川の話:こんなことになっている(瀬戸石ダム)
今年2月からの連載【川から考える日本】。報じたのちに、当然ながら、それぞれの事案は時間の経過とともに進展していく。
例えば、先月9月30日掲載の
熊本・球磨川の災害の影に隠される瀬戸石ダムの「構造令」違反問題
【川から考える日本】流域住民を守らなかった国、電源開発の姿勢
河川法に基づく構造令:半世紀を超えた経過措置問題
これは電源開発株式会社の発電専用「瀬戸石(せといし)ダム」(1958年〜)が、その後1976年にできた「河川管理施設等構造令」(以後、構造令)の「経過措置」で適用除外になったまま、3年前の球磨川豪雨に襲われた話。
構造令は、河川を横切る構造物が、流水の妨げにならないようにするためにできたもので、河川法第26条(工作物の新改築の許可)が根拠。
河川法に基づく水利権(第23条)許可を得ようとするダムは、その申請をするときに、そのダムが流水の妨げにならないよう、第26条も同時に申請しなければならない。
取材をしてみたら、国交省の流水管理室は「国土交通省と電源開発の間で、(瀬戸石ダムが)構造令に適合していないという認識は一致している」という。(6コマ目 時間が経つと記事は有料になるので、興味を持っていただけるならお急ぎを)
国土交通省(霞ヶ関で)は、球磨川水系河川整備基本方針を豪雨災害の翌2021年に変更したときには、気候変動で水災害が激化し、これまでの対策では限界があるとしていた。しかし、不適合な構造を放置している。
構造令不適合ダムに与えられ続ける水利権問題
現場(熊本県)では、半世紀以上に渡り、治水の妨げになる構造を持つ、構造令に適合しないダムを放置して、水利権を与え続けているのだ。
そこで、どうするのだ、流域住民を入れて話し合う場づくりが必要じゃないのか、と問いかけた。記事の要旨はざっとこんな感じ。
そして本題
そして、本題。【川から考える日本】で毎月一つの事案を報じるたびに、当然ながら、それぞれの事案は時間の経過とともに進展する。それが辛い。「辛い」という意味は、「書きっぱなし」では、ネタを「消費」して、自分は安楽なところにいるという罪悪感みたいなものが募るという意味だ。
その罪悪感(ストレス)対策として、これは!という動きについては、こちらでその後の動きを投げ込んでみることにした。新たな試み。
というわけで、この記事にも登場する「瀬戸石ダムを撤去する会」が、もうじき、電源開発を相手に話し合いをする。その電源開発宛の事前質問を公開しているので、同会の許可を得て、拡散させていただく。
瀬戸石ダム問題に関する貴社交渉に向けた質問書(2023年9月29日)
【タイトル写真】
電源開発の瀬戸石ダム(2023年7月12日筆者撮影)