真剣に金額のことを考える


とある事件の見出し



卒業アルバム撮影で学校に訪問し
中高女子生徒ら盗撮した疑いで
京都市で写真館を経営していた自称アルバイトの男(41)を京都府迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為の禁止)容疑で逮捕

という一件をみて
こんな人が写真屋さんで
たぶん現場ではカメラマンを名乗るわけで

世間的には、自分たちとおんなじくくりにされてしまうのか。と思うとほんとに情けないなあ。と思った。

そしてこれに関して思ったことは
スクールカメラマン業界というブラックな世界のこと

我々のような、プロのカメラマンを呼べないくらいコストカットしてる業界(これホント)だと、こんなこと起こりえるよな。「ギャラ安くてもまあいっか、ついでにJK撮れるし!!」て思う人が紛れ込んでもおかしくないし、仕方ない。

スクール業界もギャラの単価をプロ価格に
合わせてくれたら全然撮影入るのに。。と思うのです。

プロが撮ると当然、質も上がるし、変な事もなくなると思う
プロのカメラマンというのは、アシスタントをして長く生き残り
人間性も含めて、ふるいにかけられ
カメラを覚えるわけで。紳士協定やメディア倫理と過去のトラブルの重要性は知ってて当然。変な人はカメラすら触れないわけです。

それで
参考価格(カメラマン1名=CAなし現場)
人件費=撮影技術料金 ¥50000‐
機材費=カメラ2台 ¥18000‐ 購入費の100分の1
交通費=公共交通機関(タクシー含む)~¥15000‐

というのを考えてみた、安くてもこのくらいの提示額であれば
積極的に撮影にはいれるのに。と思う企業(技術会社=カメラマン)も増えるはず。


ブラックだと考えるスクール業界の現状



そして、現状のスクール業界だが

ウチのプロダクションに発注相談してくるアルバム屋さんで

機材費込み?=機材費なし!?
レタッチ込み!消費税も交通費も全部コミコミで
¥20000~35000‐ぐらい。
通常¥20000-
繁忙期¥35000-みたいな相談をされます。

業界の
相場は¥12000-くらいらしいし
安いところは¥8000‐とかでやってるのも聞いたことがある。機材費交通費込みですよ!?

それに対し我々が普段取引する世界では
機材費は当然別料金=だってこれは機材のメンテナンス費や、更新費に当てないといけないからね。

単発の撮影技術料金=人件費
体だけで下限4~5万くらい。~上限10万くらい(スチルのみ映像のみのどちらか)
レギュラー案件などは¥35000‐「安くて申し訳ないけど・・・。」と相談されることも多いのが実際あるけど。。。

プロのカメラマンって

ここでいう
我々プロのカメラマンというのは
広告、映画、テレビなど
広告代理店や局および
それに準ずる企業から仕事を受ける、対企業の案件がほとんどの
企業に属するカメラマン(専門職)の事を指し

1年365日撮影だけをする人の事をいっています。

こういった世界の場合
・打合せをして、撮影イメージを考えて、スケジュール管理や仕切りなどをする=ディレクター(監督)

・ディレクターのイメージを聞いて、実際の現場で技術的な仕切りをし
撮影をするカメラマン

・予算や、仕事量、時間の都合で
現場によってはCA=カメラアシスタント、L=照明さん、AD=ディレクター助手なども

・カメラマンが撮影した素材を
レタッチするレタッチャーやそれに準ずるデザイナー

など、それぞれが専門のプロになることで
技術レベルの担保、向上を確立している世界です。

映像の現場だともっとたくさんの人で撮影することが多くあります。

逆に今回のスクール業界を非プロと話す理由は

あの人たちは
現場ではカメラマンの○○です。とのの名乗るものの

営業して
ディレクター業務をして
カメラマンをして
レタッチもして、さらにはアルバムの制作もする人達なので

プロの「写真屋」さんであってプロの「クリエイター」であるという考え方で、撮影のスキル一つだけで、いろんなところから呼び声がかかるプロのカメラマンでは無い。という考え方です。

当然、すごく上手い人もいるだろうし、スクールの撮影に関しては
当然かなわない事もあると思います。

けど、逆にその人たちが
広告の現場
コンサート、企業案件、番組、中継、報道の現場に行っても
解らないことだらけだと思います。

なので、そういった、どんな現場に突然ほり込まれても
平均点以上の撮影ができるスキルと経験をプロのカメラマンとして話しています。


現実的なお金の話

で、お金の話に戻ると

仮に、どこかの会社の
社員カメラマンの年収を(平均)400万だとして(もっといい会社もあるだろうし年齢によっても違うだろうけど)

会社のカメラマン1名が稼いでくる売り上げにしろ、
会社から独立したフリーカメラマン=起業カメラマン にしろ


その給与の2倍である
800万はないと話にならないので(どんな業種でも独立後の目安は2倍ないなら会社に残ったほうがいいといわれる。
会社にしてもその他の経費を差し引いてなどを考えると2倍は欲しい。)

