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【ネタバレあり ライブ感想文】くるり「ライブハウスツアー2024」@小樽GOLD STONE 2024.6.22(土)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はくるり、久しぶりの全国津々浦々とライブハウスを巡るロングツアー、小樽公演のライブ感想文です。
現在も継続中のツアーですが、以下の文章では、そんな長い長いツアーに負けじと、長い長い長ーーーーい文章が、演奏曲や演出込みで展開されますので、今後ツアーに参加される予定の方は閲覧「非」推奨でお願いします。
しかも長いですから(しつこい)。
それでは。
何かとライブを見る機会には恵まれているくるりですが、ワンマンで見る機会はそんなに多くはなく、(というかびっくりするほど都合が合わず)、人生でまだ2回きり。
そのうちの1回目というのが非常に思い出深いライブで、それもそのはず、私がライブハウスで初めて見たライブが、地元で見たくるりのワンマンライブでした。
それはそれは今よりも一回り以上年齢的に幼い時の話だったので、ライブハウス中腹にいた私にはメンバーの姿はほぼ見えず、音は爆音でまるで聞き取れず、曲もまだほとんど知らずと、文字だけ見ると散々な体験のようにも思えますが、それでも当時から知っていた「Morning Paper」で俄然テンションが上がり、会場に渦巻く音とエネルギーの塊による、「なんだかよく分からないけどすごいぞこれは…!」という確信に満ちた感覚だけはよく覚えていて、実際、今の自分に繋がる大きな体験となりました。
昨年のライジングサンで再び度肝抜かれた辺りから、そろそろワンマンが恋しくなりすぎていた矢先のワンマンツアーはライブハウス!
しかも小樽と帯広!?
んー…小樽なら!
ということで迷わず真っ直ぐに向かった半年振りのゴールドストーンで、数年振りのくるりのワンマンライブに浸った記録です。
比較的平均年齢高めの本日のゴールドストーンはお客さんの密度もライブへの期待値もパンッパンッ。
スタッフさんによる、「一歩前へ!」「半歩前へ!」の誘導がある度に、会場が満員御礼であることを何度も実感する中、ちょうど開演5分ほど前にスタッフさんによる注意事項のアナウンス。
それが終わると開演時刻18時ジャスト、会場BGMはそのままに、ゆっくりと場内が暗転。
拍手や歓声に包まれる中、既に口元にハーモニカを装備している岸田さん(Vo&Gt.)を筆頭に淡々と登場するメンバーは、登場するとまずステージ中央で丁寧にお辞儀。
勢いを増す歓声に笑顔で応える岸田さんはとてもリラックスした雰囲気で、ウクレレを巨大化したようなアコースティック(?)ギターを構えています。
準備を整えると、静かにハーモニカを鳴らし始める岸田さん。
そこに松本さん(Gt.)のアルペジオ、石若さん(Dr.)のシンバル、野崎さんのキーボード、佐藤さんのベースと、一つ一つの音が現在地を確かめるようにゆっくりと重なり合い、音楽を形成していきます。
全ての音がフェードインして重なり合った先に目指したこのライブの出発点は「鹿児島おはら節」。
この日は小樽駅に着いたところで、ちょうど近くの神社のお祭りが開かれていて、たくさんの出店で賑わう様子を眺めながらこの会場に辿り着いた私。
この人懐っこい歌メロは、先ほど見てきたお祭りの風景や人の匂いを自然と想起させるもので、思わぬ形で風景と音楽が重なり合う幕開け。
アウトロに入る頃には祭りのかけ声を力強く鼓舞するように広がりを見せるアンサンブルがとにかく気持ちよく、あっという間にくるりのライブに浸る心の準備は万端です。
曲が終わった後も、ブルージーなギターを奏で続ける岸田さん。
岸田さん
「くるりでございます。」
一言挨拶を挟み、奏で出すギターリフは…まさかのホ…「Hometown」…!?
私とくるりとの出会いのアルバムでもある「アンテナ」からの渋過ぎる選曲に早くも歓喜する脳内…!
