【ネタバレあり イベント感想文】佐々木亮介 from a flood of circle「インストアライブツアー2025 ~wild bunny sings at Tower Records~」@タワーレコード札幌PARCO店 2025.1.16(木)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はa flood of circle(以下、フラッド)が昨年発表したアルバムリリースを記念して行われた、佐々木亮介さん(Vo.&Gt.)による全国4箇所のタワーレコードを廻るインストアライブツアー@札幌のイベント感想文です。
(※この文章をあげている段階ではまだ来週のイベントが残っていますが、以下の文章では演奏曲にも言及していますので、来週のイベントに参加予定の方は、念のため閲覧注意でお願いいたします。)
近年のフラッドはCDリリースの度に、こうしたインストアイベントを何かしら行っていましたが、いずれも私が住むところとは距離が遠く、指をくわえて様子を妄想するばかりでした。が!
昨年終わり頃、ふと現れた知らせは、
①昨年の野音公演のブルーレイ発売
②昨年発売のアルバムに係る全国のタワーレコードインストアライブ&サイン会ツアー
であり、②はなんと札幌のタワレコも入ってるじゃありませんか!なんてこった!!
こりゃ流石に行くしかなかったので、対象のCD販売日の夜、仕事終わりにタワレコへDASH!整理券GET!緊張感MAX!(サイン会…)でも…TANOSIMI!!
感情のジェットコースターにゆらりゆらゆら揺さぶられながら、いよいよ迎えた当日。
私がタワレコに着いたのは入場開始の20分ほど前で、ちょうどイベントスペース横に伸びる階段での入場整列が始まろうとしていたところ。
優先観覧の入場券は既に配布終了しており、どうやら40人ほどが手にしている模様。
ということは、数字上は私、結構後ろの方かしら…?
なんて思いつつも、いざ入場すれば40人程度が入るスペースですから、どこで見ても至近距離。
よほどおっちょこちょいなスナイパーさんで無い限り1発で仕留められる距離で、ドキドキしながらその時を待ちます。
スタート数分前、最近新調したというか、必要に迫られ急いで買ったらしい(このイベント前のラジオの公開生放送でお話されてた)茶色の革ジャンを羽織った佐々木さんがふらっと登場、早々にアコギを構えます。
佐々木さん
「今日はプロ(音響さん)が来てるんで。
ちょっと音声チェックを。」
すると始まる曲はなんと「New Tribe」…!
私自身、まだフラッドのライブでは聞けたことのない曲で、いつか絶対に聞きたいリストの最上位に名を連ねていた曲…まさかここで初めて聞けるとは…!!
いわゆるリハーサルと言えども、全く手加減なしの歌と勇ましいカッティングでみるみる生まれ変わる勇気が湧いてきます…既に心のメーターが振り切れそう…!!
最後のサビ前、モニター(佐々木さん側に聞こえる自身の演奏の音)を切るよう、音響さんにお願いする佐々木さん。
もちろんこちらにはその違いは分かりませんが、「これでいきます。」とのことで、どうやらそれで大丈夫なご様子。
準備は整いました。
佐々木さん
「いらっしゃいませ。」
フラッドでの気合の入ったパーティ感よりも、まるで自分の家に遊びに来た友だちを迎えるような朗らかさを感じさせる挨拶を済ませると、マイクスタンドよりも前面に出てきた佐々木さんが、ご挨拶とばかりに軽快で鋭いアコギ捌きを披露し、1曲目は「WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース」。
2Aでは、ギターが鳴らないことや大停電の下でもロックンロールが鳴らせることをこの場で体現するように、ギターからパッと手を離し、その力強い歌力だけで耳をつんざいてきます。
佐々木さん
「紹介します、ギター俺!」
間奏でステージ前方に出て、ジャカジャカと鋭くギターソロをかき鳴らす様は、エレキギターで魅せる姿と寸分違わぬ頼もしさを放っていて、とてもアコースティックライブを聞きに来ているとは思えない熱量が既に充満…!
