【ライブ感想文】THE BOYS&GIRLS「TOUR 2023 "FALL TIME BEST"」@札幌ペニーレーン24 2024.1.14(日)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はTHE BOYS&GIRLS(以下、ボイガル)のツアーファイナル、札幌公演のライブ感想文です。
およそ4年前。
「陽炎」という曲を、北海道の音楽番組で弾き語るシンゴさんを見たことがきっかけで知ったボイガル。
汗も涙も笑いも、全てありのまま飛ばしながらギターを掻きむしり、がむしゃらにしゃがれた声で真っ直ぐ激情を飛ばすシンゴさんの声、ストレートな歌詞とメロディ。
そして北海道で過ごしてきたからこそ、聞いている私の原体験と少なからず重なる景色。
何の疑いもなく熱くなれる正直さに溢れていたその音は、聞いた途端に好きになり、そこから初めてライブを見た、忘れらんねえよとの対バンで直にその熱量に触れたことで、その「好き」は確信を深めることになりました。
このライブ以降は中々都合が合わず、ライブも見れていなかった中、先日のハンブレッダーズとの対バンで久しぶりに見たライブは、今のバンドの熱量と状態がどれだけ漲っているかを叩きつける圧巻のライブだったことから、今回のワンマンは本当に心待ちにしていました。
元々この公演が予定されていたのは昨年11月でしたが、シンゴさん(ボーカル&ギター)の体調不良により延期に。
当初の日程はまたもや予定が合わず、行けない予定でしたが、延期となった日程は1月の日曜日、そして、チケットは残っている。
たまたまですが、とうとう私の都合が合致した今、この札幌の地で、フロム札幌の大好きなバンドを、目撃しないわけにはいきませんでした。
「今日は16時30分スタートで、今既に16時43分なんですけど。
開始直前になって、知り合いがたくさん楽屋挨拶に来て、前のドラムの金子智也は16時32分に来ました笑
でも、札幌ってこういう街だよな!?
北海道札幌市からTHE BOYS &GIRLS!」
開演早々、シンゴさんが登場するなり早口で説明した開演時間押しの理由に、心配していた人もいたであろう会場が、途端に和やかな空気に包まれた後、一曲目は早速懐かしの「24」でフロアは大沸騰…!!
主催ライブでボイガルを見るのは初めてでしたが、お客さんはサビで歌いまくり、手は上がりまくり、というのはライブでよく見る光景の一つですが、ふと全体を見渡してみると、とにかく会場が纏う空気は「暑い」というより「暖かい」…!
ワンマンならではのホーム感は当然あったかと思いますが、ステージに向ける眼差しも、熱量も、当の本人たちは暑苦しいほどの熱量を撒き散らしていますが、お客さんはとにかく暖かい…いや…本当にしつこいですが暖かいですね!ボイガルの現場!!
淡々とした日常で出会えた音楽を今日も掴むためにペニーレーンに来れたことを噛み締めて、ボイガルに「よろしくお願いします。」の意味を込めて、心の拳だけでなく、目に見える物理的な拳も掲げる時間が始まりました。
そのまま「ブリッジ」→ 「せーので歌うバラード」と、一歩たりとも寄り道してる暇がない直情型のロックナンバーが続く中、後者では歌う人だけでなく、とうとうサビでダイバーも発生…!
「転がせ!転がせ!」と、歌いながら、声や身振りでクラウドサーフを後押しするシンゴさんの優しさ。
ラスサビ前、一瞬の静寂からタイトルコールを歌う会場中の声が轟いた高揚感。
一瞬一瞬が爆発し続ける今日のペニーレーンは既にとんでもない夜です…!
メンバー紹介も挟みつつ、シンゴさんも既に手応えを感じている様子で、
「今日のライブハウス、なんかクラブみたい!
歌う人もいれば、手を叩く人もいて、自分の好きなフレーズの時にはしゃぐ人もいて!
良い感じです!」
何も言わずとも自由な楽しみ方が既に肯定されているライブハウスに、オレンジ色に光る照明は「国道恍惚線」。
この一本道が光り輝き続けるように、という願いを込めたシンゴさんの優しくも熱い歌はいつもながら、ミドルテンポのゆったりした曲でも、ドラムが刻むライドシンバルは激しく力強いのが印象的で、バンバン!と背中を叩いて鼓舞されているような気持ちになります…!