原曲とは異なるアコギの音色でざらついた印象を付加しつつ、原曲と同様のハードなギターリフは、松本さんの唸るエレキギターがどっしりと継承。
長いキャリアがあるバンドのライブで、二度と会えない顔をしている可能性もあったこの曲が、意図せずハローとご挨拶してくると同時に、一曲目の雰囲気を粉々に打ち砕くヘヴィな音の塊がうごめく場内。
そのままハードロックさながらのギターリフで重厚な雰囲気を継承するのは「リルレロ」って…、本当に何だこのセトリは…!
聞けるかな?と予測してた曲が1曲も出てこない!笑
グッと目を閉じて噛み締めるようなベースを弾くことでお馴染みの佐藤さんも、この曲では目をガッ!と見開き、眼力フルパワーでゴリゴリのベースラインを奏で、岸田さんのボーカルワークは、一文字一文字歯切れが良すぎるほど力が入っています。
怪しげかつエネルギッシュなグルーヴ…!
予測不能な展開を見せるライブでしたので、前曲の強烈なギターの余韻から、ここでまたまたレアな「コンバット•ダンス」が出てきてももう驚きません笑
むしろ積み上げたヘヴィな音像そのままに鳴らされる軽快なビートに、身体と心は動くばかり。
曲の途中で挟まれる、ハッとするようなブレイクを打ち砕く佐藤さんのベースラインと、岸田さんによる吐息のようなボーカルワークは、あまりに気持ち良すぎるとともに、たまらなくド変態な音楽。
とか言っている自分が1番のド変態であることを自覚するド変態タイム(何度でも何度でも言う。)。
前半戦を締め括るのは「麦茶」の朴訥としたグルーヴですが、今回のサポートメンバーによる、原曲にない魅力が大いに付加された至高のテイク。
少しドラマチックで儚い印象になっていたのは、野崎さんによる美しい鍵盤の旋律のせいであり、茹るような暑さを想起してじっとりと汗をかいてしまうのは、石若さんによる飛沫をあげるドラミングがグルーヴを牽引していたから。
これから訪れる夏とともに、コップに入った麦茶の色に、味に想いを馳せます。
岸田さん
「改めましてこんばんは、くるりです。
ようこそお越しくださいました。
バンド活動を初めて………50年くらいですかね(客席笑)。
体感的にはそのくらいやってるんですけど、初めての小樽でライブです、ありがとうございます。
初おたですよ、初おた。
佐藤さん
「(初めて小樽でライブすることを)「初おた」って言っていいんですか!?笑
初めての小樽でのライブ…「初オタ体験」ですか!?」
それこそライブハウスでのツアーが中心だった頃のくるりは、北海道内も細かく回っていた印象があったので、小樽公演が初めてというのは個人的にも意外でした…!
岸田さん
「あなた(佐藤さん)は昨日、京都でライブだったでしょ?
私は前日入りして、プリン体をたくさん摂取しまして笑、皆さんはお魚好きですか?
北海道に来ると、ウニ丼とかいくら丼みたいなのを食べがちですけど、地元の人からしたら本当に美味しいもの(お魚)って何なんですかね?
(客席から「ハッカク!」の声!)
ハッカク!悩んだんですよ!
昨日行ったお店の人にもおすすめされたんで、「じゃあそれをお造りでください。」って言ったら「今は無い。」って言われて笑、じゃあ言うなよと思ったんですけど笑
そんな感じでよろしくお願いします。」
岸田さんのインスタにうにの写真が挙がっていたので、その通り堪能されたようで何より。
次回はハッカクも是非!(と思いつつ、私も食べたことないな笑)
岸田さん
「昨日から小樽はお祭りやってるんですよね?
お神輿と一緒にゆっくり歩いたんですけど。」
先ほどの一曲目の時に言及したお祭りの雰囲気を岸田さんも味わったご様子。
この後ふと、お神輿は担いだり、引いたり、その土地ならではの文化があるのか?という話題になりましたが、特段答えが出るわけでもなく、静かに優しい笑いが起き続けるとても和やかなMCタイムです。
岸田さん
「じゃあ北海道の短い夏を堪能してもらうために、「Natsuno」という曲を。」
「麦茶」からの流れも意識したのか、夏を感じさせる曲が続けて演奏されます。
そうなんです…北海道の夏は短いのです…。
そんなセンチメンタルと、田舎ならではの静かで淡々とした暑さと、一時の清涼感を感じさせる音像が広がります。
水色の照明にステージが包まれる中、カラッとしたツインギターによって全てを洗い流してくれそうな清涼感がピックアップされた「シャツを洗えば」が気持ち良すぎます、心の洗浄…!
