【ネタバレあり ライブ感想文】ACIDMAN「LIVE TOUR “ゴールデンセットリスト”」@道新ホール 2024.5.19(日)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はACIDMANの全国ツアー、札幌公演のライブ感想文です。
例によって現在も継続中のライブツアーですが、以下の文章では、数年ぶりにACIDMANの世界にワンマンでどっぷりと浸ることができた興奮そのままに、演奏曲や演出にも過剰に言及していますので、今後ツアーに参加される方は閲覧注意でお願いいたします。
それでは。
私が人生でロックバンドを聞き始めた時、ロックバンドと言えば「ギターが2人いること」が常識でした。
1人だとなんか物足りないんだよな…なんて私の常識をいとも容易く打ち砕いてくれたのが、このACIDMANというバンド。
スケールの大きいラウドな楽曲から、静けさに包まれた繊細な楽曲まで、ほぼ同期も使わずに3人の音しか鳴っていないとは到底信じられないそのバンドサウンドは、私のロックバンドの原風景を何度も広げてくれる未知との出会いに溢れていて、全ての曲に命の儚さや尊さ、そして世界中のあらゆる風景が広がっているという懐の深さ…もう…好きでしかありませんでした。
曲を聴いているだけでも様々な風景が浮かぶ中、初めてライブを見た2006年のRISING SUN、「ある証明」を聞きながらアーステントの隙間から覗く強烈な夕焼けは、これだけ時が経っても鮮明に思い出せる現実の風景で、それ以来さらに好きを深めることになりますが…実はワンマンライブに行けたのは後にも先にも2017年のアルバムツアーのみ。
一昨年のジョインアライブでようやく久しぶりに北海道でライブを見るのが叶ったものの、ワンマンはお預けのまま…。
そして、とうとう来たるこの日。
北海道が舞台の映画主題歌もやったんだからそろそろ…なんて妄想がとうとう現実に!!
ACIDMANが久しぶりにワンマンライブツアーで北海道に!!!
この機会を逃す手があるとすれば、それは私の手ではない!
少し乱暴な思考回路で、それでも訪れたチャンスを、ACIDMANによる命が儚くも輝くロックを、浴びに行く理由は私の中でパンパンに膨れ上がっていました…!
この日の会場は道新ホール。
私は初めて来る会場でしたが、来月末で閉館が決まっていることもあり、勝手に寂しさを感じてしまいます。
中に入るとおよそ800人ほどのサイズのホールは、最後列でも演者が見やすいこと間違いなしのサイズ感。
ステージには3人分の機材が横一列に配置され、ツアーロゴが大きく掲げられたステージバックの頭上には「ACIDMAN」の文字が。
近くにいるお客さんから聞こえてくる声の中には、久しぶりにACIDMANを見るという嬉々とした声も多く聞かれ、否が応でも5年振りの北海道ワンマンへの期待値は高まります。
定時刻を少し回り、いよいよ場内暗転。
近年のライブではお馴染みのSE「最後の国」が流れ始めると、中盤の手拍子パートを待たずして、会場中から手拍子が…!
この時をどれだけ道民が待ちわびたかを表しているかのようなクラップとともに、ステージの照明は徐々に輝きを増します。
中盤の手拍子パートとともに満を持して登場するのは満面の笑みの一悟さん(Dr)、セッティングを整えると早々に大きく両手を上げて手拍子を更に煽るサトマさん(Ba)、そして客席に向かって軽く会釈する大木さん(Vo/Gt)は、セッティングを整えると最前列に座っていた子どもに、わーっと小さく手を振っています…!
三者三様、いつもながらの人間味に安心感を覚えつつ、SEが鳴り止むと同時に頭上の「ACIDMAN」の文字だけが照らされます。
大歓声と拍手…!
瞬時に暗闇に包まれる会場に、数秒続く静寂。
それを切り裂くのは、右斜め後方から橙色のスポットライトに照らされた大木さんが火花を散らす力強いギターストローク…!
ツアー名に偽りなしと言えども、一曲目から「金色のカペラ」」…!?
