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老朽原発パブコメ最終日 事業者とは相談中

(1月23日、「ATENA」のスペル間違えを訂正しました)

原子力規制委員会は老朽原発の規制に関するパブリックコメントの最中に、原子力事業者とは綿密に相談をしている。制度案に批判的な側にも対面で意見を聞くべきだと、会見で何度も問い続けたが、実現していない。これなら少数とは言え、原発推進に反対をする側に対面で意見を聞いた経産省の方がマシだ。

国会軽視:原発事業者とすり合わせ

原子力規制委員会は、1月11日に老朽化原発に関する原発事業者との2回目の意見交換会を行った。

これは、経産省が、原発の運転期間を「原子炉等規制法」から外して「電気事業法」に移し、①新規制基準の審査で止まっていた期間、②司法判断で止まっていた期間、③震災直後の行政命令で止まっていた期間などを足して原発の寿命を伸ばす法改正を前提にした会合だ。

とはいえ、運転期間を「原子炉等規制法」から「電気事業法」に移す法案は、国会に提出さえされておらず、もちろん審議も可決もされていない。国会が存在しないかのような会合だ。

言い方を変えて繰り返す。原子力規制委員会による事業者との意見交換会は、「原子炉等規制法」から「電気事業法」に移すことが国会で決まることを前提に、運転期間について「もぬけの殻」となった「原子炉等規制法」でどう老朽原発を「規制」(*)するのかをすり合わせる会合だ。

電気事業法への移管前提で、経過措置について事業者要望

第2回目の事業者との意見交換会は、1回目(昨年12月26日)に事業者が行った要望によって開催されたものだ。

1回目に、原発業界団体である「原子力エネルギー協議会(ATENA)」や事業者は、原子力規制委員会が今晩(1月21日0時)が締切のパブコメ(こちら)にかけている「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)」について、意見を対面で述べた。

第1回高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する意見交換会

ここでATENAは、原発の運転開始から30年目と10年以内毎に「長期施設管理計画(仮称)」を定めて原子力規制委員会が認可する制度案などに「特段の意見はない」とした。その上で、新制度への移行期間を「十分に」とって欲しいと要望した(ATENA資料P3)。(ちなみに「長期施設管理計画(仮称)」とは、これまでにも「規則」で行っていた「高経年化技術評価」を法令に格上げしようとするもの)

「安全性と全然関係ない話」

2回目では、新制度への移行期間を十分に取るために、ATENAが資料P6〜で各原発を5つに分類して、それらをいつどのようにどんな順番で新制度に移行させればスムーズかを原子力規制庁と議論した。

第2回高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する意見交換会
原子力エネルギー協議会(ATENA)資料1
原子力エネルギー協議会(ATENA)資料2

しかし、運転期間が原子炉等規制法から抜けた後に、老朽化していく原発をどう「規制」(*)していくのかという重要な議論はない。原子力規制委員の中で唯一この意見交換会を統括するために参加した杉山委員は「安全性の水準とは全然関係ない」移行期間に縛られるのは、「あまりハッピーではない」と気づいたようだが、後の祭りだ。

最後は事務局である原子力規制庁の金城原子力規制企画課長が、中身は別途、「新規制要件に関する事業者意見の聴取に係る会合」で今後議論する、と引き取った。

老朽原発を規制するためのルール作りは、経過措置も中身も、規制者が原発事業者と議論して決める。「規制の虜」だと福島第一原発事故後に指摘されたことが白昼堂々と進行している。

この2回の意見交換会は、既報(規制委:老朽原発審査の骨抜き案)で指摘した高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)の「12.なお、運転開始後30年を超えるが運転しようとしていない発電用原子炉については、この枠組みの対象とせず、長期停止している発電用原子炉に関する既存の枠組み、すなわち保安規定に定める施設管理に関する特別な措置の中で劣化管理を行うことを求めることとする」とした奇妙な表現(運転しようとしていない発電用原子炉)に関する相談である。

広がる情報非対称性

「運転しようとしていない発電用原子炉」について書かれた12番は、会見後のぶら下がり取材で「法律には書けないことを規則などで定めようとしている」と金城課長が筆者に漏らした部分である。こんなことも含めて、パブリックコメント最終日に、原発事業者は知っているのに、事故が起きれば被害を受ける国民は知らされていいないことがたくさんある。

タイトル写真【第1回高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する意見交換会】


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