濡らしたウェスで放射性物質を拭き取る作業
今日(12月19日)、<オンラインセミナー>「福島第一原発汚染水被ばく事故で問われる東電の責任」(主催FoE Japan、福島老朽原発を考える会)でフクロウの会事務局長の青木一政さんと共にお話をした。
AさんだけでなくBさんも10万cpm超
2023年10月26日に発表されたALPS配管の洗浄廃液(43億7600万Bq/L)による作業員の被ばく事件から約2ヶ月。昨日(12月18日)、また初めて明らかになった事実が出てきた。
Aさんだけでなく、3.5kcpmとされてきたBさんも実は、10万cpm超の汚染を受けていた。それが原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会で、伴委員の質問に対する東電の口頭の回答で何気なく明らかになった。
あまりにも唐突過ぎて、検討会メンバーからは何の反応もなく終わった。伴信彦委員が質問したのが、議論のあとだったせいもある。
音声で聴いていただけるよう、クリックすると上記の該当箇所から聴けます。
筆者が今日使用したPPT資料全体はこちらからダウンロード可能。
12月11日、柏崎刈羽の運転禁止解除目前の新たな被ばく事件
12月6日に柏崎刈羽原発の再稼働の前提となる東京電力の「適格性判断の再確認の結果」を規制庁が公表した後、12月11日に判明した新たな被ばく事件については、すでに1F下請け作業員がまた被ばく:今度はアルファ線の内部被ばくか?で少し書いたが、資料を以下に貼り付けておく。
これが起きた場所は、以下の黄色で囲んだ場所。2号機の原子炉建屋の「西側構台前室」という場所だ。
ここで、2号機のオペレーションフロアから撤去した「使用済燃料プールに異物が混入しないようにするためのフェンス」を除染していた作業員の鼻腔が汚染されていたのを、その作業員の退出の際に確認したというもの。
使用済燃料プール異物防止用フェンスの除染とは?
東電が公表するこうした図は、毎度、なぞ解きが必要だが、これについても、東電広報に尋ねると、「除染」とは右上に「濡れウェス」とあるように、紙を水に浸して濡らしてフェンスについた放射性物質を手で拭き取っていく作業だという。
なんということだ。
爆発した原発の事故処理とはこんな原始的な作業の連続なのだ。
図の中央上にある「前室内チェンジングプレイス」とは、このレッドアルファゾーンから出る際に、アノラック(カッパ)や全面マスクを拭き取る場所であり、そこには放射線管理員(着脱補助員)がいる。
放射線管理員は、拭き取りがしっかり行われることを補助する役割なのに、つまりはそれに失敗したのだ。「前室内チェンジングプレイス」から出た後に、別の場所で全面マスクを脱いだときに、あごなどについていた汚染が鼻に入った、というのが、現在のところ、東電の説明だ。
今回の情報を整理してみた結果、以下のようにまとめた。
【タイトル写真】
秋田放射能測定室「べぐれでねが」さん撮影提供写真