複業で仕事が回る職場は、みんなにとっても働きやすい職場
ここ何年か「働き方改革」の文脈で、副業やら複業が話題になってますね。私は大学に入って働き始めた19歳の頃から、24年くらい複業であったことしかないので不思議な気分です。昔はライターとか、背取りとか、副業でできる仕事というと限られていましたが、最近はだいぶ職種も広がってきた印象があります。
「副業」を認める会社が増えたことが話題になった一方で、「副業」として働ける会社が少なかったもんだから、「副業」として働けますよと募集をかけると、優秀な方に応募いただけます。そこで受け入れる側で課題となるのは、仕事をうまく切り出せるかどうかです。例えば一緒にコードを書くには密なコミュニケーションが必要ですが、コードレビューやセキュリティ監査であれば、その分野の専門性は要するけれども、同じプロジェクトでコードを書くほどのコミュニケーション量は必要ない場合もある。
同じ場にずっと居ることを前提に漫然と仕事を回していると、時間的制約が大きな「複業人材」を上手く巻き込んでプロジェクトを進めることは困難です。プロジェクトのタスクを、密で継続的なコミュニケーション量を要する塊と、まるっと投げたら仕上がりまで限定的なコミュニケーションで回る塊や、息が合ってなくても専門性を発揮できればこなせる塊に分ける必要があります。原稿なんかは、そうやって切り分けやすいタスクの最たるモノだったんでしょうね。
社外でプロジェクトを回しているというと何だか特別なことみたいですが、世のプロジェクトとは何も仕事ばかりではなくて、家事や子育て、介護であったり、趣味の何かであったり、誰もが様々なカタチで仕事以外のプロジェクトに携わる機会はあります。さらに最近では昔と違って、常に出社しているとも限らない、リモートワークも増えてきた中で、顔を合わせなくても回るように仕事を組み立てていく能力は非常に重要です。
そもそもフルコミットで普通に働いている人と、それとは全く別のルールで「副業人材」が働いていて、後者の人たちが働きやすい組織をどのようにつくるのかとなると、なかなか理解を得にくいのではないでしょうか。むしろ誰もがいくつものプロジェクトを抱えていて、それぞれ邪魔せず、迷惑をかけずに回していけるようにすること、そうした関係の中で「お互い様」として他の業務を抱えながらも進めやすいカタチで仕事を進めていくことは、コロナ後の働き方としては特別ではなく当たり前のように意識すべきことで、それが「副業人材」だけでなく、子育てや介護、趣味の活動と両立しやすい働きやすい職場にも繋がるのではないでしょうか。
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