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【ライブ感想文】ELLEGARDEN「The End of Yesterday Tour 2023」@Zepp Sapporo 2023.8.26(土)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はELLEGARDEN(以下、エルレ)のライブハウスツアー、札幌公演のライブ感想文です。
元々5月中旬に予定されていたこの公演。
メンバーのコロナ感染により、帯広、札幌、旭川で予定されていた公演は8月まで延期となり、この日はその札幌公演。
結果的に、先月のきたえーるに続き、2ヵ月連続でエルレのワンマンに参戦できるという事実に、この先見返りとして身の丈の500兆倍くらいの不幸が降り注ぐのではないかと、突拍子なことに恐れ慄く8月下旬。
アリーナ公演もそれはそれは素晴らしかったですが、やはりいつかは「ライブハウスでエルレのワンマンを見たい」という夢はずっと持っていた私。
おまけに昨年出たアルバムは、10年以上ぶりだとか、エルレらしさだとか、そういったしがらみに囚われない、今の4人の重厚で開放的なサウンドが芯までたっぷり詰まっていました。
このアルバムの曲をガッツリとライブで浴びたいという気持ちを8ヵ月以上熟成させた私は、そんな突拍子もない不安も夢も全て抱えて、ライブハウスに飛び出していく覚悟しかできていませんでした。
2600円という破格の安さのチケットを(紙じゃなくて電子なので)心で握り締め、値段では測れない価値や重みを背負うことにすらドキドキしながら、目の前のライブを全力で楽しむため、体調万全でZepp Sapporoへ突撃しました。
この日はZeppの2階席。
1階のスタンディングエリアと比べれば距離を感じるものの、先月のきたえーるのスタンド席からするとその距離は雲泥の差で、ゴムゴムの実さえ食べれば0.001秒の世界新記録でステージに手が届きそうなほど近く感じます。
そんな贅沢な場所から、この後猛烈なカオスになるであろうフロアの様子も含めてライブを楽しめる貴重な機会に改めて感謝しつつ、その時を待ちます。
実に10人近く(もっといたかな?)のセキュリティの方々が前方を固める物々しいスタンディングエリアに圧倒されていると、ほぼ定刻通りに暗転。
SEとともにゆっくりとステージ後方に迫り上がるバンドロゴの横断幕とともに、フロアの歓声も前方の密集率もギューーっと高まります…!
「行こうぜ札幌おお!」
細美さんの力強い宣言から、先月のアリーナツアー同様「Breathing」で幕を開けると、フロア中央付近には、イントロから早くも飛び出すダイバーの方が!
思わず飛び出したくなる気持ちも分かります…!
今日も一音目から鉄壁すぎる4人のサウンドが高密度で襲いかかってくるものですから、昂らずにはいられません。
1番を終えるだけで猛烈な歓声と拍手。
それらを秒で上回る大歓声と大量の拳に迎えられる「Space Sonic」。
既に前方では沸点を振り切ったダイバーが続出…!
モッシュピットは身動きをとるのも大変そうで、人の波がぐわんとぐわんと動いているようです。
私自身も、いつまで経っても雨は止まずとも、今ここで闘わずしていつ闘うんだ…!という気持ちが、叫び出したら止まるはずはなく。
私も心の中で何度も叫びながら拳を上げます。
「大丈夫!?
(ダイバーの)腕とか肩とか目に入るし、後、頭打たないように気をつけろよ!
行けるか札幌!?」
とっさにお客さんの目を見て気遣いつつも、先陣切って鼓舞していく立ち振る舞いはかっこよすぎます…!
そして大合唱を巻き起こす「Supernova 」…!
サビの最後のフレーズ(She's gone)でのお客さんの声は、何ならアリーナの時よりも大きく聞こえると錯覚するほどの熱量(というか音量)…!!!
私は気持ちばかり先行して、思わず声がひっくり返ってしまいちょっと恥ずかしかったですが、有り余る思いは十分に放出できました…!
細美さんは曲中少ししゃがみ込んで、客席に笑顔で視線を向けながら、一緒に歌う様子も見られ、微笑ましすぎました…!
更なる大きな声で時を止める魔法を音楽でかける「チーズケーキ・ファクトリー」では、とうとう真摯なベースプレイに徹する高田さんも、真面目な顔はそのままにぴょんぴょんと飛び跳ねます!
「うぶ行ってこい!」
間奏部、細美さんの送り出しから始まる、生方さんのギターソロの爽快感と切れ味はこの日も一等賞…!
一音一音が明確に力強いアルペジオの応酬に、今日も私の中のロック魂がぎゅわんぎゅわんに暴れます!