ステージ左右に設置された2台の細長いスピーカーが壊れそうな音の勢いに、早くも圧倒されっぱなしですが、この後第一声のMCでは、明日の仙台行きの飛行機が天候の関係で無事飛ぶのか心配している、人間、佐々木亮介氏。
佐々木さん
「ツアーで来ればいいのに、CD売るために歌いに来て、サインも書いて…嫌じゃないんですよ!なんか恥ずかしいっていうか…本気なんですけどね。
(お客さんを見ながら)ほとんど、(俺のこと)知ってる方ですよね?
佐々木亮介という者です。
知ってる体でやりますんで。
(少し間を置いて)
もし知らなくても、突き刺さるようにやりますんで。」
ブルージーで小気味のよいカッティングが始まったと思ったら、曲はまさかの「バードヘッドブルース」。
前髪を両手で開いた先に現れた鋭い眼光のまま放つ威嚇の咆哮と、脚をガンガンに踏み鳴らしながらリズムを取って弾き千切るギターフレーズで、鋭角に心を突き刺してくる佐々木さん…「鳥肌」とはまさしくこの曲、この瞬間にたてるために生まれた言葉…?
佐々木さん
「人生で恥ずかしかったことって、何個くらい思い付きますか?」
代々木公園でのフリーライブ開催時に募っていたクラウドファンディングのリターンとして、支援者のファンの方とカラオケに行ったことを、自身の恥ずかしかったエピソードとして笑いながら語る佐々木さん笑
佐々木さん
「(所属している会社が)カラオケ作ってる会社だから、「カラオケでしょ!」と思ったけど…。
俺がそのバンドのファンだったら、佐々木亮介のこと嫌いになってると思う笑
みんなもカラオケだと思って。」
佐々木さんの「エブリバディ!」コールに併せて、集まった人たちのシャラララとした歌声に溢れるのは「理由なき反抗(The Rebel Age)」で、その佐々木さんのフリこそが、「この曲なら歌えるでしょ?」という、この曲と、この曲を受け取る観客に対するある意味での信頼を感じさせてくれます。
最後のサビ前、「ざけんじゃねえ!」のシャウトに加えて、ギターを掻きむしりながら、
「ふざけんじゃねえええええ!!!!」と鬼のような形相で叫び散らかす佐々木さんに呼応するように、言葉にできずとも普段から実感のある「怒り」の感情が込み上げてきます…🔥
佐々木さん
「久しぶりにお酒飲まないでライブしてるから、何だか恥ずかしいですね笑
次もカラオケで、歌える人は。
カラオケが嫌いな人は、嫌いなままで。
あなたのままでいてください。」
私もあなたも好きにやろうという姿勢も、もちろんいつもと変わらず。
ステージ上手側に置いてある譜面台側にマイクスタンドを向けると、複雑なギターフレーズに集中する佐々木さんが歌い始めるのはまさかの「D E K O T O R A」…ってこれアコギでできるんですか!?
鋭いカッティングとクールな歌の節回しの完璧な同居に、まごう事なき弾き語り界の暴力を目の当たりにしながら、バンドver.とは異なる踊れるグルーヴを生み出していきます…!
