映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」を観たら結婚をしたくなりました。
※このnoteはネタバレを含みます。
結婚いいなあああ。
映画を観終わって心の中で叫びながら突っ伏した。
昔から結婚というものにすごくあこがれを抱いている。好きな女子と家族になる。もうアプローチのための作戦を緻密に立てずに済むし、駆け引きで疲れることもない。そこにいるのが当たり前になり、手作りのご飯を食べて、一緒に家事をやって、一緒に眠る。ちょっとしたことで笑いが起こり、ソファーに座りふたりでだらーんとする。特別なことがないのに幸せな空間。下手な恋愛よりもこっちの方がよっぽど幸せではないか。
真面目な話、人生を共に過ごす人なのだ。人生いろいろな苦難がある。そんなときに家に帰ると好きな人がいてご飯を作って待っていてくれる。それだけでどれほど人は救われるだろうか。時にぶつかっても話し合いながら、本心をぶつけ合いながら、理解しあって妥協しあって前を向きながら生活を営んでいく。そして年老いたとき「あんなこともあったねえ」と縁側に二人並んでお茶を飲みながら話して笑うのだ。
正直恋愛とかいいから結婚したい。そう思う僕にとって「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」は目の保養であり妄想の保養だった。金言のなる木だった。嫁あるいは恋人と見たい映画であった。
主人公は安田顕さん演じる加賀美じゅんと榮倉奈々さん演じる加賀美ちえ夫婦。ある日じゅんが仕事を終え家に帰ると、妻がリビングで血を吐いて死んでいた。慌てて救急車を呼ぶじゅん。すると死体だったはずのちえの眼がギラリと開き「ヴアアァ!!」とじゅんをめがけていきなり襲い掛かってきたのである――ちえは死んだふりをしていたのだ。
彼女の死んだふりはそれから毎日続き、ある時はワニに頭を食われて死に、またある時は名誉の戦死を遂げ、またある時は矢に貫かれて…
「何か言いたいことがあるなら言ってよ…」妻の突然の行動にじゅんは悩む。そうしながら夫婦生活を続けて、妻の死んだふりの理由を探す。そんな話である。
夫婦生活中の小さな幸福と痛みの描写、人物描写が見事で、悩みの解決のヒントになりそうな名言がたくさんあり、二周分鑑賞後の僕は今ちっちゃく笑顔をたたえながらこの文章を書いている。
素敵なセリフ、印象的だったセリフを備忘録的にまとめたので、noteですこし拡散したいと思う。
「人生は3つの坂で出来てるんです。上り坂、下り坂、ま・さ・か。何が起こるかわからないのが人生です。」(加賀美ちえ)
映画の前半で出てくるこの言葉。物語後半ではもう少し重要な意味を含んで出てくる。
備えあれば患いなし。僕としては人生の下り坂とまさかの備えとして、愛しい女性と早く結婚したいところ。一緒なら何とか楽しく乗り越えられそうな感じがする。
「どうしてもホームランに届かないんだよね。頑張ってるんだけどな。」(佐野由美子)
物語の中でじゅんの同僚の佐野壮馬(大谷亮平さん)が夫婦同氏でご飯に誘う場面があり、その時に意気投合したちえと由美子(野々すみ花さん)は後日バッティングセンターに遊びに行く。その場面での一言。理想的な夫婦生活に届かせたいと思いながら一生懸命生活をしているが、どうにもうまく理想通りにいかない。そんな小さい苦しみが垣間見える一言。
「ちえさん、加賀美さん最近疲れてるよ。男はさ、家の外に7人の敵がいるって言うじゃん。何も考えずにグターッってしたいと思うんだよね、家の中では。そういう男の気持ち、わかってよ。」(佐野壮馬)
うん凄くわかる。俺もグターッってしたい。でも違うんだよ、人の嫁さんに言うべき言葉じゃないんだよ…!
男ってこんな感じだよなあという共感と、佐野への「違うだろ」感で頭の中がキュッとねじられた感じがした。ちなみにこの後壮馬と由美子の間で一悶着あるが、それはまた別のお話。
「そんなに頑張らなくていいんですよ。夫婦は毎日一緒にいるから、そんなに頑張れないんです。」(加賀美ちえ)
そうそうそうそうこれだから夫婦にすごく憧れるの!なんて書くと「お前頑張らないために恋人すっ飛ばして嫁が欲しいって言ってんのかよ」ってツッコミが入ると思うんだけどそうじゃなくて、お互いに静かに気を使いあいながら寄っかかりあって、互いにとって安心できる場所を作るのに大事なことだと思うのよ「頑張らない」って。いやめっちゃ頑張ってたら破綻するもん。「頑張れない」前提で夫婦関係やっていければ相当安心感の凄い夫婦になれると思う。そういう夫婦に憧れる。
「どんな不格好でもいいのよ。でこぼこした道進んでいくんだから、きれいな丸にはならねえら、夫婦ってのはさあ。」(進一)
ちえの父の言葉。きれいな丸にならない。もう好き。不完全な人間の営みって感じがほんとに好き。
といった具合に輝く言葉たちがたくさんそこにはあった。他にも生死にかかわること、愛の話とか、いろいろな要素が詰め込まれ、重いけど幸せな映像空間がそこにあった。
夫婦生活って別に美しいわけではない。夫への文句も出るだろうし、妻への文句も出るだろう。嫌だけれど喧嘩も対立もすれ違いも夫婦を形作る要素だ。でも、そばに好きな人がいるだけで世界は全然違うと思う。それは恋人や友達のようにいつほどけるかわからない関係性よりも安心感があり、恋人や友達のような一緒にいる心地よさも十分にある。なんて素敵なんだろう。
酸いも甘いも苦いも辛いも美味いも、すべてをふわっと包み込む強い結束。結婚。
僕はいますごく結婚したいのだ。
ちなみに今僕には一年以上彼女がおらず、コロナで大学の用事もないので、一人暮らしの自宅に閉じこもって薄暗い部屋の中で映画見たり録画を消費したりにゃんこ大戦争をやったりする日々である。
そんな日々の中で書いた文章だという前提でもう一回読んでみたら、そこそこ笑えると思うハハハ。
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