そのまま流れる「Mountain Top」は、アリーナで聞いた時にはその雄大さが映える印象でしたが、ライブハウスで聞くと、1人の人間としての大きな決意や意志を存分に感じる聞こえ方に変わっていました。
アリーナの時以上に、ライブハウスは1人になれる感覚が強いなと改めて感じていたこの日。
1人でポツンと見ていても、というか、そうやって1人で没頭しているからこそ、常に闘い続ける4人の演奏と言葉に集中してパワーを貰えていることを、改めて認識します。
「こんばんは、ELLEGARDENです!!
まずは、(5月)コロナになってすいませんでした!!」
大きく頭を下げる細美さんに、「しゃーない!」など、お客さんから優しい声と拍手がたくさん送られると、「(5月から今まで)そんなに長く(はかかって)はねえよ!笑」と、思わず笑顔が溢れる細美さん。
「この前ZOZOマリン(でアリーナツアーが)終わってひと段落ってところで、1週間でこの北海道ツアー。
もうこのツアーも終わりだけど、そんなこと関係ないくらい、めちゃくちゃなライブやって帰ります!」
リーダーである生方さんからの力強いお言葉に昂るお客さん!
「帯広は本当に暑くて…。
今日はZeppで空調ガンガンにかけてるから、お前らも全力でこれるだろ?大丈夫!?
俺たちは体力バカだから大丈夫!!!
でっかい花火打ち上げようぜ!」
嘘も衒いもない細美さんの真っ直ぐな打ち上げ宣言から「Fire Cracker」…!
サビの爆発力も然りですが、この曲はラスサビ前のドライブするような生方さんのギターが引っ張る間奏部が個人的なツボであることもあり、この日は特にそこに聞き入ってしまいました…!
この世のストイックなかっこいいが今日も詰まっている…!!
ここまでは先日のアリーナツアーと全く同じ曲順ですが、既に全く違う印象のライブ。
ここに更なるブーストをかけるのは「モンスター」…!
そういう二つとない宝物を集めて
優しくも揺れてる声と合わせて
一つ一つ片付けてく僕らは
不確かなまま駆けてく
聞くたびに、無意識のうちに口ずさんでしまうサビのフレーズは、この日も気付いたら口から溢れ出していて、二度とないこの大好きな瞬間を噛み締めながら、よく分からないことがあってもこれからも自分の人生を生きていくんだなと、不思議と決意に満ちた気持ちにさせられます…!
そうは言っても不安で、心配で仕方ない夜を確かに照らし出す、橙色の灯台みたいなアンサンブルが心地良くも頼もしかった「ダークファンタジー」。
そして、「Bonnie and Clyde」では、泥の中に足を何度も何度も突っ込みながら、確かに自分の足跡を刻みつける、エルレの生き様そのもののようなサビの音像に、自然と身体中に力が入ります…!!
この2曲はライブでは初聞きでしたが、すっかりこの長いツアーで鍛え抜かれて血肉化されたことが伝わるほど、パワフルな一音一音の塊に圧倒されます。
こんな顔を見せるのは
ほんとは好きじゃないけど
僕だっていつも ピエロみたいに
笑えるわけじゃないから
「そうだろ!」
細美さんの大ジャンプを皮切りに突風を巻き起こすようなイントロから、アリーナツアー同様、1番の歌唱を丸々お客さんに預けた後、細美さんの力強いシャウトが轟いた「風の日」。
何度見てもギターソロの船出に送り出される生方さんはギターヒーローでしかないし、何度歌ってもグッときてしまうほど生きていくことそのものの様な歌詞とメロディは、私に力強い追い風をもたらしてくれます。
その度に溢れるのは、エルレへの感謝と敬意のみです…!
「大きなイベントも終わって、今日はスイーツみたいな気分です。
でもお客さんは、お肉食べにきてる感じでいいですよ…!
最後までよろしくお願いします!」
「こいつ炎上しろよ…スイーツとか言ってるよ…」と細美さんから愛のある(?)ツッコミを貰いながら客席から笑いを誘った、相変わらずマイペースで面白すぎる高田さん笑
「ZOZOマリンとかおっきいとこが終わって、改めてライブハウスでやってると、俺たちの居場所はここかな…!って気がします!」
誠実さがドラムプレイからも如実に出ている高橋さんの真っ直ぐな言葉を受け、細美さんから、
「まあ、大人数の前でやろうが、ここに誰1人いなかろうが、俺たちの価値は変わんねえよ。
最後までよろしくお願いします!」
どこでライブをしようと変わらない不変の魂とその言葉は、どちらのライブも見た今だからこそ、とてつもない説得力を持って響きます。
それが影響したかは分かりませんが、続く「Salamander」は、私が聞いてきた中でも過去一の灼熱のエネルギー…!
