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手探り【エッセイ】八〇〇字(本文)

TOP画像:高田馬場経済新聞から

 朝日カルチャーセンター「エッセイ講座」の11月の課題,「手探り」。辞書には、「見えない所にあるものを手先の感触で探り求めること」とあります。さて・・・。これまでの人生自体が「手探り」だったので、書き始めたら長編小説並みになります。(笑 そして、暗くなってしまう。そこで、視点を変えて、女性。積極的なイメージの菊地さん。ですが、実は異性に関しては消極的、奥手でありました。そんな話であります。
 昨日、口腔外科での細胞検査の結果がでました。「悪性ではない」と言われ、とりあえずホっ! 「バケット・リスト」を急がなくても良さそうです。残りは、頚椎の歪みからくる左下肢と左上腕部の痛み。徐々に改善しつつあるので、だましだまし、「手探り」しながら付き合っていかなければならないのかな。加齢と言われれば、納得せざるを得ませんし・・・。
            ※
 積極人間のほうと思うが、異性には、からきしだらしがない。極めて奥手のようだ。
 憧れの東京の大学も、紆余曲折があり3年遅れ。が、大学紛争で、ロックアウトやバリケードで休講が多く、2か月後に、大学近くのハンバーガー店でバイトを始めた。100席以上の学生街の喫茶店という雰囲気の店。授業の合間にローテーションで、50名位働いていた。1か月後には、早々にリーダーとなり、誘導係に(仕事ではすぐに結果を出す)。
 最初の夏休みを終え、店に戻ると、新入りの子が気になった。教育学部の野瀬喜美子だった。高校時代にバスケ部で、機敏。すぐにサブにし、接近を試みる。そこまでは積極的なのだ。しかし、話す内容と言えば、仕事の事ばかり・・・。
 素敵な笑顔を見せてくれるので、好意をもってくれているとは感じていた。が、東京の国立付属高校の出身。だが、教育学部。きっと遊び慣れているだろなと、なかなか気持ちを伝えられない。
 その後も、何度か、背後に視線を感じ、振り返ると、不自然に視線をずらす。「ゲット!」と、心の中で叫ぶのだが、田舎育ちの臆病さが邪魔し、日が経ってしまった。
 2か月経った大学祭前のある日。バイト仲間の2歳年下の男、田中を挟み、カウンターで昼食をとっていたとき、「喜美ちゃん、最近元気ないね。どうしたの? 今度遊びに行こうよ」と、言いやがる。すると、「マーちゃん(私の事)に振られたの」と、おっしゃるではないか。「やっぱり、ゲット!」と、心の中でガッツポーズ。“自信が確信に変わり”、大学祭をきっかけに、やっと、告白できたのだった。
 2年後に野瀬に別れを告げられ、2か月後から付き合うことになる子も、その子の一言がきっかけだった。やはり、異性には極めて消極的、奥手であり続けた。女とは摩訶不思議なり。トホホ・・・。

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