くるりver.で佐藤さんのボーカルパートの出番が多いこの曲。
表情は必死そうですが、聞き心地は爽やかな高音ボーカルを魅せる佐藤さん。
その声…眩しい!
心なしか明るい雰囲気に包まれはじめた会場に間髪入れずに差し込まれる岸田さんのギターリフが聞こえてきた瞬間、待ってました!とばかりの歓声に包まれるのは、ここにきてとうとう現れた「ライブの定番曲」=「Morning Paper」!!
原曲以上にテンポを落としてじっくりと聞かせるAメロから始まり、岸田さんによる曲が終わってしまいそうな緩やかなアルペジオをたっぷりと浴びた先に、無邪気なギターリフとともに暴れ出すサビのグルーヴ…!
とうとう抑えきれなくなったお客さんから、たくさんの手が挙がり始めます…!!
2番でも途中まで同様の展開ですが、間奏直前で静かにフェードアウトする演奏。
岸田さん
「(佐藤さんに向かって)門出ってしたことあります?」
いつ再開するか分からない曲に備えて(?)、石若さんによるハイハットとスネアによるリズムキープを交えつつ笑、同曲の歌詞に準えて突如始まるMCコーナーにより笑いに包まれる会場笑。
佐藤さん
「門出ですか…?
ああ、でもメジャーデビューが決まった時は、反抗期に入る前に一旦喜んどこうってなって、サークル棟の屋上に行ったりしましたよね?」
岸田さん
「ああ、そんなこともありましたね…。
皆さんは(客席に向かって)門出したいですか?
「世界中の夢背負う群れ」になりたいですか!?etc...」
曲の歌詞を延々と問いかけを続ける岸田さんの口調は心なしか力強さを増していき、その果てに唐突に再開する力強いギターリフにますます湧く場内…!
岸田さん
「ベース!佐藤征史…!」
原曲ではギターも大いに暴れる間奏パートですが、この日はギターはなし。
佐藤さんによるブリブリのベースソロを存分に堪能させていただける展開からラストのサビへ雪崩れこみ、最後にはピョンピョンと飛び跳ねつつステージ前面に出てきた松本さんによる魂のギターソロに大歓声!!!
間違いなく前半戦のハイライトになるほど、客席とステージのエネルギーが循環する時間でした…!
岸田さんによるメンバー紹介を挟み、中盤戦へ行く前に。
岸田さん
「…水飲んでもいいですか…?」
佐藤さん
「…飲んでください…!
皆さんも、ここはドリンキングタイムですからね。水分補給していただいて。
今日はお酒飲んでる方もいるんですかね?…ああ、いらっしゃいますね!」
岸田さん
「じゃあここからは、お酒を飲みながらでも気持ちよく聞ける曲を何曲か…「スロウダンス」。」
定番曲の後、少し会場がどよめいた再びのレア曲。
野崎さんによるアコーディオンの音色に、北海道小樽市から遠いヨーロッパの異国の地まで無条件で飛ばされるような感覚を覚えます。
少し落ち着いた雰囲気の中、アコギを奏で続ける岸田さんが歌い始めるのは、あまりに久しぶりすぎた「Baby I Love You」。
最後のサビでは、タイトルフレーズをステージ上の5人揃ってコーラスで歌うという光景に、バンドに対する愛おしさが溢れ出します…愛…!
愛おしくてたまらない気持ちでいっぱいになる中、岸田さんと松本さんが向き合い、岸田さんのカウントから奏でられるツインギターフレーズに、ライブハウス中の、私中の細胞に等しく陽の光を照らすような「愛の太陽」。
昨年救われすぎて、ライブで聞きたすぎただけに、小さく震える私の魂…!