フレーズに合わせてこちらに手を差し伸べるような大木さんに合わせて、お客さんがステージに向かって手を伸ばす光景も納得。
選曲自体には驚かないものの、まさかの1曲目から早くも絶唱の名に相応しすぎるシャウトと爆発する金色のアンサンブル…これは何なんだ!?と頭が情報処理を遂行前に、身体の震えが止まりません…!
私自身はリリースされてから初めてライブ現場で聞いたので、実に16年越しのご対面…!
とてつもない邂逅と幕開けですが、余韻に浸ってる暇などなく、曲が終わっても一悟さんはそのままパワフルなドラミングを継続!
大いに光った心の中に風穴を開ける、パワフルなギターリフが炸裂するのは「風が吹く時」!!
こちらは14年越しの初めまして!!
客席から上がる拳と歓声の勢いにみるみる拍車をかける突風アンサンブル…!!
時折ギターの運指を確認する以外は、終始真っ直ぐ一点だけを鋭く見据えて咆哮する大木さんの歌唱にもドキドキが抑えきれません(私の席が大木さんの正面に位置するところだったのでなおさら…!)!
過ぎ去りし突風を巻き起こした後も、まだまだまだまだドラムを叩き続ける一悟さん!
そうしてヘヴィなギターとベースフレーズが合体して襲いかかってくるのはなんと「歪んだ光」!
この曲は歌詞に「金」が入っていなかった気がしたため、全くの想定外!
前アルバムのツアーでは札幌公演がなかったため、無論この選曲にも歓喜…!
「I don't care」のコーラスの掛け合いで叫び、ゆらゆらと揺らぎ続けるラウドサウンドに翻弄されながら、拳を掲げ続けました…!
大木さん
「道新ホールへようこそ!ACIDMANです!
5年振りに北海道にワンマンで来れました、しかもソールドアウトでこの景色、本当にありがとうございます…!」
感慨深そうな大木さんの言葉に続き、深くお辞儀をするサトマさんと一悟さんにも、ただいま!と言っているかのような、大きな拍手が送られます。
大木さん
「北海道にはコロナとかもあって中々来れなかったんですけど、本当に帰ってきたくて。
その理由は何と言っても…ここが「水曜どうでしょう」の聖地だからで…!
僕はアルバムを作るたび、宇宙のこととかで頭がいっぱいになった状態で、家に帰ってから見るのが…本当に癒しの時間で…!
それがなかったら全てのアルバムはできていないと言っても過言じゃなくて!笑」
ACIDMANファンにはすっかりお馴染みの、北海道でのライブにおける大木さんの「水曜どうでしょう」への愛を語るMCが早くも炸裂し、こちらもACIDMANが本当にワンマンで北海道に帰ってきた実感を高めます…!
大木さん
「僕たちはいつか必ず消えてなくなる儚い存在だけど、それでもこの一瞬を、最高の時間に、最高の夜にしましょう!!」
今度は大木さん頭上から木漏れ日のようなスポットライト。
丁寧に優しく、一音一音を噛み締めるような「ミレニアム」のギターイントロ。
歌詞に出てくる「金色の子供達」というフレーズで、心なしかいつもよりも言葉を伝えようと力が入ってたように聞こえたのは、冒頭のお子さんへのリアクションと重なって、気のせいではなかったと思っています…!
何度果てしない夜が続いても、今この貴重な一瞬、大木さんが最後に何度も叫ぶ、「さあ!」に呼応するように、自分だけの光を見に行くために手を伸ばし続けます。
曲が終わるとまたまたこれまたドラムを叩き続ける一悟さんですが、今度は何だかとてもリズミカル。
すると、パッと紫色のスポットが照らす先にいるのはサトマさんで、そのベースラインに歓声が上がるのは「Bright & Right」。
ジャジーな雰囲気のこの曲も、ライブで聞くのは初めて。
滑らかな英語の発音でもって優しく語りかけるような大木さんの歌唱にもうっとりしつつ、おしゃれにうごめく木々のような音に身を委ねます。
働きすぎですよ一悟さん!
