新茶速報2021 -走り新茶編-
新茶の季節がスタートしました。
久しぶりに、マニアックな日本茶情報を投稿しようと思います!
最後に宣伝も兼ねています。
新茶とは
新茶とは、毎年4月から5月に摘採される一番茶を指します。
一年で最も味が乗り、香りが良いお茶のことです。
新茶(一番茶)が摘採される時期は、南(鹿児島)から北上していきます。
桜前線をイメージすると分かりやすいと思いますが、暖かい地域から一番茶が始まります。
2021年の新茶は特に早い
今年は昨年と比べて、摘採期が約2週間(早生品種)早いと言われています。なぜ早いかというと、立春からの平均気温が高いためです。
日本茶は秋(10〜11月頃)から休眠に入ります。
寒くなると活動を止めて、じっくりと栄養を根っこに蓄積させていきます。
そして、立春から数えて毎日の平均気温を足していって合計が1070℃になった頃が摘採時期と言われています。(専門用語で積算気温)
今年は、平均気温もさることながら、夜の気温も高いことが特徴でした。
例年だと、日中は暖かく・夜間に冷えるのが一般的ですが、今年はずっと暖かい。そのため、一番茶の摘採が一段と早くなっています。
では、摘採時期とお茶の品質の関係について、少しだけ見ていきたいと思います。
お茶の成長メカニズム
お茶の木(チャノキ)は根っこから栄養を吸収し、水分と一緒に新芽に送ります。新芽のお茶が瑞々しくて甘いのは、たくさんの栄養が集まっているためです。美味しい新茶を作るためには、新芽にじっくりと栄養が蓄積したタイミングで摘採することがベストです。
しかし、今年のように気温が高く、急激に成長が促されると、新芽に蓄積される栄養や水分が、チャノキの成長に使われてしまいます。
これが一番茶(新茶)にどのような影響を与えるかと言うと、味が薄い(濃度不足) and/or 香りが弱いといったことにつながります。
もちろん産地(畑単位)で影響度は異なるので、一概にそのような影響になるとは言えませんが、マクロ的にはそのような傾向になります。(各産地の関係者とも日々打ち合わせをしていますが、概ねこのような状況とのことです。)
今年の新茶はどのように製造する
例年と比べて、味が薄い or 香りが弱い一番茶を、どのように仕上げるのか。当社のような製茶問屋の腕の見せどころです。
荒茶(生産者が作った原料)を味・香りの観点で分析(官能検査)し、火入れ度合いを検討します。
特に新茶として出荷するお茶は、1℃単位・1秒単位で火入れ具合を検討します。火入れする日の室温・湿度を確認しながら、過去の火入れデータを見ながら決定していきます。
どのような香りを出したいのか、どのような味わいを出したいのかを頭の中でイメージしながら、過去データとにらめっこしながら設計していきます。
写真の原料は例年の新茶と比較すると、しっかりとした甘味がある一方で、やや香りが弱い傾向でした。そのため、フレッシュで青い香りを逃さないように火入れすることが必要でした。
余計な香りを飛ばす一方で、フレッシュで甘い香りを閉じ込めるように、温度管理に気を配りながら低温で火入れを行うようにしました。
最後に商品紹介(鹿児島 大走り新茶)
最後に、商品のご紹介です。
鹿児島県頴娃産で、茂2号という品種のシングルオリジンです。
やや蒸しが深い新茶で、特に甘みが強いお茶に仕上がりました。
新茶らしい、フレッシュで青い香りと鼻をくすぐる甘い香りが特徴です。
口にしたときの印象は、マスクメロンを食べたような甘さと青さが口の中いっぱいに広がります。飲み干したあとは、後味がすっと消えながら、鼻腔に甘い香りがほのかに漂い、なんとも爽やかな気分になれると思います!
また、二煎目・三煎目でも風味をしっかりと味わえる、力強い大走り新茶を作れました。
数量限定となりますので、気になった方は是非購入をご検討ください!笑
https://www.tsusen.net/item/the1st_kagoshima/
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