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【ネタバレあり ライブ感想文】バックドロップシンデレラ×THE BOYS & GIRLS「見たこともないウンザウンザを踊るツアー」@ベッシーホール 2024.12.13(金)



 こんばんは。シリアスファイターです。



 今回は、バックドロップシンデレラ(以下、バクシン)のライブツアー、札幌公演のライブ感想文です。




 ツアーは継続中で、セットリストは各地で変わっている様子ではありますが、以下、演奏曲にたっぷり言及しながら感想を書き進めていきますので、今後ツアー参加される方は閲覧注意でお願いいたします。
 ちなみに特にバクシンのターンについては、とても我を忘れて楽しんでいた影響もあり、曲の演奏順やMCのタイミングが非常に怪しいです。
 あくまで一個人の感想、ご愛嬌ということで何卒🙏



 それでは。



 ライブハウスは大好きでも、ライブハウスで激しくぶつかり合ったりする当事者となるのは未だに怖い私でも、このライブハウスで躍動してきたバンドが、コロナ禍を経てライブハウスでその真価を存分に魅せたという意味で、昨年9月の新宿でのTOKYO CALLINGにおけるバクシンのライブは、目頭が熱くなりすぎて漫画みたいにメラメラ燃えてたまらないものでした。



 昨年見たイベントやフェスの中でも、特に記憶に残るライブの一つとなったあの日ですが、それでも今を生き続けるライブハウスのバンドは、やはり今、ライブハウスでこそ改めて見たいのがライブハウス大好き人間の本能というもの。



 そうしてとうとう都合が合ったのは6月のツアー、札幌ベッシーホールでしたが…当日の朝、体調に異変を感じ病院に行ってみるとまさかの人生初のコロナ。


 その後みるみる悪くなった体調とライブのドタキャンが重なり、メンタルをメッタメタにやられた療養期間。


 それでもいつか必ず、リベンジウンザをすることを誓い、祈り続けた先にいざ発表された次のツアーは12月の札幌、会場は同じくベッシーホール。

 今年の心残りをぶつけてウンザウンザする自分を肯定するためにいざ、2度目の正直へ。

①THE BOYS & GIRLS


 札幌で見るライブは個人的に今年最後となったこの日。
 入場整理番号はまさかの1桁…運も使い果たして新年を迎えられるのであれば、それにあやかって最前線でガン見するしか選択肢はありませんでした。




 ほぼ定刻通り会場が暗転すると、シンゴさん(Vo.)といつもの3人のサポートメンバーが登場しますが…



シンゴさん
「亞一人さん来てる!!」




 と、袖の方に目をやるとなんとライブに遊びに来ていた、両バンドと交流の深い青木亞一人さん(アシュラシンドローム、Tsukisamu Mutton Network)の姿が…!




 「もうやめてよ〜」とばかりの反応を見せる亞一人さんですが、「今、俺らのライブなんで!どっか行ってください!笑」とあっさり突き放すシンゴさんに激昂する亞一人さん笑




 早々に興奮と笑いに包まれる中、シンゴさんが高々とピースサインを掲げると、いよいよライブの幕が上がります。




シンゴさん
「バクシンと札幌でやるのは、2011年の12月ぶりです。
 呼んでくれて本当にありがとうございます!
 まずは札幌のバンドが…かっこよくやるんで…!」




 そういってシンゴさんが歌い始めるのは、バックドロップシンデレラの「COOLです」のサビ…!




 歌詞に出てくる「騒音」を「札幌」に変えて歌うシンゴさんから、札幌でライブをやることの並々ならぬ決意を感じさせる中、「俺たちのダンスナンバー!」と言って始まる1曲目は
「ロータリーを抜け出せ!」の真っ直ぐなパンクロック…!




 少し過剰に思われるほどには、ギターもベースもドラムもボーカルもストレートすぎるほど力強い打音ですが、こうじゃなきゃボイガルの本気が伝わらないのは曲のストレートさゆえで、つまり1曲目から全てが絶好調であることがビシバシ伝わる演奏…!




