【ネタバレあり ライブ感想文】Chilli Beans.「open my mind Hall Tour」@札幌市教育文化会館大ホール2024.10.31(木)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回は、Chilli Beans.(以下、チリビ)のホールライブツアー、札幌公演のライブ感想文です。
現在も開催中のツアーですが、以下の文章では演奏曲や演出に触れています。
ゆえに、これから参加される方は閲覧しないことを勧めつつ、私はこのまま気ままに筆を進めますので悪しからず。
それでは。
初めてライブで遭遇したのは昨年の9月。
その曲の良さとライブでの自由な雰囲気を体感したことで、昨年に出会ってから急上昇し続ける私のチリビ熱。
その熱に拍車をかけたのは、昨年末のアルバム発売を経て行われた日本武道館公演。
私はライブビューイングでの参加となりましたが、9月にライブを見た時よりもMC最小限で曲を連打するストイックな姿勢に加え、少し陰鬱としたアルバムの世界観に沿ったライブ構成であったにも関わらず、あまりにも幸福で、自由に音に乗り続けられる楽しいライブでしかなかったことは、楽しいを超えて衝撃すら感じられるものでした…!
このままこのバンドはどこまで行っちゃうんだ…!と、期待で心はパンパンに膨れ上がる一方でしたが、今年北海道で見れるチャンスは、武道館公演時に発表された10月末のワンマンのみ…くっー!!焦らされる!!
それでもその間に発表される振り幅ブンブンの新曲たちを楽しみながら、気付けばあっという間に訪れた当日。
久しぶりに3人の自由な音楽に浸るべく、久しぶりに教育文化会館にやってまいりました。
マイケルジャクソンの「スリラー」や、ディズニーのハロウィンの曲(サビで「This is halloween...」のフレーズがリフレインするやつ)が流れている辺り、この日の行事を少なからず意識せざるを得ない会場。
パッと周りを見渡す限り、開演前の時点では会場内で仮装している方は見受けられませんでしたが、チリビの音楽で心を開放して楽しみたい気持ちを持って、平日にも関わらずたくさんの方が集まる10月末日。
定刻を5分ほど廻ったところで会場が暗転すると、不穏な空気を感じさせるSEとともに白い光の柱が降り、ステージ後方には真っ白なスクリーンがするすると立ち上ります。
ステージから煙がもくもくと立ち込め始める中、不穏なSEは気付けば「Intro」に変わり、メンバーがステージに姿を現すもその姿はハッキリとは捉えられません。
SEの終わりとともに、お城ならぬ、札幌市教育文化会館大ホールに閉じ込められてしまった私。
そのままアルバムの流れ通り「Hello bad boy」が始まると顕になったメンバーの姿のうち、Motoさん(Vo.)とLilyさん(Gt.)は帽子を被っていますが、Lilyさんの帽子には動物の耳のようなものがくっ付いていてかわいらしっ(後に今日のライブを見に来ていたファンの方のプレゼントであることが明らかに)!
図らずもハロウィンを感じさせますが、後奏部で炸裂するライブアレンジのギターフレーズは、鬱屈した気持ちが確かに暴れ出すような熱を放っていて、音楽的方面でお祭り騒ぎになり始める私の心。
そのままYuumiさん(Dr.)のキックとスネアが力強く地面を鳴らし始めると、そんなギターの熱量がさらに循環していく「neck」へ。
後ろのスクリーンには目玉が×印模様の顔を形どったイラストが映し出され、その顔がくるくると回り始める中、サウンドが変わってもまだまだ密やかに透き通ったボーカルワークで魅せるMotoさんですが、長尺のアウトロでLilyさんのギターソロが火を噴く頃には、帽子を脱いで軽やかな戦闘態勢に移行…!
Maikaさん(Ba.)によるファンキーなスラップベースに歓声が上がる中、Motoさんが客席にマイクを向けると、力強い123コールから「See C Love」へ。
最初の2曲もでしたが、この日は序盤から何度も笑顔を見せて、晴れやかな歌を聞かせてくれるMotoさん。
数日前には体調を崩されていたようでしたが、その面での心配は全く感じさせない楽しげなステージング。
そして、水面に大きな波紋が広がるようなサビのアンサンブルは、真面目で潔い。
Cメロでは、序盤で鬱屈していた気持ちが、堪えきれず漏れ出してしまうように声を震わせるMotoさんに呼応して、こちらの拳にもグッと力が入ります…!
Motoさん
「こんにちは!チリビーンズです!
みんな元気ですか?
最後まで自由に楽しんでってくださいっ!」
Yuumiさんのドラムから軽快なセッションが始まると、そのコード感だけでイントロに入らずとも会場中が曲を察知する「rose」に入る頃には、自由に手を挙げたり、Bメロを一緒に大きな声で歌う人が増えてきて、一層多幸感に満ちていく会場…!