年800万の場合 800÷12=66
月の売り上げ 66万

雑務をする時間と休日の事を考えると
一人当たりの稼働は月20現場が目安

66÷20=3.3

日当¥33000-となる

これに、源泉¥3376‐ をのせて
¥36376‐と考えても
最低でもこの金額はないと話にならない という事がわかる。

これは、逆算的に
必要な金額を考えた結果であるものの

「安くてごめん!
毎週〇曜日のレギュラー仕事¥35000‐でよろしく!!」

は案外理になかった最低価格であるともいえる。

そこに
将来性の部分
持ち込みCA料金=発注はないけど後継カメラマンを雇って育てる。
という考え方や

ディレクター不在でも、しっかり打合せをする時間と日程
も含めると(スクール撮影は一人何役か?カメラマンが一人でいろんな事をしないといけない)

やはり
日当¥50000‐ぐらいないと話にならないというところに落ち着き
逆説的に考えても この
¥50000‐~って結構理にかなってる金額だとわかる
上手いカメラマン、いいカメラマン、ハードな現場、長い現場、特殊な現場はそれに+で料金がのるというという事でみんな気持ちよく仕事ができるのではないでしょうか?

とはいえ、学校や一個人が支払える価格の限界


ここまで言った料金の話を
現実的にアルバム作成の人件費に置き換えると(専門業者ではないので実際の価格は不明です)
1現場=人件費1人当たり
¥80000‐ぐらいの価格差が生まれ

アルバムに係る3年間の撮影スケジュールが
60現場くらいだとすると480万円の価格差となる

そして480万を一学年の人数、60人でわる(30人から60人ぐらい?間をとって)と
480÷60=8となり

一人当たり¥80000-
分割で払うにしても
アルバム代金だけで、1家庭、年間¥26666-の負担増額となる。

現在の公立学校のアルバム制作は
学年ごとに入札があり
現状、すでに底値まで落ち切っているため
もう、新規で手をあげられる業者もいない。というような状況になってしまっているを聞いたことがある。

こういった部分も当然末端価格に影響しており
学校(行政)、生徒(家庭)、アルバム屋(制作会社)で
建設的な話をしないと破綻への道を突き進んでいく一方なのかもしれない。

学校、生徒はそういうものと思っており
アルバム屋側は値上げしたら仕事取れない=下げざるを得ない
という状況になってしまっているので
クリーンな制作をするために、行政と業界全体で末端価格と品質向上を考える一歩を進めないといけない。

スナップ写真販売の実際


そもそも、学校側は
「撮影に入らせてあげて、商売をさせてあげてる」ぐらいに思っているかもしれない「販売して売り上げは何とかしてください。
無理なら違う所にやってもらうので」ぐらいでしょう。
雨天中止など日程変更も人件費どうするの?とか考えてないですよね?

なので、運動会など売れるイベント
人数の多い学校とその逆のバランスをとると
今の価格設定になってしまうのでしょう。

これをそもそも販売なしの会費制にし
全生徒に無料配布にして、カメラマン毎の料金を頂くほうが
健全で予算のめども立てやすい。公立学校の場合、行政が人数が少ない部分を補填すれば、全員がハッピーになる。
ここにはアルバム屋さんのスナップ売り上げの利益は入れていない。
学校、生徒、カメラマンの三者がハッピーという話。

そしてアルバム屋さんは予算のめどが立てやすくなるので
アルバム制作費と自社のカメラマンが動いた場合はきっちり利益になるというシステムにすればいいのでは?と考えます。

結局、そういうもんだろうと考え、そういった話し合いをしようという人が
業界にはおらず、なかなか話が進まないのが現実でしょう。


おまけ、機材費

ちなみに
機材費の話をすると
一般的に購入金額の30~100分の1程度
レンタル店の価格を参考にする場合も多い。

1000万相当のENGもシネマカメラも
1000÷100=10
とするとレンタル価格相当になり、機材費に相当する。

スナップの現場だと、かなり雑ですが
ボディ①50万
ボディ②50万
標準レンズ30万
望遠レンズ40万
その他の備品を10万円
そろえると180万で
180÷100=1.8

¥18000-と考えました。

機材費を出さないのであれば
機材はそちらで手配してくださいというのが当たり前。

映像の現場は制作会社が機材手配することが多く
カメラマンは当日、使うカメラを知ることも多い。

交通費

交通費、車両費に関しても
スナップ写真ぐらいの機材量であれば
公共交通機関で問題ないが

機材量が多い場合は車両での移動が必須となる

その場合は、車両費+ドライバー手配の料金をいただくこととなり
ロケ車とプロのドライバーで10万円程度必要になる。

もう少し簡単に考えても
レンタカー料金¥20000‐
プロではないドライバー¥35000‐程度必要となる。

そう考えると案外一日タクシーに乗るほうが
安くなることも多い。

タクシーには価格のメリット以外に
事故や渋滞に巻き込まれた際、車を乗り替えたり、とりあえずカメラだけ持って現場に向かうことができるというメリットや

トラブルの責任のすみ分けもしやすい等といういかにもプロ的な考えがあり
メリットが大きい。


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