 ハンドマイクに持ち替えたシンゴさん。
 「陽炎」が始まるなり客席に突撃していくと、耐えかねた客席の圧も前方に急上昇!!

 今日ボイガルを初めて見るバクシンファンの方も多いであろう会場ですが、それでもサビでは合唱になり、堪えきれずダイブする人が出るなど、札幌でボイガルを見れることも楽しみにしてきた人がたくさんいたことも明らか…!
 間奏ではステージのモニターに足をかけ、そんな客席の様子をじっと見つめるシンゴさん。
 その不敵な笑みからも、早くもライブの手応えを感じさせます…!



 そのままディスイズマイウェイを行く「よーいドン」で、サビ前にはフロント3人が一斉にジャンプ…熱狂は続きます…!


 バクシンとの対バンであることを意識してか、「踊る」ことや「ダンス」を強調した言葉選びや選曲が多かったこの日のボイガル。




 続く「心のまま」も、「俺たちのダンスナンバー!」と言って披露されますが、イントロに入る前、ドラムが軽快なリズムを刻む中、シンゴさん自身が、「例えばこう!、例えばこう!」と、全身を使って色んな踊りを見せてくれます。




シンゴさん
「ダンスっちまえ!!」



 誰よりも楽しそうな素振りで歌い踊るシンゴさんに、こちらも思わず心踊ってしまいます…!



 再びギターを構え、今日は持ち時間を7時間もらっているらしく、バクシンはその後12時間やります!と、楽しそうに冗談を飛ばすシンゴさん笑



シンゴさん
「全部忘れて踊るって人もいれば、ここに来るまでの色々を引きずりながらライブを見る人もいると思います。
 ライブハウスってそういうところだから。 
 その中で、ライブハウスでも隅っこで、手を挙げたいけど挙げられなくて、なんか心がぐわぁっとなってるって人もいて。
 楽しみ方に絶対的な正解なんてなくて、それは当然のことで。
 物理的にうわぁーっ!って踊るのももちろん楽しいんだけど、そういう心で湧き立つものに、どれだけ気付けるかってことも大事だと思います。
 俺たち、踊れる曲は少ないですけど、これも俺たちのダンスナンバーです。」



 「心」で踊るライブハウスをしっかり肯定してくれるから信頼できるボイガルが鳴らす「ガール」

 誇れるものなんて
 いくつもなくていい気がする
 それでもこの暮らしの中に光を見つける

ガール



 「俺は気付いてるよ!」と力強く語りかけながら歌うシンゴさん。
 その優しさが真っ直ぐすぎて、それに震える心があるから、私はまだまだ音楽に生かされてるんだと改めて実感します。

 もっと早く走れたら
 掴めたものもあったのだろうか
 光の中の歌声を今日も追いかけている

ボーイ

 それでもしんみりなんてさせないために、サビを絶唱して再び熱くたぎらせてくれるのは「ボーイ」で、「一徳さんがこの前DJでかけてくれた!」と曲中で嬉しさを爆発させるシンゴさん…!



シンゴさん
「バックドロップシンデレラに、愛と憎しみを込めて!」



 昨年同時期にハンブレッダーズとの対バンを見た時も、ハンブレに同じようなものを込めて演奏していた「階段に座って」




 ボイガル流の対バン相手への最大級のリスペクトを込めた選曲であると同時に、隙あらば主催のバンドを食ってやるとばかりの勢いを感じるのは、自らのバンドを全うして歌い散らかすシンゴさんを筆頭としたボイガルの演奏が気迫まみれだったから…!



シンゴさん
「俺たちのライブどうすか?
 あんまりライブ中に聞くことじゃないけど笑
 どうすかね!?


(客席から大きな拍手と歓声!)


 今日は天気も良くてよかったですね!笑(札幌は雪がチラついてました。)
 この時期に北海道に来るバンドはこうじゃないと!四季を感じてほしいですよね!

 普段対バンでライブの告知とかしないんですけど…札幌のライブハウス…たくさん行ってください!

