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基準不適合なら設置不許可:敦賀原発2号機

敦賀原発2号機は廃炉に向かって動き始めた。原子力規制委員会が、規制庁が7月26日の審査会合でまとめた「K断層の活動性と連続性について、設置許可基準規則第3条第3項に適合していると認められない」との判断について(*)、7月31日に「理解した」と結論を出したからだ。その上で、事業者である日本原子力発電社長と意見交換をすることで合意した。この意見交換は8月2日(明日)16時から行われることに決まった。


炉規法 適合していると認めるときでなければ許可をしてはならない

7月31日の委員長会見では、またしても(*)記者質問はこのことに集中したが、私も、当たり前のことを押さえておく必要を感じたので、質問した。

原子炉等規制法では、原発事業者だけではなく、ある意味、原子力規制委員会も、縛られている。基準に適合していると認めるときでなければ、原発設置の許可をしてはならないのだ。以下の通りだ。

(設置の許可)第43条の3の5 
発電用原子炉を設置しようとする者は、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受けなければならない。

(許可の基準)第43条の3の6
 
原子力規制委員会は、前条第1項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

原子炉等規制法より

適合しないとなれば設置ができない

これらに関する問いと、山中伸介原子力規制委員長の答えを念のために記録しておきたい。

○記者 フリーランスのマサノです。引き続き、敦賀2号機の件なのですけれども、炉規法では、43条の3の6で基準に適合していると原子力規制委員会が認めるときでなければ、許可してはならないとあります。今日の会合では適合していると認められないねということになったということで、改めてですがお願いします。

○山中委員長 審査チームの結論として適合性が認められないという、そういう判断について委員会は理解を示したというそういうことでございます。

○記者 同じく43条の3の5で原子炉を設置しようとする者、運転しようとする人は許可を受けなければならないとなっているので、適合してませんよとなった段階で、もうその原子炉は運転(設置)ができない状態になると理解していますが、それで間違いはないでしょうか。

○山中委員長 もちろん、委員会として、そういう結論が出れば、そのとおりでございます。

○記者 もう二点なのですが、意見交換はそうすると温情的に行うというか、そういったものだと捉えているのですがその理解でもよろしいでしょうか。

○山中委員長 決して温情で社長の意見交換、社長との意見交換をするつもりはございません。社長がどのようなお考えを持って、今後どういうふうに取り組んでいくかということを具体的に聞いて最終的な判断を材料にしたいということでございますし、スタートと判断をするときのこれまでの経緯を考えれば、私どもは、委員会としては全員それが妥当な方法だろうという判断をいたしました。

○記者 最後なのですけれども、もし基準に適合していないという最終判断が意見交換の後に下った場合は、これ不利益処分となるので行政手続法によって、不服審査を事業者としては申し立てることができることになりますが、そういったお知らせを不利益処分をする場で通知をすることになると思うんですが、今回そのような御準備もされているというふうな理解でよろしいでしょうか。それとも、そこは言えないところでしょうか。

○山中委員長 今後、どういう判断が委員会として、まず方針、どういう方針になるのかというところもまだ決まっておりませんし、万が一、審査書を作っていただくということになってそれで判断をするということになったといたしましても、どういう委員会として判断をするかというのは、まだ決まっておりません。全く仮定の話でございますけれども、そういう適合性審査に不適合という判断が下った場合の何か法的な手続について、事務局からコメントがあれば言ってください。

○事務局 はい。総務課長のヨシノです。今回もし仮に不許可という場合になった場合ですが、行政手続法上は不利益処分ではなく、ただの処分です。法律に基づく、ただの処分ということになります。不許可の際には必ずその理由をつけますし、また先ほど出た不服申立ての時期がいつまでできるかとか、そういったようなことも併せて通知することに運用なっておりますので、そのような調整をしてまいります。どちらにせよ委員会の結論が出てからの処理ということになります。

○記者 ありがとうございました。ごめんなさい、もう一点だけ。今回の補正を申請してくるに当たって、最も重要な破砕帯に関して、改ざんが行われたというイベントがあったわけですけれども、もうその時点でもう運転する資格がない、能力がないという判断があり得たと思うのですが、改めてなのですが、そのときに、この資格はないよという判断をしなかったのはなぜでしょうか。

○山中委員長 データの間違い、あるいはデータの書換え、非常に多くあったというのは御指摘のとおりでございますし、試料片の取り間違えということもございました。したがいまして、これはもう全くの異例中の異例でございますけれども、審査の最中に審査に関係する検査を本店に入れるというような異例の手続を取りました。その中で不正は確認できなかったということで、改めて審査を再開したわけでございますけれども、やはり間違いがあるということで、これはもう論点を絞って社長にきちっとそれを確認した上で、審査方針も確認した上で審査を進めましょうという手続を取ったわけでございます。

原子力規制委員会委員長定例会見 2024年7月31日 速記録

(*)石渡明委員が「最終的な結論を出せるような段階に達している」と告げて、審査会合を終えたことは先日、こちら(敦賀原発2号機の新規制基準適合性:記者たちが原子力規制委の覚悟を迫った)の後半で書いた。

なお、【タイトル画像】は、審査会合で日本原子力発電が主張していたことを、原子力規制庁の審査チームが、原子力規制委員会に説明するために作成したものだ。

  • K断層は将来活動する可能性のある断層等ではない(活動性)。

  • K断層は2号炉建屋直下まで連続していない(連続性)。

審査チームは、活動性も連続性も否定できない旨の判断を報告し、それを原子力規制委員会は理解した。

【タイトル画像】

原子力規制委員会 2024年7月31日 資料2 
日本原子力発電株式会社敦賀発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査会合の審査結果及び今後の対応 
P.12 を一部抜粋


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