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GX基本方針:国民はパブコメ、国会でも批判相次ぎ

2月10日、原子力規制委員会の結論が出ないままに、原発の運転期間延長を含む「GX基本方針」が閣議決定され、原子力の規制と推進の分離の失敗が明らかになった。

岸田首相「運転期間は安全の観点から」

15日の衆議院予算委員会では岸田首相に対する激しい批判が相次いだ。
「原発の稼働期間の上限はなぜ設けられたのか」と尋ねたのは枝野幸男議員。岸田首相は当初は「利用の観点から」と嘯いたが、途中で「運転期間については、安全の観点から定めが設けられておりました」と認めざるを得なくなった。 

笠井あきら議員は「運転期間60年を超える原発は世界に存在しない」と西村経産大臣に答弁させ、「規制委員会では60年を超える運転をどう規制するかは決まっていない。新しい安全神話じゃないですか」と追及した。

最大野党である立憲民主党幹部は定例会見で、それぞれ冒頭発言で批判した。また、記者たちも質問を重ねた。
・2月14日岡田克也幹事長(該当箇所頭出し記事
・2月16日長妻昭政調会長(該当箇所頭出し記事

運転期間に約2千件、GXに約4千件の国民意見

もとより、原発の運転期間の延長認定権限を経産省に渡す案には、年末年始を挟んだ30日間で1749件(延べ2016件)の意見が寄せられ、ほとんどが反対意見だ。
・パブコメ概要と原子力規制委員会の応答(「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討(第8回)」令和5年2月8日資料 P3から)
・パブコメ全体(2月8日原子力規制委員会 机上資料

またGX基本方針へのパブリックコメント(結果サイト)には、提出意見数:3303件(延べ3966件)が寄せられていた(経産大臣会見録より)。

岸田首相指示:国民の不安を払拭?

今日(2月17日)の閣議後の定例会見では、環境大臣と経産大臣が、「原子力規制委員会の議論で、委員から制度変更への反対意見があったことを受けて、国民の皆さまの不安を払拭していくためにも、国会審議などにおいてしっかりと説明ができる準備を進めた上で法律案の閣議決定を行うべき」との指示が首相からあったと発言した。その指示が何を意味するのかは判然とせず、記者からは質問が相次いだ。

2023/2/17大臣/西村環境大臣 閣議後記者会見

2023/2/17大臣/西村経産大臣 閣議後記者会見

「規制」の影もない法案はいったん撤回すべきでは?

運転期間延長の権限を原子力規制委員会が手放す束ね法案は、目下、その名も「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(仮称)という。原発推進官庁に飲み込まれ、もはや法案名にさえ「規制」の影すら見えない。

一時凌ぎで禍根を残すよりも、いったん撤回して、石渡委員が挙げた、以下5つの反対理由(既報)に対して、国民が納得のいく説明があり得るのか考えるべきではないか。
 1.  今回の改変は、科学的技術的な新知見があっての法改正ではない
 2.  運転期間を落とすのは安全側への改変と言えない。
 3.  安全審査に時間をかけるほど、高経年化した炉を動かすので二律背反。

 4. R2見解は40年ルール削除を意味しない。
 5. 60年目以降の高経年化評価制度が決まっていない。

【タイトル写真】2月13日の原子力規制委員会臨時会議

大勢のマスコミが取材に訪れた(筆者撮影)。

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