K Pop ジャイアントHYBEの財務について深掘りしてみる
音楽業界・産業をビジネスの側面から観察・考察するシリーズ。今回はBTSを要する韓国最大手のエンタテインメント企業であり、最近はNew Jeansのマネジメントに関して話題に上ることが多いHYBEの財務状況について寄稿します。なお、今回の原稿は情報収集と整理をかなりChat GPT4oの手を借りて作成しています。
記事の要点:
HYBEは293百万ドル(約4000億ウォン)の負債を返済する必要があり、新たな転換社債の発行で対応予定。
HYBE株価は昨年から大幅に下落し、債権者は早期償還を要求。
HYBEの財務状況は安定していると新CEOは発言。
https://www.kbsworld.ne.jp/entertainment/view?blcSn=67199&rowNum=4BTSメンバーの兵役による活動停止が売上に影響。
K-POP業界全体で株価が低迷しており、SMやJYPも大きな打撃を受けている。
本文要約:
韓国のK-POP大手HYBEは、2021年に発行した転換社債の債権者から早期償還の要求を受け、293百万ドルの負債を11月5日までに返済しなければならない状況に直面しています。同社は、この返済のために新たに4000億ウォン相当の転換社債を発行し、資金を調達する計画です。
HYBEの株価は過去1年半で大幅に下落しており、現在の株価は債権の転換価格を下回っているため、債権者のほぼ全員が早期償還を要求しています。同社の新しいCEOであるイ・ジェサン氏は、社内での懸念を鎮めるため、同社が約880百万ドルの現金資産を保有しており、財務状況は健全であると述べています。
HYBEの株価低迷は、BTSメンバーの兵役による活動停止や、傘下レーベルのCEO交代に伴うトラブルなどが影響しており、K-POP業界全体でも株価が下落しています。他の大手企業であるSMエンターテインメントやJYPエンターテインメントも、今年に入り大幅な株価の低下に直面しています。
2024年上半期にHYBEの営業キャッシュフローが急激に悪化した背景には、以下のような要因が考えられます:
新規事業への積極的な投資と関連費用の増加: HYBEは2024年上半期に多様な新規事業を展開し、その初期費用やマーケティング費用が増加しました。具体的には:
4月にリリースしたパブリッシングゲーム『星になれ ヴェーダの騎士たち』の初期マーケティング費用。
6月にオープンしたクリエイターファンダムプラットフォーム「THEUS」の運営費用。
AI基盤のリアルタイム音声変換サービス「Shift」のリリースに伴う費用。
HYBEラテン法人の設立やその他の新規事業部門で発生する運営費用。 これらの投資は長期的な成長を見据えたものですが、短期的には営業キャッシュフローの減少につながりました PR Times
。
新人アーティストのラインナップ拡大に伴う費用増加: HYBEは上半期に新人アーティストのデビューを積極的に進めましたが、これに伴いトレーニング費用やプロモーション費用が増加しました
PR Times
。主要アーティストの活動休止や兵役による影響: BTSのメンバーが兵役義務を履行するため、グループとしての活動が制限されました。その結果、関連する収入が減少し、営業キャッシュフローに影響を与えました
Kstyle News
。市場環境の変化と競争激化: K-POP市場全体でアルバム販売の減少傾向が見られ、競争も激化しています。このような市場環境の変化がHYBEの収益性に影響を与え、営業キャッシュフローの悪化につながった可能性があります。
これらの要因が複合的に作用し、2024年上半期のHYBEの営業キャッシュフローの急激な悪化を招いたと考えられます。
22年からのキャッシュフロー推移(Chat GPT 4oによる作成)
Operating cash flow 営業活動によるキャッシュフロー
Investing cash flow 投資活動によるキャッシュフロー
Financing cash flow 財務活動によるキャッシュフロー
このグラフを見てみると2024年上半期に営業活動によるキャッシュフローが急激に悪化し(要因は上述)、一方で投資活動によるキャッシュフローがこれまでずっとマイナスだったのが大きくプラスになっています。財務活動によるキャッシュフローはずっと一定のマイナスでしたから、一定の返済額を営業キャッシュフローで補うという構図でした。これが営業活動の不振により、一気に資金繰りの問題が生じ、手元の有価証券などを売却して(投資活動によるキャッシュフローの増加)現金を作り、運転資金に不安がないことを示して新たな転換社債の発行を行う、という流れになったのでしょう。
