空気【エッセイ】一六〇〇字
過日書いた「罪【エッセイ】六〇〇字」の(おまけ)で、訪問して頂いたnoter仲間さんに以下の質問をしました。
むろん、正解はありません。
私の友人と、こんな話になったのです。あなたなら、どう思いますか?
※
学生時代からの友人AとBと、Cの4人で呑んでいたときの話である。
A「ボクの友達でZという奴がいてサ。奴は、38階建てのタワマンの18階に住んでいるんだけどサ。そのフロアは、高層階と低層階のエレベーターの繋ぎ階なんだよ。低層階のひとが高層階のママ友のとこに行くとか、その逆とか、いちいち1階まで行かなくてもいいようにサ」
私&B&C「うん。あるある」
A「1階からは、いつもは低層階のを使うんだけど、高層階を使うときもあるらしい。低層階のを待つ人が多いときとかサ。すると、一人だけ乗るならいいんだけどサ、高層階のひとと一緒になることもある。で、18階で降りるとき、なんか嫌な雰囲気を背中に感じるようなんだ」
B「なんで?」
A「低層階なんだから専用を使ってよ、みたいなサ」
B「いいじゃん。混んでいたんだから」
C「ああ、そんな空気ね。高層階の奴らの『心の狭い優越感』。裏返したら、そのZの『無駄な劣等感』、『妙な気遣い』。そんなことを思う奴が住むマンションには、オレは住みたくないね。ああ、嫌だねいやだいやだ」
A「あとサ。出勤時にサ、同じ18階に住むひとと一緒になったときサ。低層だけでなく高層も押すひとがいるらしいんだ。Zはサ、“気にしい”だからサ、高層階が先に来ても乗らないらしい。ドアが開いた時、上からのひとが乗っているとサ、嫌そうな空気を感じるらしいのサ。両方を押したひとは平気で乗っていくらしいけどサ。」
B「そりゃあ、気にしすぎ、Zの。相手はそんなこと思っていないって」
C「いや、あるかもよ。18階は素通りすると思っていたのに、止まってしまったと感じる心の狭い奴」
A「あとサ。低層階と高層階の両方を押しちゃうと、低層階が先に来たら二人とも乗っちゃうでしょ。もし、上層階のひとが降りてきて、18階でドアが開いても、乗る人がいないということにもなるでしょ。迷惑でしょ。それと、18階に向かって両方のエレベーターが動くのだから、無駄になるよ」
C「う~ん。めんどくせえな、タワマンって。オレも、両方を押しちゃうけどな。18階の住人の特権でしょ」
私「あの、C。オマエね、オレと一緒に受けた運転免許の筆記試験のとき、『光化学スモッグ注意報が発令中に、運転するか』の問題で、“運転する”に〇をしたよな。で、他もそんな調子で回答して、落ちたよな、オマエ。オマエの常識は、非常識なんだよ」
C「あちゃ。だって、運転するしょ。車を使う必要があったらよ~」
こんなことを気にして生活しなければならないなんて。「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」でしょ。思いやりをもって生きたいよね。ZやAが神経質、変に空気を読みすぎる性格なのかもしれないが、そんな空気を読まなければならないような世知辛い世の中になってしまったのかもしれない。
「空気」を読むことが必要なときもあるかもしれない。しかし、「空気を読んでも、従うな」でいきたいものだ、と思うのである。
そこで、Zに言いたい。「上層階のひとと一緒になったとしても、『すみません』なんて言うなよ。『ハ~イ!』と、言うことにしよう。和みますよ」と。