とにかくイントロから溢れ出す熱の塊とカオスの中に、ロックンロールのかっこよさや優しさが全て詰まってるような気がしてたまらない時間でした。
もっと音量を上げろ!転がり続けろ!と私の中の獣が暴れ出して止まらないような、そんな未知のエネルギーが溢れ続ける中、そのまま聞けるのを心底楽しみにしていた「Firestarter Song」へ…!
ぐるぐる渦巻いて、いつでも思い出して脳内再生できるほど、真っ赤に燃え上がるパワーの塊は制御不能。
Everbody’s gotta have their own firestarter song
Turn on the radio
And put that on the stereo
一瞬のアカペラ部で、細美さんのみを真っ赤に照らす照明から爆発するラスサビ。
出勤時の私の灯火となり続けていたこの曲は、今この瞬間、私に火をつけて、目の前でメラメラに燃えています。
その事実と、ライブハウスに渦巻くエネルギーと、大好きなロックだけでまた新たに生きていけると思ってしまう根拠のない確信が、今日もまた現実となってしまいました…!
少し季節を先取りしていた「The Autumn Song」→この日何度目かの大合唱が自然と起きる「Missing」は、先ほどの「Mountain Top」同様、あくまでここにいる1人のままの人間に響いて、届いてるなと確かに感じるものでした。
これもライブハウスだから余計に感じるものがあったというか、ここにいる人しか分からなかった確信みたいなものだと思いますが、アリーナの時以上に、1人でライブを見ることに没頭できていたということなのかなと思います。
でもそれがただ自分勝手にならないのは、ふと周りを見た時に、思い思いの形で楽しんでいる人がいるからでした。(2階席も、立ち上がって踊る人、座ってじっくりと聞き入る人、座りながらも元気いっぱい声や手を挙げる人など、様々でした。)
そして何より、一人ひとりのお客さんの顔をしっかりと見ながら演奏し続ける、細美さんを始めとする4人の姿を見続けてきたからこそ、そういう気持ちを感化されていたのだと思います。
と、急に冷静になって周りの人のことが気になってしまったのも束の間、今日の個人的なハイライトになった「Perfect Summer」は秀逸すぎました…!
使い古しで思い出たっぷり、愛着たっぷりのコンポから、ずっと漏れ出しているような、いつまでも浸っていたい暖かい音がとにかく心地良い…。
アリーナツアーの時と熱量は変わらないはずなのに、不思議と溶けそうなほど深くまで染み込む音に、暑すぎた夏を全て浄化してくれるような気持ちにさせられました…。
「…はあ〜…気持ちよかった〜。」
曲終わり、細美さんも思わず吐息のように言葉を漏らします。
流石に暑すぎたのか、生方さんに少しMCを預けつつ、細美さんはTシャツを脱ぎ、齢50とかは思えない肉体美を露わにします…!
この後どこかのタイミングのMCで、
「お前らがいつかZOZOマリンの映像を見た時に、今日よりも俺の腹筋が割れてることに気づくと思う。
昨日すみれ(札幌の有名ラーメン店)のラーメン大盛にチャーハンをつけて、チャーシューやメンマもトッピングして…幸せだった…。」
と感慨深げに語っていましたが笑、そんなこと分からないくらい見事な鍛えぶりは、遠目から見ててもハッキリ分かりました…!
「こういう少し危険だったりする遊び場も必要でしょ?
そうじゃないと全部同じになっちゃう。
俺たちは平凡な日常とかいらない。
冒険していたい。
冒険して、挑戦して、それに伴う失敗や挫折とかがあって、そういうものの中のちょっとの平凡とかがいいわけでしょ?」
常に目の前の何かに挑み続ける細美さん、エルレの皆さん。
そんな意志を込めた趣旨のMCからの「ジターバグ」に、いつも以上にこれからの自分の人生を重ねないわけにはいきません。
もう20年近く前のこの曲は、いつライブで聞いても無邪気で瑞々しく、力強い…!!
フロアにたくさんの人差し指が上がり、自分自身と向き合って意識を集中した先に、まだ見ぬ自分との闘いに向けて、エネルギーを充填しながら想いを解き放ちます。
ステージ天井から何色もの照明が照らす中演奏された「虹」 、曲終わり力強く余韻を残す生方さんのギターから雪崩れ込み、キラキラした音像でライブハウスを埋め尽くした「スターフィッシュ」、そうして輝く星空の輝度を増す中、曲中に細美さんが何度も感謝を告げていた「瓶に入れた手紙」。
どの曲でライブが終わってもおかしくない大団円感で、光って光って仕方ないライブはまだまだ続いていきます。
曲終わり、1階のフロアにいたお客さんから「倒れてる!」との声が。
相当密集している中で体調を崩されたのか、メンバーも心配する中、スタッフさんに無事運び出されたようで何より。
「願い事をしようか。小さいやつを。
さっきそこで「倒れてる!」って大声出したお前、めちゃくちゃかっこいい!