ここでMotoさんがギターを構え始めますが、どうやらイヤモニが絡まっているご様子。
修正の間を繋ぐのはMaikaさんのMC。
Maikaさん
「今日の(開演前の)BGM、特別ver.だったの気付きました?
ハロウィンの曲しか流してないの笑
ちなみに今日初めてチリビのライブ見る人!
(それなりに手が上がる)
あー!ありがとうございます!
じゃあ何回か見てるよって人!
(先ほどよりもたくさんの手が上がる)
あー!お世話になってますっ!」
相変わらず飄々とした陽気さのあるトーク力は流石の一言で、Motoさんのイヤモニもギターも準備万端。
先ほどスクリーンに映し出されていた顔は左下に移動し、右上に小悪魔のようなキャラクターが突如出現する中、「aaa」からライブを再開すると、この日の北海道の空気にも似たひんやりとした気持ちよさと気怠さを兼ね備えたアンサンブルがじんわりと広がっていきます。
左下の顔が何かにやられてる自分自身だとしたら、右上の小悪魔さんはそんな自分をいじめてくる何かなのでしょうか?
そう思うとうんざりしちゃいますが、「まぁ…そういう日もあるか…。」と、不思議と自分の感情として受容できてしまうような気怠さを、曲から感じ取る時間。
Motoさん
「「School」!!」
元気なタイトルコールから、橙色のような照明が放課後を思わせる「School」は、そんな気怠さを抱えたままでも、どこかはみ出して自分らしく生きる道はあると言ってくれているような開放的なグルーヴに満ちています。
そんな実感を、そっと背中に手を置いて後押ししてくれたのは次の「L.I.B」ですが、この曲のライブ化けが個人的な驚きポイント!
Yuumiさんが生み出す大らかなリズムと、じわ〜っと地面を揺らすLilyさんの豪快なギターリフで、ホール内で寝転がってごろり〜〜〜ん!とすることを厭わないくらいに、だらけ切って解放されるような心…!
最後のサビ前には、無邪気にステージを縦横無尽に動き回るMotoさんがMaikaさんの方をぐるっと向いて、楽しそうにジャンプしながらサビの歌唱に突入するという、圧倒的に安心できるホーム感に溢れるステージ…!
うんざりしてても、どこかだるくても、これさえあればなんか生きていけるかも、という感覚に身体が満たされていくようでした…!
そんな会場に鳴り響くのが「lemonade」であればその解放感は至高で、サビに入るとメンバーが踊るわけではなくても、手をひらひらさせて楽しむお客さんがたくさん…!
レモネード色の真っ黄色の照明に包まれるステージで、間奏のLilyさんによるギターソロが終わるとこの日1番の大歓声で、下を向きつつも笑顔が溢れ出してるLilyさんを見て笑うMotoさんという幸せ構図…!
そんなLilyさんのギターフレーズが先陣を切るように、エイトビートのギターロックの大主張大会となった「Mum」までで前半戦終了。
演奏を終えるとMotoさん以外のメンバーは静かにステージ袖に履けます。
ステージ中央に1人残ったMotoさんが、打ち込みのビートともに歌い始めたのは、「My life is saikooo」。
ピンク色の照明がMotoさんに当たる中、ステージ前を端から端まで動いて歌い回ります。
この曲に限らずですが、この日のライブでは全編に渡ってお客さんの顔をじっくり見ながら歌い、時にはリアクションを返す姿が印象的なMotoさんの姿からも、心を開いてお客さんとライブをしたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。
曲が終わりを迎える頃、他のメンバーも再びステージへ。
すると真っ赤な照明に包まれるステージに打ち鳴らされるのは、Maikaさんの豪快なベースライン、「This Way」。
「私は「さいこう」なんだから黙ってろ!!」と言わんばかりに、逆ギレ上等、攻撃性マシマシの太すぎるベースラインがいつも以上にガツガツと心に食い込んできます…!
気怠いばかりでなく、その奥で煮えたぎるような怒りのような感情も顕になりはじめたところで、曲が終わって少しの静寂に風穴を開けるのはまたしてもMaikaさん。
スクリーンにかわいらしい王冠の絵が映し出される中、演奏されるのは「105☻」で、真っ暗なホールで私の大好きな音楽の遊びは止まることを知りません…!