 今俺たちより下の世代の札幌のバンド、かっこいいのばっかりです!
 ベッシーホールのHPとかで、ブッキング見てみるだけでもいいんで、機会が合えば見に行ってみてください!

 俺たちも未だに対バンイベントとかだと数十人しかお客さんを呼べないこともあって、今日みたいに250人の前で演奏できてるのって奇跡みたいなもんで。
 また対バンでボイガルに声かけようって思ってもらえるようやってきますんで!」




 ライブのたびに、札幌の、地元の音楽シーンを盛り上げたいという趣旨の話をしているシンゴさん。
 その話を踏まえてバンドの行く先を指し示す「その羅針盤」の頼もしさったらありゃしない!!


 すると1番のサビ中、ギターのカズマさんが突然アドリブで弾き出したのは、バックドロップシンデレラの「さらば青春のパンク」のギターリフ…!



シンゴさん
「なんだそれ!!??
 びっくりした!!」



 突然のことにシンゴもさん驚きを隠せないままですが、いたって冷静なカズマさん!笑
 そのまま熱い演奏を継続し、アウトロではそれに呼応するように同曲のサビを熱唱するシンゴさん…予定調和なしの素晴らしきロックバンドの熱量…!



 そのまま駆け抜け切るラストは「最初で最後のアデュー」


 この後出てくるあゆみさんのことをつい意識しつつも、ラスサビ前にはマイクと共に客席の後ろの方まで行くシンゴさんという展開は、あくまでいつも通りのボイガルそのもの!



シンゴさん
「次はバックドロップシンデレラ!!」




 「踊れる曲は少ない」と言いながら、心がガッ!!と震える瞬間を捕まえて、そのパンクロックでずっと胸震わせてくれたライブ。



 札幌にボイガルありであれば、それはそれは「ダンスっちまう」、ヤバイ夜の幕が開けちまうっちゅうことですよ!

セットリスト
1.ロータリーを抜け出せ!
2.陽炎
3.よーいドン
4.心のまま
5.ガール
6.ボーイ
7.階段に座って
8.その羅針盤
9.最初で最後のアデュー


②バックドロップシンデレラ

 お立ち台で足が滑らないよう段ボール(?)製の板をガムテープで貼り付けてしっかり補強するあゆみさん(Vo.)に何となく見惚れたりしながら、本人たちによる機材チェックを見守ること数十分。



 いつものウンザウンザSEに乗せて、大きく手を挙げる渉さん(Gt.)、笑顔で大きく手を広げるキャナコさん(Ba.)、ドラムの椅子の前で立ち尽くし、力強く握り拳を前に突き出す一徳さん(Dr.)の3人がまずはステージへ。



 口火を切るのは渉さんによるウエスタンの香りがするブルージーなギター。
 そこに一徳さんとキャナコさんのベースラインがフェードインする中、ゆっくりと歩いて登場するあゆみさんがお立ち台へ…!



 挨拶とばかりの強烈なシャウトとイントロが爆発する「亡霊とウンザウンザを踊る」で幕を開けると、途端にライブハウスはヘドバンの波…!


 何で最前線にいる私にそれが分かるかって、前へ後ろへ身体が激しく揺さぶれられるんですもの…そりゃ分かりますよ…!



 ミドルテンポでずっしりしたイントロから、突如高速のスカに変わる目まぐるしい展開を見せる曲にもひたすら食らいつく、踊りに飢えた亡霊はびこるベッシーホール。


あゆみさん
「遊ぼぉぜー…!!」


 景気の良いオープンハイハットのカウントから愉快痛快豪快な「バズらせない天才」に突入すると、歌詞通りよっしゃやったんぜとばかりに、サビの始まりと同時にお立ち台からあゆみさんが客席にダイブ!


 ペットボトルロケットの如く素早く軽い身のこなしのあゆみさんを中心に、客席でモッシュの荒波を形成する中、あゆみさんがステージにいない隙に渉さんがお立ち台に立ち、テクニカルなギターソロでそのグルーヴを更に熱く盛り立てます…!