まだまだ叩き続けるドラムが奏でる音が導く先は「ユートピア」。
シリアスな曲が多いACIDMANの中でも、音像自体はキラキラとポップ色強めなこの曲。
そのポップさで軽くなるのは心だけであって、跳ねるリズムを力強く引っ張り続けているのは、なんといってもサトマさんと一悟さん。
原曲よりもたっぷり尺を取ったアウトロも、リズムの跳躍で音が喜び続けているようです…!
片手にシェイカー、片手にドラムスティックを携えたハイブリッド一悟さんが登場する頃、大木さんがエレアコに持ち変えると今度は「ラストコード」へ。
水色の中に、絵の具を垂らしたような白が揺蕩うような照明演出は、キラキラ光る水辺というよりは、ACIDMANの曲を聞きながらだと、宇宙の水平線をなぞっているような心地がします。
最期に見る景色がこんなに優しかったら、切ないけど、何だか嬉しいかもしれない。
今日1番の浮力を伴う音に浸ります。
そのままステージ上空から対角線上に大木さんをクロスするように照らす橙色の照明。
大木さんが爪弾くそのコード感で全てを察する「赤橙」は、私の数少ないACIDMANのライブ参加歴の中でも、ほぼ毎回聞いている曲。
歌詞の意味はいまだによく分からずとも、 ラこのミドルテンポナンバーは、ライブで聞くたびに原曲にないほどダイナミックなリズムで場を盛り上げていて、何だか不思議な魅力の曲だと改めて実感させられます。
その黄金色に輝こうとする意志は、変わらず絶えず成熟を続けていることをこの日も確認…!
大木さん
「楽しんでいただけてますか?
今回のツアーで、グッズとして初めてペンライトを作ったんですよ。」
MCでは、物販として売られているペンライトの話に。
この会場でも多くの人が購入していて、あちこちで光り輝く様は、ロックバンド単独のライブとしては流石に人生初の私。
大木さん
「作るに当たって、ロックバンドはペンライトを作っちゃいけないのか調べたんですよ(大真面目)。
そしたらそんな決まりはなくて、なんで作らないかって…「アイドルみたいだから。」って理由なんですよ…。
「アイドルの何が悪いんだ。」って思って…!
僕たちだって、アイドルみたいに笑顔振りまきたい時もあるって!!(会場笑)
ただ、光が苦手だって人もいると思います。
ルールとかはもうけたくないけど、一応胸元より上には掲げないとかあるみたいで(大木さんによるかわいい身振りによる解説)。
ペンライトは嫌だって人は、申し訳ないけど今回は我慢してください!笑
後、非常時に意思表示するためのライトとしての意味もありますから!これは本当に!」
想像以上に盛り上がったペンライト談話でしたが、東日本大震災以降の福島でのライブ活動などから、そうした意識が高いバンドであることも分かっているからこそ、「楽しめて役に立つグッズを作りたかった。」という想いは十分伝わってきました…!
まだまだ終わらないMCタイムは続けて、このツアーのコンセプトについて。
大木さん
「ゴールデンカムイの主題歌を担当させていただいて、そのままそれにとことん便乗しようじゃないかと笑
「大木くん、ゴールデンセットリストなんていいんじゃない?」って会社の人から、最初は冗談でもあったと思うんだけど、それは面白そうだなと思って。
僕らが今まで作った曲で、金色が歌詞や曲名に入ってる曲は12曲あって、それ以外の曲はどうしようかなとなった時に、金辺(かねへん)の漢字が入ってるやつだ、これだ!と笑
だから、さっきやった「歪んだ光」とかは「鍵をかけた部屋の中で 震えている」って。「鍵」で、いけるいける!ってなって!笑
でも定番曲から数年振りにやる曲まで、とてもいいセットリストになりました。」
まさか「歪んだ光」も金縛りの仲間に入っていたとは…嬉しくも参りました笑
ここで金辺の漢字と聞いて、私には真っ先に思い浮かぶ曲が歌詞と曲名合わせて3曲ほど咄嗟に思い浮かびます…まさか数十分後、その直感が現実になるとは…。
大木さん
「そもそもなんですけど、「金」ってなんでできるかみなさんご存知ですか!?