曲が進むに連れ、後ろのスクリーンが見えなくなるほどのスモークに包まれるステージは1曲目の状況を彷彿とさせるもので、再びこのライブから、ここで巻き起こる感情からは、まだまだ逃げられないことを肌で察知。
そのまま演奏自体は楽しげなのに、さらに深い怒りを湛えた「blue berry」へ。
間奏部、一瞬差し込まれるEDMパートで、Motoさんを始め客席中もジャンプの嵐になった後、Motoさんの豪快なシャウトから、悲痛な叫びのようなグルーヴから溢れ出すカタルシスは、昨年見たワンマンをずっと上回るもの。
どんなに「最低な気持ち」でも、心を殺して笑うしかないのか…違う…!
そうは言いつつも、今はそれしかできないような諦めを感じさせる曲の終わり。
樹海にいるような真緑の照明の中、そんな気持ちをさらなる深淵に追い込むような選曲は「doll」で、自分を殺すことのやるせなさとあまりの音の美しさに、立ち尽くして動けなくなるほど、音に絡め取られる感覚に。
すっかり疲れ果ててしまった心に、アルバムの曲順どおり「stressed」が流れ始めると、スクリーンにはポップな字体でsから順番に曲のタイトル名が浮かび上がります。
「もう疲れちゃったわ…。」という気怠さと憂鬱。
そんな気持ちを隠すこともなく、それでも浮かび上がる音があって、それはきっと自分の大好きな音で、それを表現する気持ちは誰にも止められない。
辛くも、どこかかわいらしくあろうとする芯を感じさせる歌と演奏の後、Motoさんのタイトルコールから始まるのは「アンドロン」で、歌い出しとともに歌詞に合わせて数字のハンドサインをかわいらしく出し続けるMotoさん。
気付けば後ろのスクリーンはなくなっていて、後ろの黒い幕に張り巡らされていた電飾が、Cメロの星座の歌詞に合わせて夜空の星のように光り出します…!
最後のサビでは歌詞通り、本当にエメラルド色の照明になるというロマンチックな演出。
切ない気はするけど、本当に潔くバイバイできそう…!
こうして何かとお別れした後、「そんなこともあったなぁ…」とぼぉーっと振り返るような休息感のある「wonderland」を挟み、歌い出しからMaikaさんに光の柱が降りていた「spark」までの流れ…!
怒り→諦め?→別れ→開放に繋がるような救いを感じる流れにハッとしつつ、中盤戦の締め括りがこれで良かったと胸を撫で下ろしながら、優しい音像に身を委ねるばかりでした。
中盤戦を終え、ここからMotoさんを中心としたロングMCに。
ライブ前、マネージャーさんと会場周辺を散歩したというMotoさん。
Motoさん
「空気も綺麗で、公園も…なんかちょっと馬鹿っぽいかもしれないけど笑…外国みたいで!すごい綺麗で!
北海道でも思い出ができました!」
ちなみに他の3人はその間、動画サイトで狩野英孝さんのゲーム実況動画に爆笑していたとのこと笑
思い思いの過ごし方を満喫されたようで何よりですが、このMCの時間は、お客さんにも心を開いてみんなと話したいという趣旨で長めに取られているとのことで、Motoさんが客席にマイクを向けつつ、無邪気に発言を促します。
お客さん
「後ろの映像かわいかったです!」
Motoさん
「ありがとうー!
あれは全部私が書いたんだけど、嬉しい!」
といったやり取りも微笑ましいコミュニケーションの時間になる中、前の会場では「愛」について語る時間があったという趣旨のMotoさんのMCを受け、今度は前方のお客さんから「生きること」について、というお題を振られるMotoさん。
ここからとても長い話になり、途中でMotoさんから「座ってもいいよ」という発言の後、お客さんがこぞって座り出し、果てはLilyさんやMaikaさんまでステージ上の床に座り出すという、Motoさんの講演会会場に様変わりするホール笑。
全てを詳細には思い出せませんが話としては、Motoさん自身は、「人に期待しちゃう性格だけど、そうはならないこともあって、昔は落ち込んでたけど、今は「そういうこともあるか。」くらいには思えるようになった。」ということ。
その後、同じ話題を振られたMaikaさんにとっての生きることは、「自分の機嫌を取り続けること」で、最近は編み物にハマっているとのこと。
編んだ物はMotoさんやLilyさんに喜んでいただけているようで、「自分の機嫌を取るためだけにやっていたことが、他の人にも喜んでもらえて嬉しい!」との話を受け、
Motoさん
「そっか!
そういう、自分の大切なものを、自分なりに大切にできていれば生きていけるってことだと思います。
…「生きること」についてでした!笑
はい!立って!笑」
色々あっても、その色々が全部自分そのもので、その中でも特に大事なものは自分なりに大切にしていきたい、なんてこのライブで実感していることそのものじゃないですかと心の首をブンブンと縦に振り続けていた最中、いよいよ終盤戦に突入するライブは、「Welcome」から!