 ステージに戻ってきたあゆみさん。
 ラスサビ前に客席を真ん中で2つに分けるような仕草を見せ、二手に分かれる会場。
 そのままラスサビではワチャワチャと激しいウォールオブデスになりますが、ふと振り返ってみたお客さんのほとんどが笑顔笑顔笑顔…!




 どう少なく見積もっても、この空間では最高に「バズっている」としか言えないほどには高揚感に包まれる中、サウンドそのものは踊れるものの、歌詞は更にシリアスな「2020年はロックを聴かない」へ。


 コロナ禍で苦しかった時期を思えば思うほど、こういう好き勝手に遊べるライブハウスの光景に感慨深くなる中、キャナコさんと渉さんがダブルでお立ち台に立ち、笑顔でお互いの演奏に興じている様を見ていると、今のそんな光景には何の混じり気もない楽しさしかないことがこちらに伝わってきます…だからこそより感慨深い…!



渉さん
「我々バックドロップシンデレラがー!
 …今宵札幌でウンザウンザする!
 …ボーイズアンドガールズ!
 …ガールズアンドボーイズ!…」



 ステージをゆっくりと歩きながら、一言一言宣言していく渉さんにその都度歓声が上がる中、続くは楽しげな雰囲気のスカのリズムが強調された曲(すいません曲名が分からず…後々色々と音源を聞いていたら、一徳さんのドラムパターンから「楽園でウンザウンザを踊る」だったような気がしますが確証は…)。



 まだまだ踊り始めたばかりの客席も、ステージ上では主にあゆみさんも、軽快なステップに興じます。
 曲終わりもそのまま一徳さんによる軽快な
ドラムに手拍子が上がる中で始まるのは「クレイジー⭐︎ビート」


 ロック触れたての初々しくて胸が高鳴る気持ちを喚起させられる曲の中で、一徳さんがサビ中何度も満面の笑みでドラムをぶっ叩いている様がふと目に入ります…何ですかその初々しさ!屈託のなさ!純真無垢!




 一徳さんのそれはこの後ライブ中に何度か見られますが、あのゴリゴリのドラミングにこの笑顔ときたら…そりゃあファンも増えますわ…!



渉さん
「お前ら甘いもの好きかー!!??」



 高速ツービートの「STOP!家族!2」では、素早いテンポを右手で腰をバシバシ叩いて取りながら、スタンドマイクで裏声混じりの真摯な歌を聞かせてくれるあゆみさんに見惚れますが、客席フロアはお構いなしにモッシュの嵐…ってそりゃそうですよね!?
 そういう曲でもあると、私も激しく同意。


 まだまだ踊りのレパートリーを引き出される「フェスだして」では、両腕を大きく上げ下げ上げ下げ、まさしくフェスでよく見るような光景に。


 曲の中断部に当たるところでは、突然原曲にはない曲調に発展。
 そのまま歌い出すのはなんとキャナコさんで、あら、道民なら高確率で聞いたことのあるあのお菓子メーカーのCMソングで、客席では合唱に笑


 どうやらバクシンの札幌ライブでは恒例らしく、札幌出身のキャナコさんがいるからこそのこの光景…!
 ひと通り歌い終えたところで、



渉さん
「ちょっと靴紐結びたいから、そのまま札幌トークしててもらっていいすか?」



あゆみさん
「靴紐!笑」


キャナコさん
「みなさん山親爺ご存知ですか?

(多くの手が挙がる)

 あ、だから歌えるんですね!
 ありがとうございます!」



(靴紐を結び終えた)渉さん
「でもこれ、今回でもう封印しようって話をさっきしてて、MCの話題がこればっかりになるからって…ね…で…今日は祝ってくれー!」



 キャナコさんのこの貴重なくだりは、私にとって今日が最初で最後かもとしんみりしていたら、突然自分の誕生日にかこつけて再びフロアを熱狂させにかかる渉さん笑



 お祝いムードによるものなのか、勢いを失わない軽快なグルーヴによるものなのか、否、その両方が混ざり合ったウンザウンザムードで最後のサビを再開すると、更に力強く両腕を上げ下げせざるを得ません…!



