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伊方原発の放射線防護施設について愛媛県知事、原子力規制委、四国電力社長に質問した
2025年1月24日に原子力規制委員会が「愛媛県での地元関係者との意見交換」と「四国電力株式会社伊方発電所の現地視察」を行うというので、取材に行った。
22日夜、夜行バスで出発。23日朝、松山駅前に到着。レンタカーで佐田岬半島に点在する放射線防護施設を巡った。以前からこの目で確かめたいと思っていた。
2018年現在の内閣府資料で伊方原発のために作られた放射線防護施設14件のうち12件が「津波浸水想定区域」、「土砂災害警戒区域」、「土砂災害特別警戒区域」のどれかに区分されていたからだ。委員会視察の機会をとらえない手はない。
途中、24日の集合場所である四国電力のPR館「伊方ビジターズハウス」にも寄って、場所を確かめ、佐田岬を目指した。私の運転技術では崖の下に落ちるとヒヤヒヤしながら、なんとか日暮れ前に宿に到着した。
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今回の「地味な取材ノート」は、24日に愛媛県オフサイトセンターで、四国電力社長らも同席して行われた原子力規制委員と愛媛県知事、関係市町の首長らの意見交換後、ぶら下がり取材で、私自身が(放射線防護施設巡りを踏まえて)尋ね、回答を得たことの端的なメモ(自分の頭の整理のための記録)だ。
意見交換後に行われたぶら下がり会見は、知事、原子力規制委員、社長の順で行われた。(なお、他の記者は、もちろん、委員たちの「視察」と「意見交換」について所見を尋ねていた。それを含め、どんな視察だったのかについては、後日、取材メモをまとめたい。)
愛媛県 中村知事への問いと回答
Q:(佐田岬)半島の西側の地区は、「予防避難エリア」という想定がある中、国道197号が使用できなくなり、港湾ができなった場合、放射線防護施設に行く選択肢しか示されていないが、その放射線防護施設を回ると、土砂警戒区域、津波浸水に指定されている問題があるが、知事のご見解を。
中村時広知事:冒頭に申し上げた通り、こうした対策に終わりはないということで既存の施設の活用と、足らざるところの追加であるとか、いろんなことを考えていけばいいと思っています。防護施設についても、さらに増やしていく計画もあります。私が就任したときには1本道しかなく、国にこれでは避難計画が立てられない、県道は国の方で責任をもって整備すべきだということで、順次進んでいる。それ以外の道も進めていますので、今の現段階がファイナルではないという前提で、物事を考えていく必要があると思います。それから最悪の場合と、たとえば港を使えなくなることも想定して、海上保安庁や自衛隊の力を借りながら、最新の設備、たとえば、ホバークラフトを使った避難訓練等々も実施していますので、あの手この手で、これを使えば新たな選択肢ができるんじゃないかとか、そういったことは常に追い求めてきていますし、またこれからも追い求めていく必要があるというふうに思っています。
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原子力規制委員 伴信彦委員と長﨑晋也委員への問いと回答
Q:さきほど知事に伺ったが、予防避難エリアかつUPZは陸路も海路もダメで屋内退避しなければということで(時のために)、放射線防護施設を増やしている(増やす計画がある)というお話だったが、増やせる場所がなくて、逆に約10施設あるところ、今見ますと、5施設、津波の影響がないところということではと、非常に状態が厳しく、ありとあらゆることをやっていくといことだったが、(その地域に)4700人ぐらいいらっしゃる。この方々の安全は、今の原子力災害対策指針で守れるとお考えか?
伴信彦委員:多分、私がここでお答えしても、さきほど知事がお答えになった以上のことは申し上げることができない。どうしても今日の意見交換の中で歯痒かったのは、原子力規制委員会としては、現在、指針に基づく、総論の話しかできない。そこについてしか責任をもって発言できない。それに対して、皆さんが求めておられたのは各論の話なんですよね。各論の話になってくると、どうしても内閣府の原子力防災だと私たちは言わざるを得ない。だから、その辺のところで、非常に歯がゆいものがあった。今の質問は、原子力災害対策指針を変えるべきじゃないかというご質問かもしれませんが、私はそうは思わないし、少なくとも、今の原災指針をもとになにができるのかということを地域ごとに一緒に考えていくことが大事だし、それを中村知事が言ってくださった、そういうふうに思います。
Q:ただ、原災指針のクレジットは原子力規制委員会になっていますので、そこだけ内閣府に振るというのは、無責任ではないか。
伴委員:私が言っているのは、原災指針はもちろん規制委員会のクレジットです。ただ、原災指針に基づいて各地域の原子力防災の具体的な対策を展開していくのは、地元と内閣府原子力防災の連携によって行われるということです。
Q:まだ聞きたいことはありますが、また聞きます。
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写真右が伴伸彦委員、左は長﨑晋也委員
四国電力 取締役社長 宮本義弘社長執行役員への問いと回答
Q:原子力を発電に使い続ける意味を伺いたい。今日もこの場面を見て、非常に国の行政コスト、地方自治体の行政コスト、多大なものがあると思うんですけれども、事故がなくてもある。事故があればもっとある。こういった行政コストを払わせてでも、原子力を続けるのはなんなんでしょうか?
宮本義弘社長:端的に申し上げると、四国なのか、日本なのか、わかりませんけど、電気を必要とする方がおられて、電気を安く安定的に供給する手段として、さまざま発電方法はあるわけですが、その中で、原子力というのは燃料を1回いれると長く発電ができて、CO2が出ないという特徴がある。万が一、事故が起きたときには、危険が住民の方に及ぶ可能性があるというデメリットをもつ電源ですが、それを加味した上でも、他の再生可能エネルギーや火力もすべて必要なんですけれども、いろんな電源をミックスして発電することが、我々にとって、あるいは日本にとって必要なことだと私は思っております。
Q:もうひとつだけ。エネルギー基本計画では原子力は2割がだが、四国電力としては原子力を低減させるつもりはあるか、現在、何割と考えているか?
宮本社長:伊方は3期あったが、震災後に新しい規制対応と老朽化のために1、2号は廃止措置をしているということで、3号一基で運転している。現状におきまして、発電電力量の占める割合でいうと約2割ぐらいでして、たまたまですが、国がもっている2040年の原子力施設の比率と、四国電力単体でも同じぐらいの比率になっております。さきほど、我々3号機のトラブル等も含めて信頼回復の途上であるということもお話しありましたし、30年を越えようとているところなので、3号機をしっかり安定して皆さんの信頼にたる運転をしていくことが我々最大の今の課題であります。その前提でいいますと、2割を維持していく、当面は維持していくということだと思っております。
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【タイトル写真】
原子力規制委と自治体首長らの意見交換が行われた愛媛県オフサイトセンター前で2025年1月24日、筆者撮影。