色々自覚した上で、この音が大好きで、心踊り出したくなる自分を目いっぱい肯定しにかかるようなカラフルな音像と、天井のカラフルな照明に、再びライブが始まり出したようなワクワクに包まれるホール…!
「生きること」についての話の後だからこそ、サビのフレーズがいつも以上に鼓膜を突き抜けて心臓に届いた「Raise」。
自分の好きを掲げながら生きる覚悟と頼もしさを体現する、Motoさんのロングトーン。
最後の落ちサビに入る頃には、自分の意思で思わず口ずさんでいました。
終盤でメンバー3人が中央に集まってワチャワチャする展開は最早定番化していますが、いつもいつも新鮮で楽しそうな「Tremolo」。
この日はMotoさんだけそのワチャワチャ空間から途中でスッと抜け、MaikaさんとLilyさんによる即興セッションへ突入!
満面の笑みと音で語り合う景色からしか得られない高揚感…!
そのまま突入するのは、武道館のライブビューイングを見ていた時もびっくりしたレア曲、「Digital Persona」!!
ここでもやってくれるんですね!!
打ち込みの同期に真っ向勝負を挑むようなLilyさんのグルーヴィなギターの音像はとてつもなくかっこよく、曲の終盤ではここぞとばかりにステージ前方に出て、笑顔で弾き倒します!
Motoさんも、終盤になるに連れて筋力と跳躍力を増したボーカルで、サビでハイトーンが続くこの曲を力強く歌い、乗りこなしていく様は圧巻…!!
Motoさん
「後2曲!
ありがとうございました!!」
満を持しての「シェキララ」!
最後のサビ前、Motoさんの「Are you ready!?」のかけ声に、全力で応えること2回。
誰も見えやしない孤独でも、今ここで確かに鳴ってる音に高揚してる時間はかけがえなくて…本当に楽しいんだ…!
自分の大切なものは、やっぱり大切なんだ!
その実感と多幸感だけで、ここで生きる理由は十分でした。
多幸感そのままに、ひたすらに眩しくなっていた照明に負けない、キラキラとしたポップな音像で魅了してくれた「you n me」で大団円を迎えたところで終了…ですが、客席には前方の方を中心に、アンコールを求めるチリビコールが…!
ほどなくしてメンバーが現れると、何も言わずに静かにフェードインしてきた同期は「Vacance」…!
何度聞いても高速道路を駆け抜ける光というイメージがスッと入ってスッと抜けていく感覚にとらわれるかっこいい曲ですが、この日も一瞬。
演奏を終えるとYuumiさんは颯爽と去っていき、ステージに残るのはメンバー3人。
Motoさんはハンドマイク、Lilyさんはアコギ、Maikaさんはエレピ(違ったらすいません…)を構える様子ですが…なんとその前に。
Maikaさん
「今日はハロウィンなので…みんなにお菓子を配りたいと思います!」
なんとここで、東京で買ってきたというお菓子(10個前後)を、突然前方のお客さんにランダムで配り始めるサプライズ!
特にMaikaさんは客席まで降りて行ってサーっと上手側まで走って、お菓子を配るというアクティブ振り!
MotoさんやLilyさんもステージの端々へ歩いてお菓子を配っています…微笑ましっ!
Maikaさん
「ちょっとしかなくてごめん!
でも気持ちは全員に配ってるんで!」
思わぬサプライズに、ハロウィンまで堪能できた今日のライブ。
「言い残したことはないか?」と他のメンバーに聞くMaikaさんに対し、最初はなさそうな雰囲気でしたが、物販紹介を忘れかけていたらしく笑、袖でグッズを身に付けていたスタッフさんを呼び込み、Motoさんによる物販紹介へ。
物販を紹介しつつも、スタッフさんが最近染めたという髪の赤い色を「かわいい!」と言ってグッズ以上の熱量で喧伝するMotoさんに、恥ずかしくなるスタッフさんという構図があまりにも微笑ましかった中、最後は新曲をということで3人で「fu uh」。
優しいハミングの余韻が消えないまま、ステージを去っていく3人…でしたが、そそくさと引き返してくる3人。
大事なことをさらに忘れていたらしく笑、11/13に新曲が出ることを告知して、再度晴れやかな表情で退場。
時間にするとちょうど2時間のライブでしたが、披露されていたのは27曲という大ボリュームでびっくり!
昨年のアルバムにもあった鬱屈としたマインドも含めて、「色々あってこその人でしょ?」と言ってくれているような音、ステージをめいっぱい使った演出、2月のライブから一転した、緩くて真面目なロングMCまで、ふわっと、かわいく、かっこよく、誰にでも開かれたライブ…!
何だかんだで生きていけそうなマインドを獲得して、再び日常に戻っていくのでした。
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。