 再びキャナコさんのターンに切り替わり、キャナコさんがメインボーカルを務める「ボンドガールすぐ死ぬ」では、その麗しの歌声を披露してくれます。

 この曲ではほとんど出番がないフロントマンのあゆみさんですが、キャナコさんの斜め後ろに立って客席にスタンドマイクを向けたり、時にはステージ前方で扇動したりと、「キャナココール」の先頭に立ち続ける姿は微笑ましくもあり、とても頼もしいお姿…!



あゆみさん
「今日は張り切ってスニーカーで来たよ!
 北海道走ろうと思ってさ!
 でもツルッツル!で!笑
 でも、さっきちょっと外出たら、ウーバーイーツの人、自転車なの!
 北海道の人、これでも自転車乗るんだ!すげぇっ!ってなって!」


渉さん
「札幌駅に着いた瞬間思ったよ。
 東京だったら(雪で)中止だよ!
 ってボイガルに言っても、イベンターさんに言っても、はははって笑われたけど笑
 どのイベントも飛んでるよな?払い戻しだよ…俺払い戻しって一番嫌いだよ…いや当然戻すんだけどさ笑
 そうならないように、いつも天気に気を付けてライブしてます。」



 「天気に気を付けてライブする」という発言に、そんなことできるのか?と後からじわじわ引っかかって面白くなってしまうメンバーと客席笑
 ですが、バクシンが晴れバンドと呼ばれる所以は、そういう心がけにあるのかもしれません!



 その後は話すことに困る度、自身の誕生日ネタで盛り上げようとする渉さん笑
 どうやら当初、このツアーの札幌公演は11月初めを予定していたものの、急遽別ライブが入りこの日程になってしまったとのこと。



渉さん
「俺、誕生日にライブやりたくないんだよ…。
 なんかこうライブで、今日誕生日でーす!おめでとう!みたいなの…苦手なんだよ!
 俺が誕生日にライブやるなんてな!
 レアだぞ!!」



 意図せず貴重な現場になっていることが分かったところで、おそらくこのライブでほぼ唯一と言っていいくらいじっくりと演奏に浸れた「忍び足でウンザウンザを踊る」へ。


 夜風を感じながら夜に忍び込むグルーヴはとても軽快で、夜のお散歩にも最適…そして冷静に聞くことで4人の演奏力の高さに改めて脱帽します。



 ゆっくりしてたのも束の間、わずか1分半で熱狂を取り戻し始める「束縛」ですが、ハードロックさながらのヘヴィなアウトロのかっこよさは異常で、途端にこの日何度目かのヘドバンの嵐…!


 再び身体も心も踊れる体勢を整えたところで、一徳さんのカウントからイントロが鳴り始めた瞬間に溢れ出す、朝を切望する心…!



 本っっっ当に聞きたかった「祝え!朝が来るまで」…!


 この日に関しては渉さんのバースデイ案件もあってか、「祝え!」とばかりに曲中にドラムスティックで何度も渉さんを指し示す一徳さんも微笑ましかった中、夜の闇の中でも激しく優雅に踊り続けることで、朝が来ることを願って、大いに祝うための心のエネルギーを蓄えるために、サビのコーラス部分は自分でもビックリするくらいの大声で歌っていた自覚しかありません…!!




渉さん
「ボイガル、出てくれて本当にありがとうございます!
 さっきシンゴがMCで、「札幌のバンド見に行け!」って言ってたけど、2011年に対バンした時も、全く同じようなこと言ってて。
 しかもあの時のあいつは、怒ってたんじゃないかって勢いで、お客さんもうわっ!ってなってて。
 でもそれはあいつが本気だったからだし、それで今日のライブ見たら、その伝え方が上手くなったりしてて、そこに時間の流れを感じたりしたんだけど。
 でもこういうの言い続けてる人がいるっていうのはいいなと思って。
 俺はどれだけ人に言われても、行きたくないライブは行きたくないよ!笑
 でも、それを言うことで、バンドとして強くなるんだよなと思って。
 だから俺は、俺のライブに来てくれとしか言えないし、来てくれたからにはいいライブをし続けたいと思う。
 いい曲を書く!」




