「大爆笑で死ぬために、全力で鳴らし続ける不滅の魂」a flood of circle「花降る空に不滅の歌を」
こんばんは。シリアスファイターです。
2023年2月15日、大好きなロックンロールを何一つ手放さないために、墓場まで持っていくアルバムが、私の心に向かって放たれました。
a flood of circle、12枚目のフルアルバム「花降る空に不滅の歌を」です。
ほぼ1年に1枚のペースでコンスタントにアルバムをリリースし続け、常に今、この瞬間の想いを爆音のロックンロールに込めて、途方もない本数のライブをやり続ける、これしかないという潔すぎる生き様で、私の心を捉えて離さないフラッド。
そんなブレない姿勢はもちろんのこと、過去1番、ボーカル佐々木さんの心情剥き出しの楽曲が並んだアルバムでした。
一貫して感じられたのは、「今は死ねない」という意志。
それは生きることに執着するのではなく、どうせ死ぬことは分かっているから、自分のやりたいこと、大好きなことに正直になって、今この瞬間を全力で生き抜くという、決意に溢れたものでした。
そんな決意がこめられた10曲を、私はこう聞きました。
1.月夜の道を俺が行く
曲順配置も含め、文字通りのリードトラックで、前述の佐々木さんの意志が1番ストレートに伝わるロックナンバー。
佐々木さんのボーカルも、勢いよく転がり始めるバンドサウンドも、絶好調そのものの滑り出しから一転、Aメロに入った途端に歌詞は、口だけで一向に前に進まない、成長もしない、周りを気にして取り繕ってばかりで自分を見失いそうになるけど、何一つとして救いのない世界に取り残される自らの内面とシリアスに向き向き合うものに変わり、自分も思い当たる節があるだけに、聞いていて胸が苦しくなります。
でもそこまで向き合うからこそ、自分が(たとえ無理矢理にでも)信じる1つ大事なものが、不格好でもくっきりと浮かび上がります。
唐突に演奏が止まり、佐々木さんの叫びが突き刺さった時、聞いていて不思議と、これが好きだ!好きで仕方ない!というシンプルな想いだけが心を満たします…!
ひたすら自分と向き合った先に、佐々木さんに残ったのは「佐々木亮介」であり、「愛してるぜbaby!」だったから、たとえ意味や救いがあろうがなかろうが、今この道を行くしかないという鮮烈な意志表明。
MVも含めて、佐々木亮介成分100%の曲ですが、テツさんのギター、HISAYOさんのベース、渡邊さんのドラムによって、佐々木さんのソロではなく、a flood of circleの曲になる…というか自然とそう聞こえてしまうのは、どれだけ佐々木さんがやりたいようにやっても、3人もブレずに演奏面で、各々のカラーでぶつけ合うからこそなのだと思います。
ここから、a flood of circleの12枚目の物語が始まります。
2.バードヘッドブルース
どう足掻いても世界が変わることはないのをこれでもかと理解した上で、じゃあどうするって、鳥頭の私にはこれしかできないんだという想いが加速する2曲目。
2番終わり、孤高のカラスの鳴き声の如くうねりをあげるテツさんのギターソロは、最早貫禄すら感じさせます。
理屈も常識も知ったことか!
本能のままにぶっ飛ぶことだけを思って歌い続け、歩き続ける鳥たちには、ともすると、これ以上どうしようもないという諦めやヤケクソにも似た気持ちもあるように感じとれますが、
鳥たちにとってそれは、これしかないと心から思った上での、全力の生存行為なんです…!
3番のBメロ終わり、完全に静寂が訪れた時、ホントにそこで曲が終わりかと思ってたら最後のサビが始まって、初めて聞いた時はビックリしましたが、シンプルな曲構成の中で、最後のサビになった途端、同じメロディなのに破壊力増し増しに聞こえるのは、このアレンジの賜物…!