原曲では静かに言い放って最後のサビに突入するフレーズは、これまた怒り心頭に発するとばかりに叫び放たれ、前曲からの流れもあってより攻撃性を感じる展開に…🔥
佐々木さん
「俺も歳とってきて、若い人には歩み寄っても嫌われるし、突き放しても嫌われることがあって、もうそういうものかって思って。」
散々怒り散らした後、ある意味で諦めにも似た気持ちすら感じられる「ひとさらい」の歌い出しは何だか気怠げに聞こえますが、それでも「お前は最高」と歌いたい佐々木さんの気持ちや声には、一点の曇りもありません。
ここで再び前に出てくる佐々木さん。
佐々木さんの弾き語りライブ現場では何度か演奏されている「Moon River」。
全編に渡りシャウトがなかろうと、マイクを通さずとも、十分に会場中に響き渡る声量で優しく歌い上げられた後、「ベイビーブルーの星を探して」のロマンチックなメロディが映える弾き語りへ。
こちらも優しいメロディの曲ですが、「生きてるだけ」というフレーズに佐々木さんが込めた血気迫る思いが、佐々木さん自身の歌うことに対する、私自身が佐々木さんの歌に生かされていることに対する思いを浮き彫りにしてくれるようなこの瞬間は、歌とメロディがダイレクトに伝わってくる、このライブならではの感覚だったように思います。
曲を終え、再びここからリスタートするようにじっくりと静かに始まった「伝説の夜を君と」は、またここから何かが始まる気配がするという意味で、この日聞いた中では1番、ギターと歌のみで聞くことがしっくりきて、するっと心に入り込んでくる感覚を覚えます。
そのまま再びマイクを通さず、じっくりと前を見渡しながら歌われ始めるのは「屋根の上のハレルヤ」。
この日再び、「エブリバディ!」と呼びかける佐々木さんに応えるように、大合唱になる客席フロア。
自分のやりたいことだけやるのは絶対前提条件の佐々木さんですが、この瞬間だけは、目の前の観客も信頼した上でこのライブを、曲を作り上げてくれているような気が勝手にして、勝手に嬉しくなっていました。
佐々木さんの歌であり、それを聞いて解釈した私の、私以外の誰かの歌であるから成立するのは、マイクもアンプも通さず、剥き出しでフロアに響き渡る、俺たち全員で歌う、俺たちの歌。
曲が終わってもギターを爪弾き続け、なぜ星に、なぜ月に手を伸ばし続けるのか、言葉を紡いでいく佐々木さん。
祝祭感すらある前曲のアウトロのコード感を美しく引き継ぐような「Honey Moon Song」という完璧すぎる流れで、イントロからノリノリの縦ノリを見せたり、「速すぎる流れ」という歌詞のフレーズに併せて高速のギターカッティングを突然取り入れたりと、グッとくるメロディに本気の遊び心を混ぜ込んで、絶好調の佐々木さん…!
最後のサビ前、「未来のことは 誰も知らない」のフレーズにおける「誰」の部分を、どこかの国の大統領や、色々なミュージシャンに置き換えて繰り返し歌う佐々木さん。
今の佐々木さんによる、この場限りのリアルな言葉から溢れる実感が今、この瞬間から未来に挑む勇気を与えてくれます…本当にありがたい…ありがたい!!
激しいカッティングが何度も見られたライブの中で、気付けばギターの5弦が切れてしまっています。
佐々木さん
「ちょっと弦切れちゃったんですけど次が最後にやる曲で、俺らがバンドを続ける上で勲章が必要になっちゃったから、武道館抑えなきゃと思って再来年には抽選に挑むんですけど、この曲の最初の一行は武道館で歌ったら気持ちいいなと思って。」
確かにその通り…!
一行歌い、ちょっとだけニコッと客席フロアを見るお茶目な佐々木さんは、そのままアカペラで「虫けらの詩」をフルコーラスで歌い上げます…!
最早マイク不要の声量と震えるようなシャウトから溢れ出すのは、これを続けるんだという意地と、これがやりたくて仕方ないという理由のいらないロックンロール。
佐々木さん
「まだちょっと先だけど、5月に札幌と旭川でライブやるんで、よろしくどうぞ。」
始まる前から分かりきっていたものの、弾き語りならではのしっとりと優しい音像はほぼ皆無。
アコギとその歌だけで、スピーカーから聴衆の心臓まで、完膚なきまでに「突き刺して」きたライブ…!
お茶目で真面目で本気なお人柄も含めて間近でたっぷりと…嗚呼…謝謝🙏
○おまけ(終演後、サイン会にて)
(ヘッダー画像のサインをいただいた後、)
私「ありがとうございます!
5月のライブ楽しみにしてます!」
佐々木さん「ありがとう。」
緊張しましたが、もぉぉ…十分でしょう!私!
100点満点あげちゃう!
革ジャン羽織ったロックスターのオーラバシバシ受け取ったので今世に悔いなし…いや5月のライブもその先も追いかけるパワーフル充填ですよ🔥
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。