 渉さんがそんな趣旨の言葉でボイガルへの感謝と想いを口にした後、桜色の照明に染まるステージで演奏される「桜。轟音にのせ」の切実さ。


いつか僕も何もかも
忘れ 消えてしまうから
あなたの歌を刻むよ
僕は何度でも歌う
僕は何度でも歌うんだ

桜。轟音にのせ


 俺のライブに来てくれ!としか言えないから、俺のできるいいライブをするしかない!から、音楽に載った純粋な思いを、ひたすらに何度でも歌うことで溢れる力があって、渉さんもあゆみさんも、ただ真っ直ぐに真剣にマイクに想いを載せる様を心に刻めば、私も自然と何度でも歌い出したくなってしまうのです。




 ロックバンドの轟音にのせて何度でも歌い続けて、それと同じくらい踊り続けられるはずだというめちゃくちゃな思考回路が点と線で繋がって、立て続けに演奏されるのが「本気でウンザウンザを踊る」であれば、身体中のウンザスイッチがバチバチに点灯!!!

 原曲で弦楽器の華やかフレーズが扇動するフレーズは、渉さんのギターの高速アルペジオによって紡がれるわけで、そこにあるメロディは華やかなままなのに、渉さんの手にかかれば、途端に歪んだ凶暴なタンゴを踊り出すものですから、あら不思議!




 これがバクシンとしてのライブを続ける意味そのものであれば、本気(まじ)で騒いでもらいましょうかぁぁぁ心ぉぉぉぉぉー!
 掲げる拳にも力が入ります…!




 スネアとギターのユニゾンが今日も狂おしいほど興奮を加速させるイントロが、ライブになると原曲の2倍尺の長さで襲いかかる「台湾フォーチュン」で、心のギアは当者比15億倍程度加速…!


 モッシュやダイブの波もみるみる激しくなるフロアで、私もそれなりに左右に振られ続けつつも、明らかにこの楽しさは目の前の4人の鉄壁のグルーヴが心から踊れるものだから…!



 ある種の闘いのような一瞬を終え、「月あかりウンザウンザを踊る」で降り注ぐ、闘いを祝うための恵みの雨のようなサウンド…!



 ラスサビ前のブレイクにて突如あゆみさんが、
「ちょっと明かり消して!
 その天井の丸と、みんながすごく綺麗だね!
 ベッシーホールってさ、(ステージ後ろに)振り返ると、マンボウ(のバックドロップ)があるのがいいよね!
 ライブハウスって、ぐわああっ!って感じで凶暴だけど、マンボウってのがいい!
 (バックのマンボウをお茶目に揺らす一徳さん笑)
 みんなもマンボウみたいに踊ってくれる!?」

踊るヤツがエラいのだ 
それがここのルールさ

月あかりウンザウンザを踊る


 ぷかぷか泳ぐマンボウみたいでも、真摯な演奏に胸震わせるのも、ワチャワチャ手足をジタバタさせるのも、何でもかんでも今日ここで何かが「踊った」のであれば、それが正解で、それが許される遊び場こそライブハウス。



 そんな想いに胸がいっぱい…になりかけてたところで、再び客席を真ん中で真っ二つに割り始めるあゆみさん…ということは…!


 ラスト、「さらば青春のパンク」のイントロとともに、客席は再びウォールオブデス!
 更に激しいモッシュ、ダイブの波!
 あゆみさんは曲中に、ライブの度に散々話題になる跳躍力を生かし続けて大ジャンプを決めながら歌唱を続け、最後はもちろん客席にも…!

