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ウォームビズは何故大失敗したか5
ウォームビズが大失敗したのは何故か、もう少しだけ続きを述べます。
前回までで、フランス型の徹底が為されていないこと、と結論づけたので、もういいか、と思ったのですが、日本独自の原因がありました。
ウォームシェアを中心に述べていきます。
感染症対策とウォームシェア
ウォームビズの大失敗は、その日本独自の原因の1つとして、ウォームシェアがあります。
ウォームシェアとは、暖かい部屋に家族や仲間が集まって、暖房をシェアすること。
家族、鍋、ホームパーティで家庭でのシェアを、公共施設等、スポーツ、銭湯、飲食店等でまちでのシェアを、というのが環境省の啓発でした。
ウォームシェアが大失敗したのは、直接の原因としては、感染症対策です。
コロナは当時、未知の感染症でした。
三密を避けろ、という官民挙げての感染症対策のもと、暖房に限り密集でも構わないという理屈はありません。ウォームシェアは下火にならざるを得なかったのです。
ウォームシェアは、空間の共有そのもので、良しとされるわけが無かったです。
※インフルエンザやオミクロンなどの対策として、現在も空間の共有を減少させるのは有効です。
実際に、環境省によるウォームビズの呼びかけは、令和3年を最後に終わっています。
コロナの真っ最中でしたから、官僚も無理があると思っていたのではないですかね。
ウォームシェアと世帯の変化
ただ、コロナが無くてもウォームシェアは大失敗確定であったと思っています。
その原因の1つが、風呂と料理。
お湯が冷める前に家族全員で暖まろう、
入浴後は家族で居間にいよう、
鍋を囲むなど暖かい料理で内側から暖めよう、
こういった環境省の啓発には無理がありました。
霞ヶ関の想定する標準世帯モデルが減少しているからです。
標準世帯モデルとは、夫婦と子ども2人からなる、4人家族の育児世帯のこと。
単身世帯の増加、未婚率の増加、出生率の減少、その全てが標準世帯の減少に繋がっています。
また、標準世帯であろうと、昭和型標準世帯から変化しています。
標準世帯の共働き率の増加、習い事産業の進展、受験産業の加熱など、4人家族が同時に食事できる世帯は減少の一途です。
世帯構成がそもそも変化していること、そして、標準世帯であろうとも中身が変化していること、この2つによって、昭和型の風呂、居間、鍋などが広まるわけがありませんでした。
そもそも事例がビズじゃない
そういった大失敗確定のウォームシェアですが、まず、ビズじゃないです。
衣食住で事例が挙げられていますが、ビズがほぼありません。機能性素材のインナーや毛足の長いスリッパを職場にも、とあるだけで、大半は帰宅してからのことです。
入浴法、何々湯(柚子湯、生姜湯、大根湯)、足湯、お風呂上がりのタオル、スリッパなど。
それビズですか、が大半なのです。
クールビズの時には、カジュアルになりすぎないと何度も何度も念押しされているビズ要素ですが、ウォームビズはビズ要素が激減するのです。
所詮は政治家の思いつきでしかなかった、ということが啓発に占めるビズ要素の割合からも明らかであると思います。
リンク
環境省による令和3年度のウォームビズはこちらになります。
令和4年度と令和5年度はありません。