コロナ禍で観ると良い映画
映画『もののけ姫』は自然環境や生物多様性を学ぶにはオススメの作品です。コロナウイルス騒動に陥っている日本ですが、そのような中で観るとより一層この作品の意図が伝わってきます。
自分は作品中に出てくる山犬、シシ神と言った生き物が実に不憫でならないと思っています。それはコロナウイルスも同じで不憫でならないです。全ては人間が悪いのです。命を亡くした方には申し訳ないですが、今のパンデミックによる混乱した世の中も人間による自業自得です。
この作品、以前仕事でご一緒させてもらった五箇公一先生(国立環境研究所)もオススメしていました。「宮崎駿監督が知ってて作っているかはわからないけど、この作品はすごい。生き物が住む場所と人間が住む場所の区分け(ゾーニング)を見事に描いている」と言ってました。
映画の中で鈩が森を切り、山を削ってその範囲を拡大させていきます。生き物の世界に侵出していってる人間たち、まさに今の社会やそこで起きている環境問題にも通じるのではないでしょうか?
人間には人間が住める都市環境があり、生き物は生き物が住める原生の自然があります。かつては里地里山がそれぞれの間にあったことで生き物(ウイルスや細菌含む)は人間の世界に侵入してくることはなかったのです。しかし里地里山の損失や不適切な土地利用は原生の自然と都市とを隣り合わせにしてしまい、いつでも生き物が人間の世界に入り込めるようにしてしまいました。
実際令和3年の環境白書にも「新興感染症の70%は動物由来で、パンデミックは里地里山の損失、不適正な土地利用に由来する」とかか書かれています。
もののけ姫のサンが言う「人間を許すことはできない」の一言は強烈で、まるで自分が自然環境からそう言われているようですし、コロナも街に出てきたクマやサルと言った害獣も同じこと言ってるでしょう。
そんな視点でぜひこの映画をごらんください。