1F作業員被ばくも「軽微な実施計画違反」という出来レース
増設ALPSの配管洗浄で、2023年10月25日、東京電力が作業員を高濃度(43億7600万Bq/L)の洗浄廃液で被ばくさせてしまった事件について、その後。
12月18日 軽微な実施計画違反という暫定評価
原子力規制庁は、12月18日の特定原子力施設監視・評価検討会で、保安検査の結果、東京電力による被ばく事件は「実施計画で定めた品質マネジメントに関する事項の不履行」に該当するが、「放射線業務従事者の法令に定める限度を超えた被ばく又は身体汚染に至った事象」には該当せず、「影響はあるが軽微」だと「暫定評価」した。(資料1−3)
出来レースだと感じた。以下は、一部12月11日の取材ノートからの再掲になるが、「「暫定評価」という言質はとった」と思ったがそうではなく、単に18日の保安検査報告で「暫定評価」とされる結論が先にあったと思った方がスッキリする。
12月6日 柏崎刈羽のための「軽微」という結論?
遅くとも12月6日の原子力規制委員会で、柏崎刈羽原発を運転する適格性が東京電力にあるかないかを再確認(*)するなかで、以下のように結論されていた。
その日の会見で山中委員長に噛み付いたことは12月11日の取材ノートの通り。
トラブルの判定結果が重要?
この点については、新潟日報の記者も疑問視し、山中委員長が12月11日に行った柏崎刈羽原発視察報告の後、次のように聞いている。そこでは驚きの見解が現れた。
柏崎刈羽原発を運転する適格性が東京電力にあるかは、その保安規定第2条(*)によって、福島第一原発の廃炉における実績が問われている。
にもかかわらず、山中原子力規制委員長としては、東京電力が福島第一原発で既に実施計画に14回も軽微に違反し、さらに作業員を被ばくさせる事件が立て続けに2回起きたにもかかわらず、結果として軽微だったら運転の適格性があると考えるというのだ。
12月18日に初めて分かった10月25日の被ばく事件の1事実
では「軽微」だといえるのか、12月18日の特定原子力施設監視・評価検討会で「また」新たに初めて明らかになった驚きの「口頭説明」と共に、次回以降に書く。
(*)柏崎刈羽原発を運転する適格性が東京電力にあるかの判断材料は「東京電力ホールディングス株式会社に対する平成29年の適格性判断の再確認の進め方」(https://www.nra.go.jp/data/000461867.pdf P32)で次の3項目とされた。
柏崎刈羽原子力発電所に対する原子力規制検査(基本検査)における検査指摘事項
追加検査の結果(原子力安全への影響)
東京電力における保安規定第2条の「原子力事業者としての基本姿勢」遵守のための取組の実績
3項目目の柏崎刈羽原発保安規定第2条の中の「基本姿勢1」が「柏崎刈羽原子力発電所を運転する事業者の責任として福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟とその実績を示す。廃炉を進めるにあたっては、計画的にリスクの低減を図り、課題への対応について地元をはじめ関係者の関心や疑問に真摯に応え、正確な情報発信を通じてご理解を得ながら取り組み、廃炉と復興を実現する」というもの。
【タイトル画像】
2023年12月18日特定原子力施設監視・評価検討会 資料1−3東京電力福島第一原子力発電所における増設 ALPS 配管洗浄時に発生した 身体汚染事案に係る保安検査の実施状況について P4 より
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