知らないでしょ!?
ここまで喋っておいてまだ話すのかって!?
5年振りですから!笑」
何とここまで喋り倒してきた大木さんは、ここに来て1番熱量の高い、いつもの宇宙論コーナーに突入します🚀
以下、とってもかいつまんで話すと、宇宙ができる過程で発生した元素について、そこから鉄や太陽ができる由来について解説しつつ、肝心の「金」そのものは、諸説あると言われていますが、とてつもない大きなエネルギー同士がぶつかり合って生まれるものであるという話。
何にせよ、ここまで喋ってきた中で、最も目を輝かせる無垢な少年、大木さん!
大木さん
「そうして生まれたあなたも、家族も、嫌いな人も、お父さんもお母さんも、元々皆一つだったんですよ!
たまたまこの時代に一緒になってるだけで、もっと違う時代に生まれて、もっと違う文明が存在していたかもしれない。
そういうことを歌った歌です。」
こうしてここ数年の数多のライブと比較しても超ロングロングMCだった時間の先に、あまりにも濃厚すぎる宇宙への旅路を誘うのは、私が先ほどの大木さんの話から真っ先に思い浮かべた曲の一つ「銀河の街」。
静かにモールス信号を送るようなギターの音色を先頭に、サビに近づくに連れて沸々とエンジンをふかし続けるようなギターの音色が、みるみると深い夜空への想像力を掻き立てていく、果てしない暗闇の旅路。
でも、不思議と怖くはない。
広がり続ける遥かな銀河への想像に、胸は高鳴るばかり…!
ループするような大木さんのギターから再び静かに始まる「水写」で焼き付いて離れないのは、それはそれはいつまでも続くアウトロ。
水色に写して、溺れそうになるほど悲しくて、美しくて、水飛沫を上げ続ける音の洪水をただただ浴び続けるうちに、心を浄化していくような時間はあまりにも神聖すぎて、でもロックバンドゆえに人間として切実すぎる時間でした。
と、ここで今回のツアーの中でも特に待ち焦がれていた、あのアルペジオが…!
来たる「アルケミスト」。
先ほどの大木先生による金精製過程の講話も経て、曲のドラマがより引き立つような味わいに…とか言っている私は、とっく大木教の信者かもしれません(大木さんはよく自分の宇宙談義を「宗教っぽい」と冗談めいて言うので笑)
Aメロから始まる可愛らしいメロディと演奏は、まるで小さな子どもの光を必死にかき集めるようでワクワク…!
そうして2番まで終わったところで、大木さんのループするようなギターや、サトマさんの浮遊するようなエフェクトがかかったベース、一悟さんの少しずつ音圧を上げるライドシンバルとスネア、一つ一つの楽器が、音の錬金術によってみるみると音楽を構築していきます。
客席から見ると眩しすぎるほどの輝きを放つ照明が照らし出すステージで、光を!光を!!と今日1番のハイトーンで咆哮する大木さんに呼応するように、私も、心を、手を伸ばします…!
集め続けた光と音は、キラキラ、パチパチと弾けては消え、消えては生まれを何度も繰り返しす、それはそれは綺麗で美しい音楽の景色…!!
いつまでも聞いていたくて、眺めていたい景色の中で、今日も私の中に、大切な光の音の出来上がりです。
一悟さん
「みなさん楽しんでますか!!??
(客席から、「いちごー!いちごー!」とたくさんの名前を呼ぶ声!)
俺、外タレ!?
こんなに呼ばれるなんて5年振りだから?
嬉しいぃぃ!ありがとう!
「アルケミスト」やってる時に8割方言いたいことは飛んだんですけど笑…えーと…」
(迷ってる間に大木さんがすぐさま笑)
大木さん
「みなさん疲れちゃうから座っていいですからね…。
(すぐに座り始めるお客さん(私も))
…ホントすぐ座るよね笑、これが宇宙の話の時だったら怒ってますけど笑
トイレとかも行っていいですからね。
(数名のお客さんがトイレへ🚽)
…ホントに行くもんね笑
いや、いいんですよ!