そこはかとない 心の隙間
太陽が射してくるだろう
何も見えない 何も感じない
そんなことは未だないくせに
個人的な話ばかりで恐縮ですが、ちょっと前にコロナに罹って辛い時期が続いた後、初めてのライブだったこともあり、この選曲は相当暖かい光。
生き続ける中で、うんざりするほど感じる心を失わない私に、何度でも灯り続ける音楽の灯火。
この曲を聞けて、最後のコーラス部分を一緒に口ずさめただけでも宝物のような一日でしたが、この後続くのはそんな実感を時空の彼方に置き去りにしてしまうほどのディープゾーン。
原曲にはなかった、野崎さんによる宇宙との更新を試みるような鍵盤のフレーズが随所に差し込まれる「ARMY」から、真っ暗な音楽の宇宙空間へのご招待を受けた私。
全く陽の光が刺すことはない中、更なる暗闇の深淵で呼吸を続ける「永遠」へと、シームレスに繋がる選曲。
でも決して絶望的な状況というわけではなく、石若さんによる複雑かつリズミカルなドラミングと、佐藤さんによるスラップベースのグルーヴが展開されるだけでも、この空間はあまりにも心地良すぎます。
本当に終わらないんじゃないかと錯覚するほど淡々とした展開で延々と進行し続けるこの時間は、くるり初心者であれば気絶してもおかしくないと思いますが、この暗い音楽宇宙において、この音が「心地良い」と思っている私は、とっくの昔にくるりの音楽に心を絡め取られた者の1人。
岸田さんは、ただでさえどこに向かっているか分からなくなる音楽宇宙の中で、ピアニカや小さい笛を操り、更なる音楽的交信を続けていきます、一体どこへ向かう、小樽GOLD STONE…。
答えは出ないまま、文字通り永遠に終わらない気がした曲から、再びシームレスに展開される打ち込みのイントロに歓声が上がり、暗闇に一筋の光を模索し始めるダンスミュージックが「ワールズエンド・スーパーノヴァ」であるという完璧すぎる流れ…!
岸田さんが前曲で使用していたピアニカにより、メインのフレーズを奏でるという前曲から地続きとなるアレンジは、まさしく絶望の果てから希望に繋がる感覚を想起させるもの。
いつまでもこのままでいい
それは嘘 間違ってる
重なる夢 重ねる嘘
重なる愛 重なるリズム
いつまで聞いていても心地良いけど、いつまでも進化を続けることで、更なる音楽の景色を開拓し続けるくるりの歴史の一端を見るような時間。
終わった後の歓声や拍手はこの日一番の長さでした…!
そのまま岸田さんが再びエレキギターを構え、「和」一色なギターフレーズが聞こえてきましたが…これはまさか…「花の水鉄砲」…!?
直前までXのフォロワーさんとの話題に出ていた曲が演奏されるとは、選曲が予測不能なくるりのライブでは滅多にない奇跡…!
「あいあいあいあい…」と、カクカク食いしばりながらリズムを生み出すボーカルワークを見せる岸田さんに見惚れつつ、サビや間奏で何度も開花宣言するバンドのグルーヴが醸し出す情緒と品を味わい続けました。
終盤戦を前にMCタイム。
このライブの前の日は夏至(1年の中で、1日の昼の時間が1番長い日)だったということで、20年近く前に夏至の日に行われた北海道北見市でのライブの話に。
(その前に、「夏至(げし)」と「岸田繁(きしだしげる)が似ているのではないかという岸田さんの指摘から、「人の名前に濁点が入ってない方が音の流れが気持ちいい」みたいなMCのやり取りがあった気がしますがそこは割愛笑)
岸田さん
「すごいお客さんとの距離が近いとこで、目の前に女子校生みたいな子がおって。
今日は皆さんが全てご存知のヒット曲ばかりやってますけど(客席から(苦?)笑いと歓声)、当時のライブはマニアックな曲ばかりやってたら、その子、口をパカンと開けてて、ほんと申し訳ないなと思って笑
で、ライブ終わって夜遅くまで飲んで、したらその日は夏至で3時くらいには、空が明るかったんですよ。