それでも上手いことばかりではない一本道。
原曲も相当早いですが、さらにテンポを上げて、ギターを弾きながらひっそりと溢すように歌い始めるのは「涙の車窓から」。
北海道の真冬の寒すぎる空の下を、快速列車が焦燥とともに駆け抜けていく光景がハッキリと見える、心の内側から爆発するような激しいサウンドに胸が苦しくなりますが、「走り続けなきゃ先に道はない」という覚悟を決めるような歌が、足を前に踏み出す力を与えてくれます。
不安でも、泣いてていも、焦燥を抱えたままでも、転がり続ける「ロックンロール」。
「14年やってても!いつまで経っても!ペニーレーンは埋まらない。
でもそれだけが価値じゃない、血の通った君との時間に意味がある!!!」
そんなようなことを間奏で叫んでいたシンゴさん。
ペニーレーンを埋めることは、ボイガルにとって大きな意味があることだと理解していましたが、それ以前に、道内のライブハウスやイベントを細かく回って培ってきた、目の前の音と人による濃密なコミュニケーションを伴うロックンロールのエネルギーは、この日もとてつもない密度で循環し続けていることを、ビリビリと肌で感じていました…!
シンゴさん
「そっち(フロア)は任せるんで、こっち(ステージ)は任せといてください!」
お客さんとバンドの信頼関係を確かめ合って血が身体中を巡るように心から熱いフロアを、「ライク・ア・ローリング・ソング」で、再び転がり始めた先に、タイトルコールから歓声が上がっていた「ハローグッバイサンキュー」
。
「音程なんて気にすんな!!
音程なんて気にすんな!!!
チューニングなんてどうでもいい!!」
終盤、このタイトルフレーズを、自分なりに表現してみてほしいという思いに溢れたシンゴさんの優しい叫びに、色とりどり豊かな挨拶が、あちこちからポンポンポン!と飛び出す愉快痛快なフロアは、まさしく「いい感じ」…!
この後、「ただの一日」→「メル」と、じっくり聞きながら、何となく明日以降の現実がふと頭をよぎって少し暗い気持ちになっていた(曲のせいというより私のせい)ところで、始まった「すべてはここから」。
「札幌なら歌えるだろ!?」
シンゴさんの呼びかけに、サビを見事な大合唱で返すお客さん…!
今この場所が、札幌が、ペニーレーンが、ライブハウスが、私たちの世界そのもので、その中心で、かけがえないものであることを抱きしめると、どんな現実が続いたとしても、またライブハウスに帰ってこれる現実があることは、むしろありがたくて仕方ありません…!
そんな決意を固めた先に続く曲が「札幌」とは…これ以上ない、この北海道で生きていくための流れだったように感じました。
ここでMCタイム。
「コロナ禍は、冗談抜きでビールしか飲んでいなかった。」というシンゴさんは、ツアー中にふと思い立って禁酒していたらしく、それを同じくお酒を嗜むギターの方に怒られた?笑とい のこと笑
最終的には、ツアーが延期になったことも踏まえ、ギターの方に1月まで禁酒を勧められたそうですが、結局11月中旬?には飲んでしまったというシンゴさんは、「絶好調です!笑」とのことなので、きっと大丈夫なんでしょう笑笑
「結成した当初に作って、歌詞もメロディもアレンジも全く変えていないです。
今日もそのままやります。」
「少年が歌うメロディー」の、自分の足で一歩一歩地面を踏みしめる感触を確かめるような、ずっしりとした重低音とグルーヴを受け止めます。
その後の「くだらない雨」と、「今日はこの曲を歌いに来た!」とシンゴさんが言っていた「フロム・ア・ナローボックス」は、どちらも初めて聞く曲(後者は新曲で、会場限定シングルに入っていました)。
特に後者では、サビで既にたくさんの手が上がったり、歌っている人がいた光景をみる限り、今日のお客さんは本当に長年、ボイガルのライブに足を運び続けている人が多いことを如実に感じました。
それで私のような数回しかライブを見たことがない人間が後ろめたさを感じるとかそういう話ではなく、今日初めに感じた「暖かさ」は、そういったファンの方が、シンゴさんに任された、託されたフロアの空気を作りだしていることが影響しているのかな…なんて思うと、愛され続けるバンドの一端を垣間見たようで、また嬉しくなるのでした。
この後、今年6月に札幌市内のライブハウスでのサーキットイベントを主催すること、その出演アーティストの発表など、会場から喜びやどよめきの声が上がりつつも、たっぷりとMCを挟んだシンゴさん。
「(長く話すぎて)冷えました冷えました!!
俺らの音楽を聴く場所はどんな場所でもいい!
YouTubeでもイヤホンでもなんでも。
でも最後にはこの!ライブハウスで出会ってほしいし、目指してほしい!