(ツアー初日の)京都の時もすぐ行ったもんね!?」
ここからはACIDMANのライブ恒例、一悟さんによる楽しいMCタイムを、大木さんが冷静に諌めていく恒例の時間です笑
一悟さん
「今回はね…ゴールデンセットリストツアーってことで…北海道は5年振りにワンマンで来れて、その時のツアーもファン投票のレアなセトリだったんだけど、今日も中々レアな選曲になってね…「歪んだ光」とか前のアルバムのツアーで北海道来れなかったから、やっとやれてとか…ね!?」
大木さん
「ホントに言いたいこと忘れたでしょ?
君が揺蕩うとこなんて誰も見たくないから、早く本題言って。」
一悟さん
「えーっ!!?
そういうこと言うと本当は中身のあること言おうとしてたみたいじゃん!
えーと、じゃあホントにどうでもいい話で…。
…この前家で草むしりしてたんですけど、このツアーはゴールデンセットリストで、ゴールデンカムイ→砂金→金、要はお金のことをずっと考えてて笑、で、すっごい根っこの深い雑草があって、これは…と思ってショベルでね、こう掘ったらカン!と当たって…来たなと…!
なんだったと思います?」
大木さん
「どうでもいい。」
サトマさん
「クイズにする必要ある?」
大木さんはいつものことですが笑、ここでとうとうサトマさんからも冷え切った愛のツッコミが笑笑
それでもいくつかの声がお客さんから飛び交い、
一悟さん
「まあ、今誰かが言った通り、水道管だったんですよ笑
…こんなもんですよ!」
大木さん
「これ、みなさんも悪いですよ。
俺たちも悪いけど笑
5年経ったってクオリティなんて上がりませんから!
後で反省会です笑」
曲中は否が応でもシリアスな空気になってしまうACIDMANのライブの中で、ふと力が抜けるこの時間はやはりかけがえのないものです。
大木さん
「さっき宇宙の話しすぎたんでそろそろ曲行きましょう。
トイレ行った人はもう帰ってきたかな…大丈夫ですね?
みなさんインストゥルメンタルは好きですか?
と言っても、金にちなんだツアーでやるには歌詞がないんですが、これならいけると思ったので。」
無論始まるのは「彩-SAI-(前編)」。
最初に大木さんがつまびき始める朴訥としたギターの音色はモノクロのイメージ。
しかしバンドがタイトなビートを刻み始めるとともに、白、赤、青の照明がステージに飛び交い始めると空気が一変。
たくさんの色が折り重なり、混ざり合い、次々と塗り重ねられるような音像が確かに「見えた」のは、その照明だけのせいではありませんでした。
そのまま、見失いそうになるくらい少し複雑だけど、とても静かな冒頭のドラムフレーズから、金色が歌詞に登場する「彩-SAI-(後編)」へ。
何としても力を尽くして飛び立つ鳥が、自分だけの色彩を帯びながら、力強く羽ばたき続けるような旅路をじっくりと、切実に描くように広がる音楽。
自分の無意識にあった、「無くした色」を少しずつ取り戻していくような感覚に力を貰います。
ディープな「彩」の連発を受け止めた後、このライブも終わりが近づいていることを察したのは、サトマさんのベースをきっかけに始まる「ワンダーランド」。
どんどん開けていくような音像の中、「ミレニアム」や「アルケミスト」でも歌詞に登場した「金色の子供達」の行く末が、少しでも希望に溢れた未来であることをただただ信じて祈り続けるような大木さんの優しい歌声に、私も私が生きる今の時代と、大切な人への祈りをぎゅっと込めさせていただきました。
大木さん
「ありがとうございます。
ゴールデンカムイの映画、見ましたか?
(ほとんどの人の手が上がったり、頷いたり)
…見てない方もいますね笑
是非見てください…何故なら僕たちが主題歌をやっているからです!
ここから後半戦。ホントに後ちょっとです。
その曲をやろうと思います。」
あの激しい曲が始まるとは思えないほど緩やかな雰囲気のMCでしたが、一悟さんのドラムを皮切りに、私の想像を遥かに超えて、金色の刀が何度も叩き直されるようにぶつかり合う音…!
