな人生だし、結局そういうライブハウスがないと私は生きていけません…!
そんな思いを爆発させつつ踊りまくったところでもうラスト!
「KiLLiNG ME」で文字通り大沸騰するところまでノンストップで駆け抜けて本編終了。
アンコールでは改めてMAHさんの口から、このツアーへの想いと、今後のライブへの想いが語られました。
以下は大体の意訳です。
「結局、今回のツアーは、会場の意向もあって15箇所中4箇所しか、声出しありでできなかったけど、モッシュ・ダイブを解禁したライブも含め、できるように動き続けています。
チケット買う前に、どういうルールでやるライブかはっきりさせるのが筋だし、自分での前節も、主催者がしっかりと説明した上でやるべきという意思表示です。
俺らは正しいやり方でライブハウスを取り戻していきます。
俺が強い言葉でこういうことを言い続けられるのも、SiMのお客さんがいい…奴隷だからです笑
ありがとうございます!笑」
ライブハウスの日常を取り戻すために、ここまでやってくれるバンドに、ライブ大好きな私がついていかない理由はありません。
「そんなツアーのテーマソングみたいな曲」と披露された「ANTHEM」で曲中、歌詞にある通り、観客に何度も手を伸ばしながら歌うMAHさん。
強い決意を胸に、再びSiMと走り出すためのラストは「JACK.B」………と、当初は上手くいきましたが、1サビ途中で、急遽曲を中断。
あまりに激しいパフォーマンスをしたからか、MAHさんのApple Watchが転倒を確認してしまい、警報の振動が止まらなくなるというハプニング笑
「このままだと奥さんに通知がいっちゃうから笑」
といそいそと時計を外すMAHさんに思わず笑いが起きる中、力技で1サビから再開!笑
途中、SHOW-HATEさんとSINさんがステージ上で追いかけっこをしながら、でも演奏はブレないという場面も含めて、とてもかわE一面をたくさん見ることができたSiMのライブはあっという間に終幕。
全くブレず、力強く会場を蹂躙する凶暴さはいつも通り、でもいつも以上に優しくほっこりするSiMが見られたのは、ヤバTとの対バンという貴重な機会だったからこそだと思える、対バンライブの醍醐味を味わった一夜でした。
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。