たしなみⅡ【エッセイ】六〇〇字
早稲田EC「エッセイ教室」秋講座。最初の課題は、「たしなみ」(六〇〇字)。その「たしなむ」は、「好んで親しむ。愛好する」という意味と、「つつしむ」なんていう、私にとっては相反する意味があります。💦 (前回に続き、二本目の作です。サテ、どちらを提出したか)
※
「お酒、どの位飲みます?」と訊かれれば、「え! ええ、ほどほどに。三本ほど…」と、酒を覚えてから半世紀余り、そう答えてきた。
酒好きで知られるカントは、「酩酊状態の人間は動物だが、この堕落は魅力に富み、幸福の幻想をもたらす」と宣い、その魅力についつい誘惑されがちになりながらも、節度を保ち、毎日嗜んでいたらしい(『哲学者の食卓』)。
が私は、昔から酒に限らず何事も、見境つかずの人種だったようだ(五十代までは)。
ゴルフは普通は十八ホールを回れば、常人はそれで終わりなのだけど、「もうハーフやりましょう!」だったし、麻雀もそう。「あと半荘」「あと半荘」と、気づいたら朝だった。
食は、さらに限度を超える。知人の「稲荷寿司パーティ」なるものにお呼ばれされた時、大振りの代物を二十個ほど、平らげた。回転寿司でも、二十皿。何れも酒を呑みながら。呑むと、並外れた食欲がわき出てしまうので、あった。
さすがに還暦を過ぎると体力が落ち、十八ホールで十分だし、「麻雀のマ」も言わなくなった。胃も小さくなり、寿司も五皿ほどに。
が、酒だけは別物で、水分な故に胃袋も素通りするようだ。とは言え、γーGTPも気になる。そろそろ、カント先生のようにセーブせねばと、思ってはいる。「ええ、嗜む程度に。三本ほど」までは変わりない。が、大徳利から、せめて、並みのお銚子にせにゃねぇ…。
(御口直し)
ワタクシには、このようなエッセイが書けない・・・💦 四七八字のいいお話でした。
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