3.くたばれマイダーリン
ミドルテンポで、強烈な歌メロが曲を引っ張る3曲目。
とにかく、サビで何度も繰り返される、
の佐々木さんのシャウトが痛快で気持ちよく決まりすぎていて、30億回くらい聞いていたいという私の異常な愛情も溢れ出しました。
コーラス部分、是非ともライブで叫びたい。
くたばれといいつつも、縁を切れない特定の誰かなのか、自分自身の無駄で無意味な側面に対してなのか、解釈は様々ですが、後者で解釈すると、どれだけ自分に嫌気が差しても、どんな側面も自分だから、全部引き連れて生きるしかねえだろ!という「俺は俺だ」宣言にも聞こえます。
男らしさ?としての「ダーリン」じゃねえ!
1人の人間として、言葉だけじゃなく行動で、嘘つかずにありのままの弱さも強さに変えていけよと、佐々木さんに勝手に鼓舞されているような気がしてしまいます。
4.如何様師のバラード
CDで聞いてたら、この曲が始まった瞬間、CD割れて壊れたと本気で錯覚した、ガラスが砕けるような音から始まる4曲目。
ここまでストレートなロックが続いたアルバムで、フラッドの曲ではあまり聞いたことのないようなギラついたエフェクトがかかったギターの音色が妙に耳に残ります。
HISAYOさんの軽快なベースラインが存在感丸出しで曲を引っ張りながら、佐々木さんの歌は陽気に韻を踏みながら、真っ暗な地下のライブハウスで、頭空っぽにしてバカになって踊るしかないというやけくそ感を存分に味わえます。
サビの「パッパラパーララララ」のフレーズは、ライブで聞けば最高に頭ふっ飛ばしながら踊れそう。
と言いつつも、タイトルに「バラード」と付いているとおり、ただただ能天気に踊りまくるというよりは、これくらい馬鹿になって踊る時もないとやってけないという、悲壮感もほのかに漂います。
歌詞の最初と最後が、こんなストレートな欲望で挟まれるフラッドの曲を聞ける日がくるとは…。
このくらい何もかも丸出しで解放しないとやってけないというのも、いかにも人間らしいと思います。
5.本気で生きているのなら
踊りまくった後、1人夜の帰り道。
佐々木さんの1人語りのような弾き語りから始まる5曲目。
1人夜道を歩きながら、過去、現在、未来の自分のあり方について、まるで頭の中で独り言を呟きながら想いに耽るかのような情景が浮かびます。
たとえ苦し紛れでも、「これでいいんだ」と自分に言い聞かせて1番が終わった瞬間、いつもの力強いバンドサウンドが鳴り響きます。
心強いバンドメンバーを味方につけても、「これでいいのか」という迷いはどこかに抱えたままだし、昔の自分の言葉はまるで呪いのように付きまとうけど、結局大切なものは変わらない。
後は周りがどうじゃなくて、自分が本気でやるだけなんだ。
曲が進むにつれ、バンドサウンドの勢いは増し、佐々木さんの歌声には魂と熱が籠る、a flood of circleのドキュメンタリーを観て、聞いているかのような一曲。
「これでいいんだ」…、1番終わりには物悲しさも感じられたフレーズには、確かな決意を宿す、微かにポジティブな余韻が残ります…!
