「人」を想って、生きたくてたまらない 〜SUPER BEAVER「東京」を聞いて〜
こんにちは。シリアスファイターです。
今回は大好きなロックバンドの内、思い入れが特に強いバンドに属する、SUPER BEAVER(以下、ビーバー)のニューアルバムについてです。
いつもであれば、その週に聞いた曲などで、ビビっときたものを取り上げて書いていました。
(今週もVaundy、ALI、ザ・リーサルウェポンズetc、素晴らしい新譜ばかりでした・・・!!!)
ですが、ひとまず!
このアルバムについて書かせてください。
これまでのビーバーのアルバム史上、最も懐の深い、人への想いを実直に届けるロックアルバム。
それでは。
1.スペシャル
ストレートにコードを掻き鳴らす柳沢さんの頼もしさ100億点のギターから始まるロックナンバー。
誰か大切な「人」のために、何かをできることが嬉しいし、それを通じて人と笑い合えること、喜び合えることが「普通」になったビーバー。
そんな「特別」な人、「あなた」のために、「普通」を続けるための覚悟を歌っています。
大サビのコーラス部分にハッとしつつ、
あくまでも自分勝手に、目の前の「普通」を、「あなた」に向けて歌い奏でることを続けていく、
ロックバンド然とした無邪気なエネルギーが溢れすぎたオープニング。
2.人間
1曲目から流れるように、再び必殺の柳沢ギターと、メンバーの「1、2!」の威勢の良い掛け声とともに、ソリッドなグルーヴが炸裂。
人なら誰しもが抱える矛盾、折り合いの付かない気持ちに向き合う勇気をもらえます。
ありのままでいいんじゃない?って、実は人の気持ちを真に尊重した言葉じゃないのかもって、ハッとしました。
こんなにも、自分のどんな気持ちにも目を背けない(背けられない)真面目な人間に対する、尊重と肯定の気持ちが籠められた曲がかつてあったでしょうか・・・!?
そんな実直な歌詞に導かれるように、タイトルが「人間」の曲って、曲もかなり重くなるイメージを抱きがちな自分ですが、そこはRepresent
Japanese Pop Musicを掲げるSUPER BEAVER。
ソリッドなサウンドですが、あくまでもポップなロックナンバーとしても成立してるので、より歌詞のイメージが聞き手にグッと入ってくる手腕がすげえ!
3.名前を呼ぶよ
先行シングルで、映画の主題歌の大型タイアップ。
ビーバーのことをよく知らない人でも、サビは聞いたことあるかもくらいには、再メジャーデビュー後のビーバーの認知度を、恐らく一番広げた曲。
今、この曲を聞いているあなたの名前を呼ぶ、会いに行く。
ビーバーが当たり前のように、丁寧に真面目に実践してきた活動と意志を、
そのものズバリの直球歌詞とサウンドで、実直に叩きつけた「だけ」の曲で、バンドの認知度が一気に上がったという事実に、最高に興奮したことを思い出しました。
1曲目からの流れで聞くことで、特別で複雑な人間という生き物をを大切に思ってくれてることが、より如実に伝わってきますね・・・
「今さら」でも、何度でも、伝えてくれるから、この曲を聞くたびに、人と関わりあってこその人間だって思い出させてくれます。
4.ふらり
この曲めっちゃ好きです(いや全部好きですけど。)。
人間、真っ直ぐ貫くことも大事だけど、自分の大切なものは、出会いや時を経て移りゆくものだし、その移り変わりこそ実直に、「人間であること」を貫いてきた証だと歌われる、人間讃美歌!
この考え方に救われる人、多いと思うっていうか、それ当たり前だよなって、私は気づかされました。
バンドとして、数々の人生経験を重ねてきたからこそ紡がれる説得力を感じます。
上杉さん&藤原さんのリズム隊による、跳ねるリズムが心地良くて、ライブでも心地良くノレること間違いなし。
5.愛しい人
「名前を呼ぶよ」の前に発表された既発シングル曲。
大切な人であればあるほど、「愛」とか「恋」みたいなシンプルな言葉で言い表せないんだという、愛しい想いをむき出しでぶつけた歌詞が、これ以上ない「愛」を感じさせてくれる優しい歌。
ミドルテンポで一音一音確かめるように鳴らされるバンドサウンドに載せて、丁寧に言葉を繋いでいく渋谷さんの歌唱が、すっと心に染み入る、誰にでも聞いてほしいラブソング。
6.VS.
このアルバム一番の「攻撃力」を誇るサウンドに注目。
歌詞は、何一つ問題が解決しないまま、相反する感情、行動の狭間で葛藤し続ける自分との闘いを描いています。
勝手に「葛藤最前線」という副題を付けました。
許してください(?)