「その羅針盤」!!!」
サビでは原曲と異なり、サポートメンバーも含めて1フレーズずつ歌い繋いでいくこの曲。
メンバーが脱退し、1人になろうと、バンドが好きだし、バンドを辞める選択肢がなかったシンゴさんが、音と人を手繰り寄せて繋いだ先の今日、またライブハウスでこの近くにいる仲間一人一人とロックンロールができることが…どれだけ尊いか…!!
私もTVで見たボイガルをきっかけに、今日このライブハウスに辿り着いていることを思うと、何があっても、何度でも、また灯し続けて、ライブハウスでロックバンドに会うことを、音楽を楽しむことを目指したい!!
そんな純粋すぎる思いに駆られた私に、そのためのエネルギーを全速力で投下する「ボーイ」に、フロアも燃え上がります!
もっと早く、何かに踏み出せていたらという後悔をどこかにしっかりと携えながら、それでも今日!今!この時に!信じているロックンロールを、どこまでも追い続けていきたい…!!
ロックバンドが見せてくれるギラギラと無骨な景色は、私にはひどく輝いて見えて仕方ありません…!!
続く「階段に座って」までくると、先月のハンブレとの対バンの時は、ハンブレへの愛と悔しさに満ちたシリアスな印象で響いていたこの曲でも、今日のシンゴさんは、とにかく無邪気に楽しそうに飛び跳ね、歌を、叫びを、全身から解き放っている様子…!
いよいよ楽しすぎておかしくなってきたステージとフロアでしたが、ここで満を持して思い入れが強すぎる「陽炎」の出番とくれば、私の中の色々が暴発するのは時間の問題でした…!
たくさんのダイバーが出る中でも、少し冷静に「ちゃんと曲を聞いてやれよ!」とフロアに向かって言い放つシンゴさん。
それでも荒れ狂うフロアに、とうとう笑ってしまって途中に歌唱がブレる場面も。
…もう!とにかく!楽しいんですよね!熱いですよね!…音楽最高ですよね…!
一瞬で終わってしまった、儚くも美しく熱いライブハウスの光景は、間違いなくこの日最上級のハイライトでした…!!!
シンゴさん
「後100万曲です。
………嘘です。
もう疲れたから終わろう笑」
「俺たちの曲は、誰かに寄り添ったり、誰かのために書いたりするものではないけど、いつか俺らの曲が、一部でもワンフレーズでも、私のための歌だと思ってもらえるようになればいいと思う。
誰かにとっては、激しい歌がバラードに、バラードがファストソングになるはず。
声にならない想いも、音楽にできるはずと信じてこれからも歌っていく。」
エレキギターを弾きながら、そんなようなことを言っていたシンゴさん。
音楽にして届けようという熱さと真っ直ぐさを、こんなにも最短で、直線距離で受け取り続けたんです。
どう考えても、その言葉に嘘はありませんでした。
そのまま、声にならない想いを歌い続けるという新曲、「声にならねえな」を、ありったけの大きな声と演奏で聞かせてくれたボイガル。
「最後の曲です。ありがとうございました!」
最後に鳴り響くのは、初めてボイガルのライブを見た2年前と同じ、先月小樽見た時とも同じ、「パレードは続く」。
過去2回と圧倒的に違ったのは、最初から最後まで、シンゴさんのその表情。
ツアーファイナルを無事やり切った!という晴れやかで優しい表情にも、もうライブが終わってしまって何だか少し寂しそうな表情にも見えるシンゴさんは、丁寧に、楽しそうに、ガムシャラで熱い歌を聞かせてくれました。
そんなことを思いながら聞いていると、ラスサビのこのフレーズが、ストンと胸に落ちるような感覚がありました。
…そっか。
この曲を、ボイガルのロックを好きな理由って、聞いている時は1人になれて、けど独りじゃないってことが伝わってくるからか…!
どれだけライブが楽しくても、終わったらまた1人の人間としての人生が始まるけど、生きていればまた音源で、ライブハウスで、たくさんの音楽と仲間が待っているはず。
そう思うと、これからも続く1人きりのパレードも、自分のペースではあるけど、なんとか歩いていける気がする。
そんな想いを込めながら、最後までサビのタイトルフレーズを口ずさんでいました。
この後のアンコールでは、「帰りの支度しながら聞いてください。」というシンゴさんの言葉から、ほわわわーんと脱力しながら「今日のうた」を浴びていました。
最後にはステージを端から端まで歩いて、お客さんにも、頭上のスタッフさんや見に来ていたであろう仲間にも丁寧に視線を送りながら、何度もありがとうと言って、最後には「ロックンロール!」と言って去っていったシンゴさん。
北海道札幌市に、たくさんの優しさと淋しさに溢れた、声にならない想いを音に乗せ続ける最高のロックバンドがいること、私がボイガルを好きでいることに向き合えた、熱すぎる時間でした…!
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。
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