笑い転げちまいそうな 
見た事もない踊りを見せてよ
いまにくたばっちまいそうな
一生を駆け抜ける走り方教えてよ

さらば青春のパンク


 胸いっぱいになってる場合じゃなくて、もっともっとライブハウス中を見渡せば、現実では滑稽に見えるかもしれなくても、そこには見たこともないたくさんの踊りに溢れてて、それは今を生きる上で、無駄かもしれないけど本当に必要なことで…!!!




 激しくもたくさんの笑いと踊りに満ちた空間で、この歌詞だけ妙に聞き取れて胸に残った私には、この踊りの空間の愛おしさが、肌で理解できたような気がします。
 最後にキャナコさんと交わせた握り拳も忘れません…!



 本編はもちろん終わりですが、まだまだ終わらせないとばかりのアンコールは、拍手と歓声だけになるかと思いきや、この日は自然と「ハッピーバースデー」コールに!笑



 あまりに暖かすぎる自然調和の中、再登場するメンバー。



あゆみさん
「さっき、「マンボウみたいに踊って!」って言ったけどさ、もっと先を行けばよかった…マンボウをみんなで作ればよかったんだ…!
 またベッシーホール来なきゃ!」



 「うんうん。」と話し始めようとする渉さんをよそに、突如会場に流れ出すハッピーバースデーソング…!
 なんとろうそくを立てたケーキを持ったスタッフさんが登場し、渉さんにケーキが贈呈されます…!
 もうこの日何度も言ってますが、お祝いなんてなんぼあってもいいですからね!
 改めまして、お誕生日おめでとうございます!!



渉さん
「ここしかタイミングなかったもんね!
 ありがとうございます!
 次の札幌もあるんでまた来ます!

 最後の曲はシンゴと一緒に歌いたいと思います!」



 真っ赤なTHE HIGH-LOWSのTシャツに身を包み、サングラスをかけたシンゴさんがオンステージすると、渉さんの鋭いギターリフからアンコールは、最初にボイガルが一節を引用した「COOLです」


 イントロとともにシンゴさんがサングラスを外すと、何とあゆみさんを意識したように両目に真っ黒な縁取りが!笑(おそらくマジックで書かれたもの笑)
 メンバー4人それぞれの方を向いて笑わせにかかりながら、マイクを持って何度も歌い出しそうな素振りを見せながら、歌わずに踊り続けるというエンターティナー振りで笑わせてくれるシンゴさんをよそに笑、4人は最後まで強靭なグルーヴでタイトな演奏を続けます!!



 ラスサビ前、シンゴさんに何やら耳打ちしている様子のあゆみさん。
 するとラスサビ突入とともに、お立ち台から2人一緒に客席にダイブ!!



 シンゴさんは曲終わりとともにすぐステージに戻ってきたものの、あゆみさんは…なんと客席の1番後ろまで到達!!



 「そこまで行った人見たことないよ!」とシンゴさんに言わしめるほどのアクロバティックさで、ここにいる誰よりも踊り明かしたあゆみさんなのでした。



 こうしてライブは終了しましたが、袖の入口付近でお客さんとして見ていた亞一人さんだけ、なぜか楽屋に入れてもらえない事態に笑




 客席ではまさかの亞一人コールが勃発し、その度に亞一人さんがお酒の缶片手に「うぇーーい!」と力強い発声を繰り出して客席を盛り上げます!
 それでも楽屋に入れてもらえないくだりを実に3回ほど繰り返した後笑、最後は一徳さんが笑顔で肩を抱き、楽屋に迎え入れるというハッピーエンディング!!



 実に2時間30分以上に及んだライブは、久しぶりに肉体的な疲労感もバッチリ残る清々しさでした。



 渉さんのバースデイを利用した愛ある力技のMCを差し引いたとて!笑
 細胞レベルで踊らせるグルーヴはやっぱり唯一無二!!




 心も身体も大喜びの、この日限りの見たこともない踊りの景色が広がるライブハウスが、楽しくないわけないじゃない!!!
 またライブハウスで!
 ジョインかライジングでも!
 ウンザウンザウンザ踊り続けさせてください!

 ※セットリストは不明曲があったり、順番もちょっと怪しいので今回は省略!


 今回は以上です。


 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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