あまりにもライブ映えが過ぎた「輝けるもの」…!
イントロからドラムスティックを掲げて手拍子を煽る一悟さんにも大いに乗せられて、客席のボルテージもみるみる輝きを増していきます…!
そうやって自分たちの金色のアンサンブルを、いつまで経っても磨き上げ続ける現在進行形のACIDMANを一曲で見せつける圧巻の4分間…!
大木さん
「もう一本上行けますか!!??」
一悟さんによる力強い雄叫びとハイハットによる2カウント。
先ほどの一瞬の想像が現実になり、思わず声が漏れ出してしまった、あまりにも大切すぎる「アレグロ」…!!
抑えきれない私を後押しするように、直上的に突き上がる音の塊!
うねりを上げ続けるギター!!
行け!…行け!!
もっとクレッシェンドしろ鼓動!!!
湧き上がれ力!!!!
いつまで経っても、私の「鐘」の音は鳴り止まなかったし、これからも、何があっても鳴り止ませない!!
最後には何度も拳を掲げながら、力強い声を飛ばし続ける大木さん…!
大木さん
「次で最後の曲です!
更にもう一本!
上に行けますか!!!???」
もう何も言わずとも、イントロを聞くまでもなく本能が次の曲を察していたし、分かっていただけに堪えきれませんでした。
私はこの曲で溢れ出るエネルギーについて、一生かかっても言葉にし尽くすことはできません。
それくらい有り余るエネルギーと、私にとって理由もなく生きたいと思える衝動が、この5分間に全て込められている「ある証明」。
大木さん
「一緒に声出しましょう…!」
間奏で爆発する光の音像に合わせて、会場中に溢れ出るエネルギーの塊。
ずっと溢れ出て止まらないものを抑えることもなく、私も全力で叫びました。
最後のサビは、もう思い切って大きな声で歌いたかったのに、あまりにも生きたすぎて、泣きすぎてもう声が出ませんでした。
それでも、あの丘で鳴り響く「鐘」の音を頼りに、何度も何度も手を伸ばして、口を大きく動かすことは止めませんでした。
それが私の生きる力で、今日この瞬間の確かな存在証明そのもの。
感情が爆発し続けた後、すっかり放心状態でしたが、アンコールを求める拍手は鳴り止みませんし、私が叩く手ももちろん止められません。
早々にアンコールに登場した3人。
準備を整えると、大木さんは最初に手を振っていた最前列にいたお子さんにピックをプレゼントしています🎁
良い思い出になってるといいな…!
大木さん
「本当に感謝しかありません。
もう言い残したことはないんですけど、最後に一曲だけ。
北海道だと何chでやってるんですか?
何時から?」
お客さんとコミュニケーションを取りながら、現在やっているドラマの主題歌の話に。
大木さん
「短い間にタイアップが続いてありがたい限りで、しかもどちらも「自由にやってください。」と言われたのが、本当に嬉しくて。
と同時に、(聞いている)みなさんの顔が浮かぶんですよ。
喜んでくれるだろうな…って!
最後にその曲をやってお別れです。」
珍しく序盤で大木さんの歌詞が飛んだり、ドラムのリズムが少しよれたりした場面すら味に感じられるほど、肩の力が抜けた演奏はまさしくエンドロールのようでした。
生きれば生きるほど、真っ白じゃ生きられないから、今日もたくさんの色を混ぜて、自分なりの金色を掲げて、輝けるように。
今日のライブの名場面が何度もフラッシュバックするような時間を過ごしながら、これからのバンドの未来も金色に輝き続けますようにと、静かに祈りを込めました。
大木さん
「ありがとうございました!
ACIDMANでした!
次はジョインアライブで!」
こうして何年もお預けを食らった果てに待っていたのは、金色縛りの激レア濃厚選曲と、何度も情緒揺さぶるような、感情のビックバンと大衝突を繰り返す怒涛のアンサンブル。
つまるところ、この日北海道で1番輝けるものたちはこの3人組のロックバンドだったということです…!
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。