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初歩的ミスが現場で起きる女川原発 仙台高裁は誰に何の立証を求めたのか

女川原発2号機の再稼働に向けた工程が2024年10月29日に始まった(既報)。しかし、11月3日、原子炉内の中性子検出器の校正用機器が動かなくなった(東北電力資料)。TBSが図解で解説を行なった。

原因は「養生の取り忘れ」→「ナットの締め付け不足」

調査の結果(東北電力資料)、原因は、機器を原子炉内に送るケーブルを通す案内管の「伸縮継手」が外れてしまったことだった。外れた原因は「伸縮継手」のゴムシート養生を取り忘れて、養生の上から工具でナットを締めたこと。締め付け不足により、案内管に加重がかかってナットが緩んで外れたという説明だ。

2024年11月13日、原子力規制委員会に提出された「原子力施設等におけるトピックス」P14
2024年11月13日、原子力規制委員会に提出された「原子力施設等におけるトピックス」P16

同様の初歩的ミスが1Fでも起きたばかり

福島第一原発2号機の燃料デブリの試験的取り出しでも、養生を剥がさず、パイプの組み立て順を間違える事件が8月に起きたばかり。同様の初歩的ミスだ。にも関わらず、東北電力は、11月13日には原子炉を起動、15日には12月頃には営業運転を開始すると発表した。

女川原発再稼働差止訴訟 原告控訴を棄却

そして11月27日、女川原発再稼働差止訴訟の判決が出た。仙台高等裁判所は「原告側が事故発生の具体的な危険性を立証していないとして」原告の控訴を棄却した。

争点は避難計画 原告団らは「不当判決」と声明

高裁での争点は、避難計画の実効性だった。
判決当日、原告団と弁護団は「声明」を発表。弁護団が判決、要旨と合わせてウェブサイトに掲載したが、「本判決は、避難計画について、全く踏み込まなかった一審判決とは異なり、 避難計画の内容に踏み込んだ点は評価できる」とした上で、以下の点が不当だとした。その声明を貼り付けておく。判決そのものは筆者もこれから読むのだが。

1  深層防護は,他の防護措置とは独立して効果をあげるべきものであるにもかかわらず、本判決では、複数の防護レベルで全体としての効果が期待されればよい旨の判断をした。かかる判断は、「どれだけ対策を尽くしたとしても事故は起きるものとして考えるというが、防災に対する備えとしての基本である」との規制委員会の判断を否定するものである。

2  続いて、本判決は、第5レベルの防護措置に求められる防護の効果をあげられないというためには、一斉避難をしなければならないような放射性物質の異常な放出の具体的な機序や態様を特定することを求めている。しかし、 これでは、予測不可能な事故が起こりうることを無視している。不可能な立 証を求めたもので不当である。

3  6頁目以下は、我々が重点を置いて主張した避難場所の開設困難、バス輸送の確保ができないことについて判断したものである。
 避難場所の開設困難については要するに臨機応変に決定すればよいとの判断であった。しかし、そもそも我々は、どのような事故であっても開設が困難であると主張・立証してきたのであり、本判決の判断は、証拠を無視した判断であると言わざるを得ない。
 バス輸送の確保ができないことはそれを認めるに足りる的確な証拠はないと判断した。しかし、この点は我々は充分に主張、立証してきた。逆に、本判決は、バス協会と協定を締結した、市職員が添乗する旨述べているが、協 定の実行不能であること、添乗員の確保が非常に困難であることなどは充分 に立証しており、証拠を無視した判断である。

女川原発再稼働差止訴訟原告団 弁護団 声明文より

【タイトル画像】

脱原発弁護団全国連絡会ウェブサイトより




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