ギターもベースもひずみまくりで、特に上杉さんのブリブリのベースが個人的なツボをグリグリに刺激してきます。
間奏部、柳沢さんの「ギターヒーロー」という形容詞ドンピシャのギターソロも大好き。
楽器隊のグルーヴも多いにバトル感を煽る一曲。
7.それっぽいふたり
前曲から一転、かわいらしいアレンジが印象的なポップな一曲。
このアルバム唯一?、「恋愛」という意味に限るラブソングは、倦怠期の二人が別れた後、その日々を思い出すように、歌詞が展開されます。
昔抱いていた、人や物に対する感情って、ふと思い出すことはあっても、当時抱いた100%そのままのものが想起されることって、ほぼ無いと思います。
私自身も、昔見たライブのこととか、初恋の人のこととか、印象に残っている部分は当然あるものの、完全に思い出すことはできません。
案外、時間が経つに連れて、無意識に都合よく、「それっぽく」塗り替えている部分もあるもんです。
って書いてると、そういう部分あったなって思い出して、むず痒くなってきますが、それでもふとそういう出来事に向き合ってみると、
「そういうのがあって今の自分があるんだよな。きっと悪くなかったんだ。」
と少し気持ちが軽くなるような、そんな実感を覚える曲。
8.318
とてもジャジ―で大人びた雰囲気を醸し出す、サウンド面ではこのアルバムで一番新しい面が見えた気がする曲。
昭和歌謡+ロックの融合。
9mm Parabellum Bulletというバンドのこの系統の曲が好きな人ならスッと分かってもらえるはず・・・。
この曲とか?↓
馴れ合いの関係にある二人の「別れ」についての歌。
このアルバムにおいて最も詩的な表現の歌詞が、曲の雰囲気とベストマッチして情景がはっきりと浮かんできます。
9.未来の話をしよう
自分の内的な葛藤や、過去の振り返り、別れといった内向的な歌詞の3曲に続き、いよいよ話は「未来」へ。
あらゆる後悔も、悲しみも、葛藤も経験した「今この瞬間」に、護りたいものを意地でも守り通す決意を歌っています。
淡々とした曲展開ながら、一言一言がキラーフレーズのこの曲を、渋谷さんの抑揚ある歌唱がグイグイと前進させていきます。
全てを受け止めきれなくても、自分の護りたいもののために、この先の道だけが見える。
ある種の「希望」みたいなものを感じる曲。
10.東京
未来を見据えたところで、このアルバムの最重要曲。
このnoteをわざわざ読んでくださっているあなたへ。
この曲だけでも聞いてみてください。
できれば、じっくりと歌詞とメロディに耳を傾けて聞いてください。
誰もが自分自身の大切な人を想わざるを得ないと思います。
Cメロ、「ああ このまま このまま 愛して生きていたいよ」の部分で、
渋谷さんの絶唱と渾然一体となったバンドサウンドが重なった時、私自身も、大切な人への想いが溢れ出しました。
今、護りたいものはまさしく、ビーバーと、大切な人と少しでも寄り添って歩んでいけるこの日々です。
11.ロマン
人の幸せを願い、祈る強さは今作No1です。
静かなギターのアルペジオとベースのフレーズから、バンドのグルーヴを力強く引っ張る藤原さんのドラムが、曲の進行とともに、どんどんと熱を帯びていきます。
幸せになってくれ
報われろ
うまくいけ
祈るように何度も繰り返されるフレーズから最後は、
今、頑張っている一人一人への、最大限の愛をこめた「がんばれ」から、1人で立ち上がる力をもらえます。
ビーバーは音楽を、聞き手はそれぞれの道を、突き進んでいくのみです。
12.最前線
前曲でのエールを受けて、最前線で頑張る人への想いを改めて。
そして改めて、“あなた”と向き合う、バンドそのものの決意表明と出発の意志を込めて。
ただ目の前の“あなた”に歌い、演奏することを実直に実践してきたビーバー。
そうして活動していく中で出会った、全ての人への感謝とリスペクトを最大限の「アイラブユー」を込めて、直球で届けた前作。
それを踏まえて、今でもたくさんのライブを精力的にこなして、よりたくさんの人との出会いを経たこのアルバムは、
今までよりも聞いている“あなた”が、自分の大切な人を想う余地をグッと広げました。
友人でもいい。
恋人でもいい。
家族でもいい。
恩師でもいい。
推しのバンドマンでもいい。
今、このnoteを読んでいただけているあなた、自分自身でもいい。
人の顔が、名前が、浮かんできて、愛おしくて仕方ない。
大事な人がいる人ほど、生きたくてたまらなくなるアルバムだと思います。
こんなアルバムがリアルタイムで聞ける。
なんて贅沢な人生だ・・・!
改めて人と向き合う、歓びに、辛さに、悲しみに想いを馳せることで、生きる力に変えてくれたSUPER BEAVERの音楽、本当にありがとうございます。
そしてここまで読んでいただいたそこの「あなた」、本当にありがとうございました。