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計【エッセイ】二〇〇〇字

 会社をやっていた時分。決算月の5月が近くなると事業計画書を作成するのが楽しかった。その年度が目標未達の状況であっても、楽しかった。達成できるかどうかはわからないが夢あること。好きだった。そんな性分なので「計画人間」のように思われがちだが、プライベートになると、実は、からきし「ずぼら」である。ゆえに、この時期、いわゆる「一年の計」なんぞ、考えたこともない。
 しかし、昨年初めの1か月の入院から生還した今。人生におまけをいただいたような気分となり、残りをとりあえず10年と遠慮気味に設定し、その初年こそやってみようと思っていることを書き出してみた。
 結果。「ジョギングを(1キロからでも)始める(中学のときは駅伝の選手でもあったのに・・・)」「(購入したままの)折り畳み式自転車を乗りこなし、10キロを往復する」「(真央ちゃんのマットは買ったので)自分に最適の枕をみつける」「BMIを22台、体脂肪率を14.0以下にする(これでもTANITAには、「過剰!」と言われるが)」「識別できる花の名前を、せめて100は覚える」そして「『仙台・慰霊の旅』の続きを達成する」、となった。
 いちおう考え抜いた末なのだが、ま、こんなもんである。最初からの4個はやはり、健康に関わることである。そして、ほとんどが「やったら?」と言われそうなことばかりである。
「確かに“やったら?”なのだが、古稀を超えた老人な故、無理をすると命にもかかわる。そこは慎重に」と、(都合に合わせて)急に年寄りになる。冗談はさておき、ようやく健康体になりつつある今日この頃なので、まずは無理なく実行できることを第一に計画を練りたい。
 その中でも「花の名前」は、健康を害することには無関係。いや、ウォーキングをやりながらできることで健康的である、なので、さっそく実行に移りたい。
 とにかく「花音痴」なのだ。いちおうエッセイストと自称している身としては、それはまずいとは思うが、仕方ない。小さい頃から田舎暮らしで、野花と接することが多かったはずなのだが。花を摘むなんて柄でもなく、野をひたすらボールを追い掛ける野球少年であったせいと思われる。
 しかし、そんな私ではあるが、名前を言えるものはある。花の代表、桜はわかる。梅もわかる。子どもの頃から身近だった、チューリップ、スイセン、菜の花、タンポポ。わかる。と、書き出してみると、以下の20種類だった。
 桜、梅、菜の花、チューリップ、藤、ツツジ、タンポポ、スイセン、ラベンダー、スズラン、ヒマワリ、アジサイ、蓮、曼珠沙華、花菖蒲、ユリ、朝顔、コスモス、カーネーション、そして、(当然)菊。
 なにしろ、菊はわかっていても、ダリアも菊と間違う人である。サザンカとツバキ、スミレとパンジーなんかは、むろん区別できない。朝顔はわかると書いたが、昼顔、夕顔との違いは? 『昼顔』なんてカトリーヌ・ドヌーヴの映画があったが、夜顔なんてのも、あるらしい。わけわからん。
 しかし、いま「Googleレンズ」なる便利なアプリがあるようだ。不明の花を写せばAIがネットを検索してその情報を示してくれる。そうそう、ウォーキングの途中に道端で見かけた草花だけでも、レパートリーを相当数、増やせるだろう。

 そしてコロナ禍で、5年も実行できなかった「みちのく巡礼の旅」がある。慰霊する祈りの場を宮城の三十三の寺院に創設していると知って、2019年に旅し、その半数を巡ったままである。その続編を年内に実行したいと思うのである。
 「仙台・慰霊の旅」は、noteの記念すべき第一稿となった。『さくらんぼ』という題で書いている。

 「年内に」というのは、事情がある。昨年の病で禁酒令が下されているのだが、その解禁を秋までには、と願っているのである。そもそも観光には興味がない、観光地を訪ねても「観た!」で終わり。なら、「呑んだ、喰った」が自分らしい。できれば、居酒屋辺りで、その土地の人と語らいながら地酒と旨いもんで、と行きたい。が、「酒の解禁」のハードルが一番高いかもしれない。できれば宮城の銘酒を舌に絡ませ味わいながら、笹蒲鉾と牛タンのタタキを食す。そして、スイーツは、「ずんだ餅」で、となれば仕合わせである。
 宮城なので銘酒はたくさんある。世界一の蔵元に与えられる「サケ・ブルーワー・オブ・ザ・イヤー」に3年連続で受賞したらしい新澤醸造の「伯楽星はくらくせい」もいい。が、やはり私の口に合うのは、辛口「浦霞」だろう。
 そして、仙台から足を延ばして、秋田に行きたい。というのは、別の目標で、今後5年計画くらいで、これまで、「泊まったことのない県」を旅したいと考えている。秋田には「高清水」がある。むろん、秋田美人も(知り合えれば、もう至福!)。
 ちなみに「泊まったことのない県」をチェックしてみると、15県。秋田、富山、福井、鳥取、島根、岡山、山口、香川、徳島、高知、愛媛、長崎、熊本、宮崎、鹿児島であった。

 最後に、「エッセイコンテストに入賞する!」という目標もある。が、これは、心の中に秘めていることなので、「一年の計」に書くことは控えさせていただきたい。


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