北海道は緯度が高いこともあって、それも影響してたのかな。」
佐藤さん
「じゃあ、北海道いる間は早起きだったんじゃないですか?」
岸田さん
「いや、それは変わらない。」
佐藤さん
「そうですか笑」
岸田さん
「で、その後フィンランドに旅行行った時も、あそこは明るい時間が長くて、湖とか行った時に動物の鳴き声とかも聞こえない静かな時間があって。
ふと持ってたギターでGコードを鳴らしたら佐藤さんに「うるさい」って言われて笑」
佐藤さん
「いや「うるさい」とは言ってないですよ、きっと笑
でもきっと、たまに湖に石とかがぽちゃんと落ちる音が気持ちよくて、ギターの音は邪魔だったのかもしれませんね笑」
この付かず離れずな2人の距離感…たまりません笑
これだけメンバーチェンジが激しいバンド活動の中で、この2人の距離感と信頼関係が驚くほど揺るぎないものであることは、ライブを見るたびに変わりません。
岸田さん
「(ここまで)古い曲ばかりやったんで、新しい曲をやります。「朝顔」という曲を。」
同バンドの「ばらの花」を彷彿とさせる、リズムが淡々とループし続ける曲の中で、先ほど話題に挙がったような静かな朝の風景がゆっくりと顔を出していく様に、自然と想像が膨らんでいくような演奏。
音や展開は大きく変わることはないように聞こえても、その音の聞こえ方は、捉え方は、自分の中でゆっくりと変化し、芽吹いていくような自由な音楽の時間。
そのまま直近で新しいアルバムである「感覚は道標」から続けて「California coconuts」。
淡々とした演奏風景は変わりませんが、徐々に剥き出しになるロックンロールの本質たるグルーヴや音が、次第に生き生きと活力を増してくるのを肌で感じます。
おっ!
なんだか私…とってもワクワクしてきたぞ…!
そのワクワクを引き連れたまま「In Your Life」。
あの場所へ向かえば
あの場所へ向かえば
あの痺れるような出会いを
思い出せるかな
先ほど「50年ほど続けている気がする。」と言っていたバンドが鳴らすのは、まるで結成したてかのようにメキメキと産声を上げ続ける音。
これだけのキャリアがあっても、バンドで鳴らす音の楽しさをまだまだ思い出させてくれるなんて…!
深い音楽的な考察はできずとも、何だか楽しくなってきた感覚だけを確かな道標として、そのまま石若さんが刻み始めたドラムのフレーズで次の曲を察した瞬間、音の粒と幸福が溢れ出す「ロックンロール」…!
こちらも演奏自体は淡々としていしたが、最後の最後、過去のライブでも散々見てきた超ロングギターソロパートで、音楽で得られる幸せを何度も何度も上塗りする怒涛の展開…!
松本さんによるギターソロの豪快さはもちろんのこと、音が荒ぶり加速し続ける岸田さんのギターソロは、やればやるほど歓声と突き上がる拳の量が増え続ける至高の時間…!
そうやって音楽を楽しみきった最後にはとうとう、岸田さん満面の笑み…!
バンドをやってない、やったことがない自分にも分かりました…ああ…音楽って、バンドって、こんなに楽しいんですね…!!!
たくさんの歓声と拍手に包まれ、歓びに打ち震えた最高のセッションを経て、岸田さんから再度メンバー紹介。
そのまま岸田さん後方のスポットライトだけが照らし出されるステージで鳴らされ始めたのは「東京」。
2Aの歌い出しで少し詰まりながらも、その切実な音が鳴り止むことはありません。
終盤、岸田さんによる最後のフレーズは振り絞るようなロングトーン。
そこにメンバー総出による祈りのようなコーラスが重なるに連れて、ステージ後方の小さなスポットライトが、まるで真っ暗な街の街灯のように、ゆっくりと、確かに明度を上げて光る様に、微かでも、確かな光を感じずにはいられませんでした。
静かにお辞儀をしてステージを後にしたメンバー。
もう十分浴び切った気もしますが、まだまだ浴びれるならそれに越したことはありません…!