そういう奴が増えると、もっといい方向に回ってくんじゃないかなと思う。
お前らが次に会う時まで、あいつのように、失敗とかを恐れないやつでいますようにって願いを込めて、この曲をやって帰ります…
…嘘です!後2曲やって帰ります!笑」
イントロのアルペジオが流れる中、1階ではたくさんのダイバーさんが人の上に上がって、上がったダイバーさん同士で肩を組むような光景の中、大合唱が広がるのはもちろん
「Make A Wish」…!
途中から細美さんはハモリに徹し、主旋律を会場いっぱいの大合唱が包むのはアリーナツアー同様の光景ですが、その後のブラストビートで飛んでいくダイバーさんの数は、その時の比ではありませんでした…!!
飛んで行く人、一緒に歌う人、じっと耳を傾ける人、各々の願いを込めて、また日々の自分との闘いに向かっていけるように…!
エルレに豪快に背中を叩かれたのなら、また勇気を持って、人生に駆け出していくしかありません…!
「ありがとうございましたあああ!」
そのまま「Strawberry Margarita」で、最後までパワフルなエネルギーを放出して本編はあっという間に終了。
ですが、当然のようにまだまだ足りないとアンコールを求める拍手に応え、早々に再登場するメンバー!
「(ZOZOマリンやきたえーるのような)おっきいとこでやってよかったと思ったのが、どれだけ大きいところでやろうが、俺は変わらないってことが分かったってこと。
周りの評価とか、全くどうでもいい!
エルレが好きなお前らは、頭悪くて能天気な感じで周りの人を元気にしてやってくれ笑
時には、痴漢みたいなふざけた野郎がいたらぶっ飛ばしてくれ!笑」
(このタイミングのMCだったか少し怪しいですが)ライブハウスでもアリーナでも変わらない細美さんの言葉に、大きな拍手と歓声が起こります…!
「俺たちの大好きな曲で、これからもやり続ける曲。」という趣旨の言葉から鳴らされる「Goodbye Los Angeles」には、過去が終わり今を必死に生きることへのワクワクが存分に込められていて、頼もしいことこの上ありません…!
「そしてこれは、ZOZOマリンが終わった今の俺たちの気持ち。」という「高架線」。
I am dreaming of a girl rocked my world
南北へ続く高架線
この先にはきっとあるとささやいてる
大きなところが、長い旅が終わっても、ただただ冒険が続いていくだけだと、その足を止めることはなく、これからも死ぬまでエルレは続いていくんだろうと、私は勝手に解釈しています。
というより、目の前で鳴らされる勇敢すぎる音を浴びてたら、そんな気しかしませんでした…!
最後は再び無邪気に「Pizza Man」!
1サビ終わりで、交互にステップを踏みながら満面の笑みでギターを弾く細美さんが可愛すぎたり、満場の「Pepperoni Quattro」コールが気持ち良すぎたり、頭を空にして最後まで駆け抜けたライブは…あまりに楽しすぎて曲終わりから叩く手を止められませんでした…!
鳴り止まない大拍手に応え、そのままライブはダブルアンコールへ突入!
「ふー!楽しかったな!
もう一曲やらせてくれ!
これは生きてる中で当たり前のことで、お前
らはわざわざ言わなくても分かってると思うことです。「金星」。」
客電も点いて、ステージ上の照明も煌々と光る中、見える光と、私の中で確かに光る何かを存分に感じながら全身で音を浴びます。
冒頭から、「一緒に歌ってくれ」と言わんばかりの細美さんの手振りに、会場中から、私の口からは自然と大きな声が。
この夜が終わる頃 僕らも消えていく
そう思えば 君にとって 大事なことなんて
いくつもないと思うんだ
「頑張ろうぜクズども!!」
今大事なのはこの瞬間。
そしてライブが終わった直後から、自分の人生が再び始まります。
次はいつ会えるか分からないけど、その日までまたロック好きとして生きたいと思えた夜は、あっという間に終わってしまいました。
結果はどうあれ、自分自身と頑張って闘ううちに、また会えるはず。
それはここにいた誰もが、確かに感じていたのではないでしょうか。
セットリスト
1.Breathing
2.Space Sonic
3.Supernova
4.チーズケーキ・ファクトリー
5.Mountain Top
6.Fire Cracker
7.モンスター
8.ダークファンタジー
9.Bonnie and Clyde
10.風の日
11.Salamander
12.Firestarter Song
13.The Autumn Song
14.Missing
15.Perfect Summer
16.ジターバグ
17.虹
18.スターフィッシュ
19.瓶に入れた手紙
20.Make A Wish
21.Strawberry Margarita
アンコール
1.Goodbye Los Angeles
2.高架線
3.Pizza Man
ダブルアンコール
1.金星
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。