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貴方への憧れ


自分ではない誰かを疎み、
自分ではない何かに囚われる
自分ではない誰かを凝視し、
また自分ではない何かに移ろう

目まぐるしいことと
忙しいことを混同し、
前者は意識の問題、
後者はフィジカルの問題だと
セパレートできない

10年前の自分なら
貴方を羨むことなんてなかった
1年前だってそう
心に張り付いた劣等感が、
粘着性を増して私を木造の壁に貼り付ける
夏は湿気がカビを呼んで背中を腐食し、
冬はその傷口を赤く切り裂いていく
 
貴方は苦労しているはずよね?
生まれも育ちも現在も、
はたまたこれからも
その挙動、
その手の動き、
その曲がった首、
不安そうな目、、、
何一つ優った感触を知らないでしょう
でも私はそれを教えることができない
私は貴方ではないし、
貴方は貴方以外にはなれないから

でも不思議
私はできることなら、
貴方を経験してみたいと思う
今ならそのまま
貴方の人生を走ってもいいとさえ思う
本当よ?
お世辞なんかじゃない
だって貴方、
お世辞に当てはまる物なんて
何一つ持っていないじゃない
でも不思議
私はできることなら、
これからしばらく
貴方であってみたいと思う
 
それはきっと、
貴方でなくともいいのだと思う
私の呼吸を妨げている何か
それさえ取り払われれば
誰だっていいのだ
私の気道に詰まっている
硬化したヘドロさえ取り除かれればいいのだ
そんな業者を知らないかしら?
そんなサービスを始めたベンチャーだっていい
 
今は喫茶店の表に吊るされている
少しばかりのイルミネーションが
明るい曇空に向かって
必死に点と滅を繰り返している
 
ねぇ、
私は私のままであっていいのかしら?
貴方ならそれを知っている気がする
愛とか慈しみとか、
余計なものは介在させなくていい
そんな物がなくたって、
鳥は鳴き、
テープレコーダーは
あの日の曲を回すんだもの

今のところサポートは考えていませんが、もしあった場合は、次の出版等、創作資金といったところでしょうか、、、