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言いなおし【エッセイ】

 昔むかし。ファミリーレストラン花盛りのころ。セットメニューを注文するとき、「“ごはん”大盛にしてください」と言うと、店員が「“ライス”大盛ですね」と言いなおすことが多かった。「はい。ごはんですね」と言えばいいじゃん、と思ったりした。さすが最近は「ライス」と頼むけども。こんなこともあった。喫茶店で。「すみませんが“おしぼり”いただけますか?」と言うと、店員が「“お手ふき”ですね」と言うことが。洋服を買うときに、「その“シマ柄”のセーター、見せて」と言うと、「この“ボーダー柄”ですね」と言われ、たり。言い直す必要があるの? と思ってしまう。
 納得できることもある。百貨店のファッション・フロアで、「“便所”はどこ?」と聞くと、「この先突き当り左手でございます」と答える。「“便所”は、この先突き当り左手でございます」と答えたら、抱腹絶倒だろうね。
 糸井重里の『言いまつがい』並の話だけど。「生姜焼き定食」と書いてあるのをみて、大きな声で「めかけやきていしょく!」と注文され、店員は言い直さずに、黙って「生姜焼き定食」を持ってきたら、エライよね。こういうひとは出世するね、きっと。中華屋で、天津丼を「テンツ丼一つ」と注文して、店員に「テンシン丼一つですね」と訂正されてしまうのは赤っ恥だけど、まさか、そのまま「テンツ」というのも客をバカにしているようで、まずいよね。
 先日、“さすが! ”と思うことがあった。某有名百貨店で案内係に、「1階に、(メガネのブランドでフォーナインズのことを)スリーナインズがあったはずなのだけど、撤退したのですか? 」と聞いてしまったのだけど、そのひとは「9階に移動しました」とだけ答えた。教育ができているね(売り場に着いて、ロゴを見て赤面したけども)。

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