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井戸川・元双葉町長の見解 #除去土壌の復興再生利用 「環境省、でしゃばるな」

ご縁あって、福島県の元双葉町長の井戸川克隆氏に、中間貯蔵施設で保管されている除去土壌の再生利用について、どのようなお考えなのか、今日、お話を聞くことができた。

中間貯蔵施設と双葉町と大熊町の位置関係(環境省資料より)

井戸川氏は、2011年の福島第一原発事故に、行政の長として向き合った。2015年には国と東京電力を相手取り、「被ばくと避難によって精神的苦痛を受けた」と1億4650万円の損害賠償を求めて提訴。2025年2月5日に結審した。10年越しの裁判闘争だ(訴状など裁判資料は以下をクリック)。

判決は7月30(水)。だからこそか、井戸川氏の怒りのレベルは、事故が昨日起きたかのような高さだ。怒りが十分に伝わらなければ、それは私のメモ力のせいだ。

環境省による除去土壌の復興再生利用に関する井戸川克隆氏の見解

原発事故が起きないことが前提なんです。
事故は起きませんと国も東電も説明してきた。
だから、私は環境省に「出しゃばるな」という立場です。

国は国民を騙している。国民は誤魔化されている
国は原発事故の責任逃れをしている。
私が言いたいのは、汚染者が責任を取れということです。

東京電力ですよ。PPPの原則(汚染者負担の原則)。
国は東京電力にまったく責任を取らせていない。
除染法44条*は知っていますか?
(ええと、たしか、費用を東電に払わせるという)
そうです。環境省はだから東電の下請けをしている。
何を考えているのか。再利用には反対です。
汚染土について国民は環境省になんら強制されることはないんです。
策略に乗ってはいけない。

私は中間貯蔵施設にも反対した。
土地は売らないし、貸さない。
環境省とは交渉しない。
環境省には「東京電力を出せ」といってきた。
東京電力は国の影に隠れて、汚染者としての責任を逃れている。
国民は税金で尻拭いをさせられている。ありえない。

井戸川氏の見解(筆者の電話取材メモをもとに構成)

*放射能で汚染された土地やその問題と事故当初から向き合ってきた方は、放射性物質対処特措法のことを「除染法」と称する。その第44条は次のようなものだ。

第44条 事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律第三条第一項の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。

2 関係原子力事業者は、前項の措置に要する費用について請求又は求償があったときは、速やかに支払うよう努めなければならない。

放射性物質対処特措法第44条(太字は筆者)

井戸川氏に見解をいただいた経緯と反省

環境省は、JESCO法では除去土壌の中間貯蔵開始から30年以内に県外最終処分といい、最終処分が困難だから「再利用」すると言い始め、それも県外でかと思ったら、今となっては「福島県内外」でと変わってきた。当初から関わっている井戸川元双葉町長は、どのようにお考えなのか、お話を伺うことができるか、ご検討をいただきたく、とお伝えしたところ、一気呵成に上記のような正論をいただいた。

一気呵成なご見解をいただく前に、「あなたはどう考えているのか」と井戸川氏に尋ねられ、「低レベル放射性廃棄物として、しっかり最終処分をすべきだという考えです」と答えた。私の答えには主語がなかったが、井戸川氏の話を聞いて、反省した。主語は「東京電力が」でなければならないのだ。

【タイトル画像】

井戸川氏の裁判資料「原告最終準備書面第43号 第8分冊 まとめ 令和7年2月5日 東京地方裁判所103号法廷 原告 井戸川克隆」より。

【御礼】

井戸川氏へのコンタクトには、井戸川裁判を支える会のご協力をいただきました。ありがとうございます。

井戸川裁判を支える会HPより

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