HYBEの過去5年間のキャッシュフロー
HYBEの過去5年間(2020年~2024年)のキャッシュフローの動向を以下にまとめます。
1. 営業活動によるキャッシュフロー
2020年:新型コロナウイルスの影響でエンターテインメント業界全体が打撃を受ける中、HYBEも営業キャッシュフローの減少を経験しました。
2021年:パンデミックの収束に伴い、コンサートやイベントの再開で収入が増加し、営業キャッシュフローが回復傾向を示しました。
2022年:BTSをはじめとするアーティストの活発な活動により、営業キャッシュフローが大幅に増加しました。
2023年:売上高が2兆ウォンを超え、営業利益も過去最高を記録し、営業キャッシュフローのさらなる増加が見られました PR Times
2024年上半期:営業キャッシュフローはマイナス424億ウォンとなり、資金繰りの課題が浮上しました ポップアンドモア
2. 投資活動によるキャッシュフロー
2020年~2021年:パンデミック期間中は新規投資が控えられ、投資キャッシュフローは比較的安定していました。
2022年:業界の回復に伴い、HYBEは新たな投資を積極的に行い、投資キャッシュフローが増加しました。
2023年:引き続き積極的な投資活動が行われ、投資キャッシュフローの増加が見られました。
2024年上半期:固定資産や有価証券の売却などにより、投資キャッシュフローは1,437億ウォンとなり、資金繰りの一助となりました ポップアンドモア
3. 財務活動によるキャッシュフロー
2020年~2021年:パンデミックの影響で財務活動はやや停滞し、キャッシュフローも安定していました。
2022年:業界の回復とともに、HYBEは新たな資金調達や債務返済を行い、財務キャッシュフローが増加しました。
2023年:積極的な財務活動により、財務キャッシュフローの増加が見られました。
2024年上半期:財務キャッシュフローはマイナス110億ウォンとなり、全体的なキャッシュフローの減少に寄与しました ポップアンドモア
全体的に、HYBEのキャッシュフローは2022年から2023年にかけて大幅な増加を見せましたが、2024年上半期には減少傾向が見られました。特に営業キャッシュフローのマイナスは、資金繰りの課題として注視する必要があります。今後の業績やキャッシュフローの動向に関しては、引き続きモニタリングが必要です。
頼みの綱のBTSの復帰は?
BTSメンバー全員が兵役を終えて活動に復帰する時期は、現在の兵役期間や個々のメンバーの入隊時期に依存します。
現状の入隊スケジュール
ジン:2022年12月13日に入隊しました。韓国の兵役は通常18~21ヶ月のため、彼はおそらく2024年半ばまでに復帰する可能性があります。
J-Hope:2023年4月に入隊しました。彼の復帰もおおよそ2025年初頭になると見られます。
SUGA:他のメンバーと同様、兵役に就くことが発表されており、彼は2023年9月から代替服務を開始しています。
他のメンバー(RM、Jimin、V、Jungkook)は順次入隊予定で、これらのメンバー全員が兵役を終えて戻ってくるのはおそらく2025年後半から2026年頃になると予想されます。
全員が兵役を終えた後、グループとしての活動が完全に再開されるのは2026年あたりと見込まれますが、個々のメンバーが兵役後もソロ活動を継続する可能性もあります。
まとめ
BTSがフルメンバーで活動できるのが2025年から2026年とすると、HYBEにはそれまで売上を支えるグループが必須です。それを担えるのがNew Jeansだったのですが、マネジメントの問題でそれも停滞してしまっています。New Jeansを収益の柱にすべく焦ったHYBEと育ての親のミン・ヒジンとの間で確執が生じたのかもしれません。いずれにせよ、現金があるうちに、次のヒット、次のビッグアイドルグループの育成が急務であることは間違いありません。
最新のニュースhttps://news.yahoo.co.jp/articles/222970ded39d65d0d62778d50753426ea7232c69