6.カメラソング
圧倒的に優しいメロディと歌詞が、ささやかに光り続ける6曲目。
やれることを全力でやるだけという意志も含めて、自らの内面をひたすらに吐き出しまくった前半を踏まえ、
と、外側に向かう願いのような、祈りのような言葉がじんわりと暖かく響きます。
特にCメロ部の歌詞とメロは、フラッド史上随一の、ロックバンドとしての優しさに溢れすぎています。
5曲目のように、これでいい!、これでいい?を繰り返す中で、自分だけが信じる幸せのために、できる限りありのまま笑っていたいんだよな…って思いながら聞いてたら、笑うどころか涙出てきそうになりました。
そんなひたすらに優しい歌メロを支えるバンドサウンドも秀逸。
私らしく笑える瞬間を、一瞬たりとも逃したくないと思うために、いつまでも寄り添ってほしい名曲。
7.花降る空に不滅の歌を
フラッドにありそう?でなかった、パンクロックの性急なツービートで疾走し始めるタイトルトラック。
前曲のような優しさも感じられる歌メロと、それを存分に引き立てる鍵盤の音色にワクワクしながら、大好きな歌を歌って聞いている今しか見えてないんだと歌う佐々木さんの歌声には、何一つ迷いはありません。
美しい花が散りゆく光景には目もくれず、自分にとって大切で、大好きな何かに全力で真っ直ぐに向き合っていれば、たとえ泥臭くても笑える、自分にとって美しい人生じゃないか?と、ここまでのアルバムの流れを踏まえて聞くことで、本気で思えてしまう力に溢れています。
「今日みたいな最高のライブを続けて、死ぬ時は大爆笑って感じで終われたら。」と佐々木さんがライブで言っていたことがありますが、言葉だけでなく、それをバンドで体現したような曲。
RISING SUN ROCK FESTIVAL、SUN STAGEの大トリはもう決まりました。
ね?WESSさん。
8.GOOD LUCK MY FRIEND
音割れしたギターノイズと佐々木さんのボーカルが、勢いよく扉をぶち壊す8曲目。
もう引き返せない道を全力で駆け抜ける直球のビートに乗せて歌われるのは、友だちの幸せを願う想いです。
その「友だち」は、何かが原因で疎遠になった誰かなのか、もう会うことは叶わない誰かなのか、分かりませんが、ガムシャラにこのロックバンドを続けて、最後には笑ってるはずの自分の、不器用なまでに真っ直ぐな想いが、もしかしたら届いてるかもしれないと思って、遠くへ歌ってみるというピュアな気持ちが溢れ出ています。
実際に届いてるかどうかなんて分からなくていい。
たとえ無謀でも、想うだけじゃなくて言葉にして、声に出すことが、後悔しない全力の生き様そのものではないでしょうか。
9.Party Monster Bop
さあ、後は全力で大爆笑のロックンロールパーティあるのみ。
佐々木亮介さんが、歌い叫ぶためにだけ生まれたような歌メロと、全てをぶっ壊す勢いで転がり続けるバンドサウンドで、ありったけを使い果たすラストスパート。
仮に「終わってる」人生だとしても、「余ってる」以上は使い果たすまで死ねないんだから、このロックが好きならとにかくブチ上がれという気合い入りまくりの佐々木さんのシャウトに血湧き肉躍る、フラッドのキラーパーティチューン。
ところでこの曲、生のライブではまだ聞けてないですが、上のリンクに貼ったライブ映像の破壊力が原曲の50億倍増しです↑
こんな曲ライブでやられたら、全力で楽しまないわけにはいかないし、この曲ライブで聞くまで、もちろん私は死ねません、死にません。
10.花火を見に行こう
昨年のツアー時からある、アルバムの中では最も古い曲(?)になるのでしょうか。
どれだけやっても上手くいかないことは上手くいかないし、もう会えない友達だっているし、結局そんなに現実は上手くいくことばかりじゃないけど、出会ったたくさんの人に、大好きな音楽に、全力で感謝して全力で向き合い続けた先に、奇跡なんて起こらないけど、大爆笑しながら一生を終えることはできるかもしれない…。
アルバムを総括しつつ、儚げで寂しいけれども、確かに光るポジティブな余韻を残してアルバムは幕を閉じます。
トータル約39分と、前作よりもコンパクトな短さの中で、パーソナルな心情を深く抉り出した10曲は、聞いていて胸が苦しくなるような瞬間もありますが、ここまで佐々木さんが全開放して勝負できてるってことは、今のバンドを、メンバーに対する信頼や自信の裏付けだと思います。
その証拠に、アルバムを聞き終えた私には、この真っ直ぐすぎるロックンロール最高でしょ!!!と素直に思えました。そんな快作!
過去1番、衝動的に書いた記事です。
相当支離滅裂かと思いますが、このアルバムを聞き終えてから、できるだけ新鮮な気持ちのまま、どれだけこのアルバムに生きる力をもらったか書き記しておきたかったので、ほとんど直さず投稿しました。
自分の好きな音楽に嘘つかず、絶対に手放さないという強い意志を感じながら、今日も私は、この不滅のロックンロールアルバムが大好きな自分自身を信じて、できる限り心から笑えるように生きるのみです。
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。
ロックンロール!