風 Ⅱ【エッセイ】二〇〇〇字(本文)
遺骨の処分をどうするか。
その後、熟考に熟考を、さらに熟慮を重ね、ある結論に至った。
3週前、『風』というタイトルで、「墓」問題に触れた。
まず、マイゴルフコースの「赤ティ計画」は、断念した。女性が使う赤ティの下に粉砕した骨を撒いてほしいという企みだったわけだが、コースのマネジャーさんの「公序良俗に反します」というご指摘には抗えない。
では、墓か。
守ってくれる親族が近くにいるなり、ご奇特なお友だちがいるなら、ゴルフボールを模した小さな墓でも、とは考えた。が、やはり墓の敷地不足という世相を鑑みると、ご迷惑になる。そして、お寺さんだって経営難なご時世。永代供養を望むなんて、無理がある。
そこで、考えたのが、出身大学近辺での樹木葬か散骨。紆余曲折あり3年遅れで入った故、それだけに想い入れがある。それと、人生を振り返るに一番想い出が深い(良い意味でも、悪い意味でも)時代であり、エリアである。
その時代のことは、下記の3作で述べている(読むの面倒だろうけどね、一応)。
樹木葬とするなら、その周辺のいくつかの寺がやっているようだ。
『神田川』風情で3年余り、2人の彼女さんと相次いで暮した(同棲ではないけど)、想い出の地、南早稲田(「神田川」沿いではないけど)。その近くにもある。自宅にもほど近い。敷地内には松井須磨子の墓があるそうだ。正面に「草間彌生美術館」もある。しかし、東西線の地下鉄の駅から、1,000歩の地点。ただでも足が遠のくのに交通の便が良くないと、よほどの集客方法を考えない限り来ていただけないだろう。
やはり駅の近くに。不良学生ながらも4年で出所させていただいた文学部がある、その一帯ということになるか。
大学紛争で荒れたキャンパスだったが、その分、付近での想い出が濃い。となると、馬場下界隈が良いかもれない。
「一陽来復」の御守が目的で穴八幡宮に来たついでにでも、学生時代を懐かしんで、「菊地が眠っている(「宇宙の塵芥」だから、んなことないけど)“樹木”にでも寄ってみるか」と、思ってくれればいい。
法学部8号館の教室から斜め下に見える位置に、樹木葬を営む寺がある。法学部出身には推しではないか。でなくても、キャンパスの女子学生の若々しい声が聞こえる場所で眠れるならいいかも(ん? うるさくて寝れねえ? 確かに💦)
おっと忘れちゃいけねえ、われら「エッセイ教室」の29号館の近くでもある。仲間にはお年頃が多く、とても現実的なテーマである。師匠も我と同年代。どちらが先か、順番の問題。しかし、一緒になれば、草葉の陰でも難しい「お題」に悶絶することになる。それは、ちょっとなあ・・・悩む。💦
宝泉寺 庭園型樹木葬「瑠璃の光」
合祀タイプ
参考価格:16.5万円(税込)/ 年間管理費:0円
個別タイプ
参考価格:77万円(税込)~/ 年間管理費:8,000円
散骨との合わせ技というのもいいかもしれない。残ったひとたちのニーズに合わせて、「墓に入れって? ああ、いいよ」「そのかわり、残りの半分は好きにさせてね。分骨分は、散骨がいいかなあ・・・」ということも、アリかも。
例えば、ご学友(?)たちと議論を交わした(というより盃を交わした)箱根山(という小高い丘がある)もいいし、人生初の(ちゃんとした)接吻を経験した穴八幡の小公園とかも(かなりの晩生であったのだ💦)。
ちなみに、
散骨を規制する法律はなく、きちんと粉骨し節度をもって行えば基本的にどこでも散骨は可能のようだ(「赤ティの下」とか、他人の庭とか迷惑をかけるような場所以外は)。
この界隈の散骨なら、馬場下にあった「学生街の喫茶店」でバイトした仲間たちは、想い入れがあるだろうから、声をかけるのもアリかも。分骨だっていいわけだし。特にその店は、いまはみずほ銀行になっているだけにひとしおだろう。
何人かが集まれば、宴会もできる。できれば、その店でバイトした元カノさんにも加わっていただければ、天国に登る思いになる。
ということで、
熟考に熟考を、さらに熟慮を重ねた結果、想い出の地辺りの樹木葬か、箱根山、穴八幡宮の小公園に、わが粉末を風のように吹き飛ばしてもらい、「宇宙の塵芥」になるが良いのかな、と思うに至ったのである。
「夕べの嵐 夜の月のみぞ こととふよすがなりける」
徒然草第三十段「人の亡き跡ばかり、悲しきはなし」の最終部に、かくある。
つまり、「訪ねる者もいなくなり、夕方の嵐や夜の月だけが、故人に対して話しかけてくれるわずかな縁者となる」。約700年前の昔であっても、ワタクシと同じような考えの人物がいらしたということだね。
(後記)
思いつきで、「散骨」が「ふるさと納税」の返礼品というアイディアもあるな、と調べてみると。あった。神奈川県・茅ヶ崎市で、実施している。想い出の茅ヶ崎海岸の外海に散骨してくれるようだ。元サーファーさんは、望むところではないだろうか。
海洋散骨セレモニー券(大切なご家族(故人)とのお別れセレモニー)
※(故人)と、あえてあるのが、面白い
寄付金額:300,000 円
また、「永代埋葬権」を返礼品としている自治体もある。長野県小諸市が行っている。
逆に、あえて(個人が行う)散骨を禁止している自治体もあるので、ご注意を。北海道長沼町・埼玉県秩父市の2ヶ所。
こうなると、経営が厳しい大学があるだろうから、寄付金の返礼品としてはどうだろうか。死んでも、寄付なんか嫌だというほどに学生時代を苦しんだかたがたもいらっしゃるだろうが…。
わが大学の場合、〇〇重信銅像下、というのもいいが、過激すぎるか。なら、銅像を見下ろす場所に作り、〇〇公を見下げるように眠るというのは、苦学生にとって溜飲を下げることになるのではないか。寄付金が増えるのは間違いない。関係者の方、いかがであろうか。
大学紛争の時代、あの銅像前で自然発生的に結集し糾弾集会をやった学生たちも、ぞくぞくと適齢になりつつあるので、なおさらである。商売繁盛しまっせ!
そこで、(おまけ)
なんて読むでしょうか?
① 春夏冬二升五合
② 一斗二升五合
③ 大阪城
答えは、前回アップの『繊細さ』の最下部にあります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?