部下に自信が持てないと言われたら
“自信を持つための二つの側面”
自信がないという社員を部下に持った経験はあるでしょうか。自信の持ち方も自信の持たせ方も学校で習ったことはなく、確固たる信念を持たない上司はどう導いたら良いのか分からず悩みますよね。
根拠のない自信を持つことの大事さを説く人も多いけど、自信が無い人からしたら気休めでしかありません。
ところが自信を持つ為の取り組みは存在します。これを知ることで多くの人が自信の持ち方についてイメージが湧いてほしいです。きっと毎日が楽しくなります。
これを書いている自分自身、自信を持っていたわけではありません。中学校の持久走では人から応援されても素直に返せない、高校では朝駐輪場で同じクラスの人に会ってもろくな挨拶ができない、自分なんかと話してもというような自己卑下の塊で、クラスでは目立とうとせず、部活の中に居場所を求めていた、そんな人間でした。
そんな人間が自信を持つためには、次の二つの側面があることを共有したいです。
一、自己肯定感
二、自己効力感
自己肯定感はよく聞く言葉だけど、自己効力感は耳慣れません。順番に触れていきます。
1、自己肯定感を高めるには
自己肯定感を扱う上で学術的な話だと原体験や他者からの言葉がけ、疑似体験、成功体験などが出てくるけど、実はどれも職場で生かせるのでひも解いてみます。
“自分のコンプレックスを許す”
自己肯定感を高める上で、まず大事なのは自分を知ること。原体験を見つめなおすことが必要です。
自分は基本ネガティブなんですという人の中には、自分の存在を認めることを諦めている人がいます。最終的には、「自分なんて」という思考になることを当然とするような態度を取ります。
ネガティブの是非をここで問いたいわけではないけど、自分を認められない人は他者の受け入れにハードルを設けてしまうので、働く同僚の為にも本人の為にも思考癖を変えてあげたいですよね。
そこで、1on1面談を通じてなぜ自分なんてと思うように至ったのか原体験を教えてもらい、上司の原体験も共有して分かち合うことで部下が次第に自分のコンプレックスを許せるようになっていきます。
自分を許すこと。自己肯定感が低い人にとってはハードルが高いチャレンジだけど、自己肯定感を高める上では大事な取り組みです。もちろん一人では難しい場合もあるので次の取り組みを並行して行います。
“信頼できる他者から存在を承認される”
何かができたから認める。何か貢献したから褒める。それだけだと自己肯定感が低い人には響きません。上司は「いてくれて助かった」という言葉を用いられると良いです。条件付きの褒め言葉よりも存在の承認をしてください。
そうして信頼関係を構築後には普段の仕事への取組み姿勢や他者とのコミュニケーションの取り方で具体例を出しながら、本人が知らない本人の魅力を伝えていきます。
信頼できる他者からの言葉がけは、前述の自分のコンプレックスを許す取り組みと並行して行うと特に効果が表れ始めます。
自己肯定感の低い部下の育成に頭も心も悩ます上司は多いけど、上司の情熱が本気であれば変わってくれる部下が出てくることは何度も経験しています。
自己肯定感の向上に貢献できた時は、仕事面だけでなく相手の人生の好転に良い影響となるため、育成側のやりがいにもつながっていきます。
僕は何度も人が自信を取り戻す場面を見てきたので、多くの組織で人が人を諦めずに向き合うことを徹底したならばとワクワクする未来を本気で思い描いています。
この自分のコンプレックスを許す=原体験を知ることと、他者からの言葉がけは自己肯定感に作用し、その他の疑似体験、成功体験は自己効力感とも重なるので次に移っていきます。
2、自己効力感を高めるには
先に自己効力感とは何かについてざっくりと触れておきます。人が何か行動を起こす為には動機が必要です。動機を分解すると、二つの期待を含んでいます。
ダイエットを例に挙げると、糖質を抜き続けると痩せられるという知識が身につくことで成果に対する期待が持てるようになります。そして、自分は糖質を抜き続けられる人間であるという効力感に対する期待が二つ目。成果に対する期待だけでダイエットが成功できるのであれば、これだけダイエット商品がロングヒットを続けていません。まずは自己効力感を高める必要があります。
ではどうすれば、自己効力感を高められるのでしょうか。それは自分との約束を守ることです。翌朝6時に起きると決めたなら、決めた時間通りに起きます。メールの返信はその日中に終えておきます。どんなに疲労していても、人に話しかけられたら体を向けます。どんな約束でも良いのです。
自らを信じると書いて自信。まずは自分との約束を守っていくように伝えると、自信が無いことで悩む部下に具体的な方向性を示せます。
もう一つの大事な要素は、スモールステップです。車の運転を例に挙げます。最初は誰もが運転に自信を持っているわけではありません。初めて高速道路に出るときは、ドキドキした人が多いと思います。
でもなぜ高速道路に出られるのでしょうか。それは自動車教習所内で前に進む、バックする、曲がるなど一つずつ課題をクリアしているからです。初めて車に乗る人がいきなり高速道路に乗り出したら、きっとパニックになるでしょう。
小さな課題を一つずつクリアしたからこそ、多少なりとも自信がついて高速道路に挑戦ができる。高速道路に挑戦ができたら、遠出ができる。
まとめると自己効力感を高めるには自分との約束を守り、スモールステップで一つずつ目の前の課題をクリアしていくこと。
根拠のない自信の大事さを説く前に、根拠の持てる自信の持ち方も指南してあげられると、自信が持てないと嘆いた部下を導いてあげることができるはずです。
続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。
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リーダ―育成コンサルタント
本間 正道
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