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911に島根原発のテロ対策が合格。飛行機が突っ込んでも1F事故の100分の1の放射線物質放出で済むのか?

9月11日の原子力規制委員会で議題となった中国電力の島根原発の特定重大事故対処施設(つまりテロ対策施設)について、18日の記者会見で山中委員長に質問した(こちらの写真キャプションに書いたように11日に質問しそびれたので)。

審査結果には、原発に大型飛行機が突っ込んでも、放射性物質の放出は100TBqを下回ると書かれている。100TBqとは福島第一原発事故の時に放出された量の100分の1だ。なぜ、それで済むのだろうか。

2024年9月18日原子力規制委員会後の会見で筆者撮影

私の質問の後に、ジャーナリストの青木美希さんが、武力攻撃ではどうかと質問して、ますますこの国の原子力政策のチグハグさを感じることになった。


911のようにテロで大型飛行機が衝突したとき

○記者 先週の委員会で島根原発の特定重大事故対処施設の審査が了承されたのですけれども、その中でテロで大型飛行機が衝突した場合でも、フィルタベントなどが機能するので、放射性物質は100TBqを下回るということになっていましたけれども、アメリカの貿易センタービルに飛行機が衝突したような映像を見ますと、飛行機が突っ込んできた場合、フィルタベントがあっても全く機能しないだろうなと思うのですが、その点委員長としてはどのようにお考えでしょうか。

2024年9月18日原子力規制委員会 会見録より
中国電力株式会社島根原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査の結果の案の取りまとめ
―特定重大事故等対処施設及び所内常設直流電源設備(3系統目)の設置―
 P153より抜粋

○山中委員長 原子力発電所への故意による航空機の衝突、これに対して対応するために特定重大事故等対処施設というのを導入をして審査をした上で、環境に対する放射性物質の漏えいというのは極めて少量であるという、そういう審査結果を特定重大事故等対処施設についての許可が下りている原子力発電所については審査の中で確認しております。そのうちの一つが島根の2号炉ということだというふうに理解しています。

○記者 ごめんなさい。島根のみならず、どの原子炉建屋についても何か二重、三重に鋼鉄で原子炉建屋をカバーしたわけではないので、突っ込んできたら、もろとも原子炉まで到達してしまうのではないかと思いまして、そういう意味で伺ったのですが。

○山中委員長 これはセキュリティー上、どういう衝突が起こって、どういう損傷が起きるかというのはお答えしかねますけれども、故意の衝突が仮にあったとしても、放射性物質の漏えいというのは極めて少量であるということは審査の中で確かめております。公開できる情報については、特定重大事故等対処施設についても、もちろん公開できない部分については黒塗り、あるいは白塗りになっておりますけれども、御覧いただくことはできると思いますので、御確認いただければというふうに思います。

○記者 でも、委員長、常識として黒塗り、白塗りは横に置いておいて、飛行機が建物に突っ込んだ場合に、それは健全であり得ると思われますか。破壊されるのではないでしょうか。

○山中委員長 健全かどうかも含めてお答えすることはできませんけれども、審査の中で環境への影響は小さいということはきっちりと確認しております。

2024年9月18日原子力規制委員会 会見録より

ウクライナ、ロシアを鑑みたミサイル攻撃はどうか

これを受けた青木さんの質問は次の通り。

○記者 最後に、今のマサノさんの質問にちょっと関連するのですけど、飛行機の話がありましたけれども、ウクライナ、ロシアを見ると、ミサイルなどの攻撃についての懸念というのも、立地自治体から上がっているところでございます。このミサイルについて、完全に守り切れるかどうかということころをちょっと自衛隊の幹部にも聞いたのですけれども、こんなにたくさん原発があったらとても守りきれませんという話もされまして、実際にミサイルが来たときに守り切れるかどうか、どのようなお考えか教えていただけますか。

○山中委員長 航空機の意図的な衝突については、我々の規制上、審査をして、事業者に特定重大事故等対処施設というものを機能するように要求をしているところでございますけれども、軍事攻撃については、どの程度の軍事攻撃があるのか等々、我々の判断を超えるところがございますので、規制対象とはしておりません。

○記者 分かりました。なのでコメントする立場にないということですよね。

2024年9月18日原子力規制委員会 会見録より

昨今、「テロと戦争は一体何が違うのか」と頭を抱える殺戮が同時多発する中で、原発を持つことのリスクが、白塗りの陰に隠れて、議論されなさ過ぎる。

中国電力株式会社島根原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査の結果の案の取りまとめ
―特定重大事故等対処施設及び所内常設直流電源設備(3系統目)の設置―
 P50~51 
山中委員長が「セキュリティ上」と述べる「白塗り」の一例

【タイトル画像】

中国電力株式会社島根原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査の結果の案の取りまとめ
―特定重大事故等対処施設及び所内常設直流電源設備(3系統目)の設置―
 
P161より抜粋


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