手拍子をしながら待っていると間もなく、グッズの入った買い物かごを持って再登場した佐藤さんは満面の笑み笑
淡々と現れた岸田さんが奏でる即興のピアニカのメロディに乗せられ、即興で歌いながら(歌わせられながら?笑)物販を紹介する愉快すぎるセッションが繰り広げられます笑
一段落したところで、「早く戻ってこい!」とばかりにステージ脇にちょいちょいと手招きする岸田さんの集合の合図と共に笑、再びステージに揃ったバンドメンバー。
岸田さん
「もうちょっとだけやらせてください。
いつも北海道のこの辺に来る時は、新千歳空港から電車で来るんですけど、今は全部銀色の車両になってますよね。
昔はちょっと赤っぽいというか、茶色の車両が走ってたんですよ。
その時のことを思い出すような曲です、「オールドタイマー」という曲を。」
…えーーーっ!!?
「オールドタイマー」って、あのマイオールドタイマーですか!?
無論、始まるのはストレートすぎるロックンロール、ライブハウス映えが過ぎるあの「オールドタイマー」ですって…!(何度でも何度でも繰り返すデジャヴ)
ここまで直情型のロックナンバーが鳴らされるのはこの日初だったこともあり、新鮮過ぎたゆえに私のオールドタイマーも再起動!
要するに、ついつい拳が挙がる…!!
岸田さんがジャキジャキに鋭くかき鳴らす渾身のギターストロークから、ロックンロールで生きるためのエネルギーが剥き出しになって溢れ出す様、しかと心に刻みけり。
今度はハンドマイクに持ち替える岸田さん。
松本さんによる艶っぽいギターが響けば、「待ってました!」とばかりの歓声と拍手…正直私も待ってました、「琥珀色の街、上海蟹の朝」…!
岸田さんのラップも、ダンサブルに揺れ惑うビートも、会場内で誰1人揃うことなく、ゆらゆらと踊ったり、軽く手を叩いたり、ふわりふわりと揺れ動くフロアの光景も、何もかもが心地良い音楽の景色…これをいつまでも噛み締めていたかった…!
岸田さん
「ギター、松本大樹!
ドラムス、石若駿!
キーボード、野崎泰弘!
ベース、佐藤征史!
ボーカル、岸田繁でお送りしました。
また会いましょう…!」
最後は、岸田さんの柔らかいギターストロークからゆったりと、でも確かに大きく羽を広げたおやかに飛び立つ絶対的名曲「潮風のアリア」。
闘う彼等は 足並み揃えて静かの海へ
どこ迄も 終わらぬ旅へ
長年のサポートメンバーで培ってきた力強さも、雄大さも,楽しさも、全て実感として握りしめたまま、何度も力強く飛び立っていく音。
最後の一音、静かな余韻が途切れるまで、拍手をグッと我慢するようなフロアと、音が途切れた瞬間の歓声と拍手…最後まで美しすぎた音楽の景色。
中央に揃ったメンバーによる丁寧なお辞儀と、ここまでの全ての音楽に、暖かい拍手が送られました。
ライブハウスを出ると、目の前に運河が広がる小樽の景色とちょっぴり涼しい風は、このライブの余韻に浸るにはちょっとできすぎているくらい美しいものでした。
直近リリースがなかったため、いつにも増して予測不能すぎるセトリと、新たなアレンジによる濃厚グルーヴに絡め取られること2時間強。
本人曰く「体感50年」のバンド活動で、あれだけ淡々と演奏していても、みるみるとその音だけで伝わる「バンドは、音楽は、楽しい」という事実を噛み締める今…私…とっても幸せです。
セットリスト
1.鹿児島おはら節
2.Hometown
3.リルレロ
4.コンバット•ダンス
5.麦茶
6.Natsuno
7.シャツを洗えば
8.Morning Paper
9.スロウダンス
10.Baby I Love You
11.愛の太陽
12.ARMY
13.永遠
14.ワールズエンド・スーパーノヴァ
15.花の水鉄砲
16.朝顔
17.California coconuts
18.In Your Life
19.ロックンロール
20.東京
アンコール
1.オールドタイマー
2.琥珀色の街、上海蟹の朝
3.潮風のアリア
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。