噴水【エッセイ】
広島に用があり、三年ぶりに新幹線に乗った。急いて家を出たせいか、東京駅を出てすぐに催してきた。ウォシュレットはないだろしなと躊躇したが、緊急事態だったのでドアを開ける。すると、ボタンがあるではないか。
自宅の「温水洗浄化」は、十年前。かなり遅いほう。(半世紀以上の習慣で)「ノン温水洗浄」でも気にならなかった。が、以来、その装置なしでは、落ち着かない。そんなヤワな体になってしまったのだ(水不足で苦しむ国もあるのに申しわけない・・・)。だから、装置のない場所(山とか、ひなびた田舎とか、海外とか)に行くのは一大決心が、いる。
その海外。五つ星ホテルであっても、その装置に出会うことはまれだ。日系でなければ、ほとんどない。だから、用足しの後、シャワーで洗浄するはめになる。
今春、(意を決して)NYに行った。当然、日系に宿泊する。が、街なかには、装置はもちろん、トイレ自体に困る(スタバで貸してくれることもあるらしいが、ないことも)。地下鉄の駅でも、かなり限られている。防犯上の理由からだそうだ。思った。ニューヨーカーは、きっと便秘の人が多いだろうな、と。
ちなみに、帰りの新幹線では、なかった。調べてみると、十四年から温水洗浄式に切り替えているようで、数年後に完了するらしい。
もう少しで新幹線でも落ち着いて、できる。